保育士 ~子どもを育て、成長を見守るプロ~
仕事の役割 ~ニーズの増加に伴い、求められる仕事や能力も多様化~
保育士とは、保育園や児童福祉施設などにおいて、乳児から小学校就学前(0歳~6歳)までの子どもを預かり、保育する仕事です。またそのための国家資格そのものでもあります。実際の業務では、施設において子どもと一緒に遊んだり、レクリエーションしたりしながら、考える力や感性を育むこと。近年は働く女性の増加に伴って、保育施設のニーズも高まっています。それと同時に、求められる人材も多様化しています。
一般的に保育士=若い女性というイメージがありますが、結婚や出産後も働く人が多いですし、最近では男性保育士のニーズも高まってきています。性別や年齢に関係なく続けられる職業でしょう。また、保育士の職場は必ずしも保育園だけではありません。乳児院や児童養護施設、障碍者施設、病院など、さまざまな施設で働く保育士がいます。なお、幼稚園の先生として働くためには「幼稚園教諭」という資格が必要となるため、幼稚園教諭の資格を持たない保育士が、幼稚園で働くことはできません。
おおよその年収
待機児童問題などから、保育士の有効求人倍率は非常に高い水準を維持しています。しかし、平均年収は約320万円とあまり高くありません。市区町村が設立した保育施設では、市区町村からの補助金と、公定価格で決定された保育料が収入源なので、事業として儲からない仕組みになっています。そのため、保育士の賃金も依然として低いままと言われています。
求められる能力 ~音楽やスポーツなど一芸があると人気に~
保育士になるには、「保育士」の国家資格が必要です。また必須ではありませんが、幼保一元化に向けて「幼稚園教諭」の免許も取得しておく、仕事やキャリアの幅がぐっと広がるでしょう。
子どもたちの成長をサポートする役割がありますから、基本的には明るく活発な人柄でなければいけません。子どもとのふれあいだけでなく、保護者対応もあるので、コミュニケーションスキルが大切です。さらに最近では、保育サービスの多様化により、保育士としての基本的なスキルに加えて、プラスアルファの能力が問われるようになっています。たとえば絵を描く技術、歌やピアノが得意、スポーツ指導をやっていたなど、何かしらの特技を持っていると、保育士としての活躍が期待されます。子どもたちの身の回りのお世話や遊びにつき合うので、精神的にも肉体的にもタフな人でないと難しい仕事です。
向いている人柄 ~子ども好きで人としての正しさが身についていること~
言うまでもなく、子ども好きな人は保育士に向いています。さらには、子どもの見本として、自分の言動に責任を持てる「人としての正しさ」があれば、子どもたちにも保護者にも信頼されるでしょう。また、保育施設では子どもたちの怪我や急な病気など、突発的なアクシデントが発生するもの。そうした事態にも対応できる柔軟性・冷静さも求められます。その他、お絵かきやお遊戯を楽しく盛り上げるセンスのある人は子どもたちの人気者になるでしょう。
仕事のやりがい ~子どもの成長を実感できる~
保育士としてやりがいを最も感じるのは、なんといっても子どもの成長を実感できることです。お絵かきが上手くなった、大きな声で歌えるようになった、友達同士で仲良く遊べるようになった……子どもたちのこうした成長を目の当たりにしたときの喜びは言葉に表せないほど嬉しいものです。また、保育園では運動会や発表会などのイベントが宅さなります。こうしたイベントが成功したときは、子どもたちとも一緒に感動を分かち合えます。
仕事の辛いところ ~精神的・肉体的な疲労と保護者対応~
育ち盛りの子どもを相手にする仕事なので、精神的・肉体的な負担があります。特に子どもたちの怪我・病気といったアクシデントには、臨機応変な対応が求められるでしょう。また最近は「○○ちゃんをうちの子と遊ばせないで」など、理不尽な要求を言ってくる保護者もごく一部ですが見られるようになってきました。保育の仕事は好きなはずなのに、保護者対応がストレスになって辞めてしまうケースも少なくないようです。(ライター:二之形幸子)