消防士 ~消火活動・防災を担う人々の守護者~
仕事の役割 ~消火活動だけではないさまざまな活動~
消防士は、人々の生活と安全を守るのが役割です。地方自治体の消防本部や消防署に所属し、おもに消火、救急、救助、防災、予防の5つの活動をおこないます。
●消火…火災の通報を受けて、現場に出動し、火災現場の出火をくい止めます。
●救急…119番通報を受けて、交通事故やその他の事故などでケガを負った人、急病人に対して応急手当てをし、医療機関へと搬送します。
●救助…災害現場などで人命を救助します。火事、交通事故、山の崩落地、河川が主な活動現場となります。
●防災…火災を未然に防ぐため、夜警などを行います。町会や自治会、小学校などで防災訓練や防災意識の普及のための啓もう活動をおこなうこともあります。
●予防…建物の防火基準を審査・検査します。
いずれの仕事も、人々の生命・財産を守ることにつながる非常に重要な仕事です。上記のような仕事がないときでも、いざというときに備えて消火活動の訓練をおこないます。適切な消火活動のノウハウを実践し、高度な防災装備をつかいこなすため、まさにファイアーファイター(firefighter)と呼ばれるにふさわしい仕事です。
おおよその年収
平均年収は約500万円~700万円と公務員のなかでも年収は高いほうです。その分、命の危険に直面することもありますし、ときには人命救助のために「殉職」することもある、責任の重い仕事です。
求められる能力 ~体力・精神力、消火の知識と判断力~
消防士になるには、まず「消防士採用試験」に合格しなければいけません。試験方法は各自治体によって違いがあり、試験内容や受験資格、受験日程も異なるので、消防士を目指す人は実際に自分の住む自治体に問い合わせるのが早いでしょう。消防士採用試験に合格したあとは、各自治体の消防学校に入学し、消防の基礎知識や機材の扱い方など、消防士に必要な知識・スキルを学びます。およそ消防学校で半年ほど学んだのちに、各自治体の消防署に配属されて、晴れて消防士として活動することになります。なお、救急車に乗車して救急をおこなう人は、別途、救急救命士の資格が必要です。
消防士は人助けをする、危険と隣り合わせの仕事です。「給与をもらうため」「公務員だから安定」という気持ちでは務まらないでしょう。肉体的・精神的にかなりハードなので、体力・精神力ともに高い水準が求められます。また、とっさの判断が救助者や自分自身の命を左右することもあるので、決断力と冷静な判断力も必要です。
向いている人柄 ~仕事への使命感があり、フットワークと頭の切り替えが軽い人~
消防士に求められるのは、「人の命を助ける」という仕事への使命感が特に強く求められます。どれだけ危険な火災現場であっても、人命救助の最後の番人として消火活動に取り組まなければならないのです。そのため、本気で消防士としてやっていくという決意のある人が向いているでしょう。
また、毎日の仕事も非常にハードです。通報があれば食事中、仮眠中であろうと、すぐ現場に駆け付けなければいけません。フットワークが軽く、すぐに動き出せる人は活躍できるはずです。当然、火災がないときでも厳しい訓練を行いますので、忍耐強い人こそ、いざというときに日頃の体力を温存することができるのです。一方で、デスクワークや地道な防災活動などもおこなうので、「これはこれ、それはそれ!」と切り替えられるマインドもあるといいでしょう。
仕事のやりがい ~子どもの憧れの職業、人に感謝される仕事~
消防士は、「ありがとう」とダイレクトに言われる仕事です。この「ありがとう」という言葉こそ、仕事のやりがいにちがいありません。また、危機一髪のところで事故を未然に防いだり、火事の出火をくい止めたり、人命を守れたりしたときには、普通の仕事では味わうことのない、大きな感動に包まれるはずです。もちろん、毎日火災が起きるわけではありませんが、日々の目立たない防災活動によって人々の生活を守るのも重要な役割です。子どもたちのあこがれの仕事になので、自然と自分の仕事に誇りが持てるでしょう。
仕事の辛いところ ~体育会系のノリがいまだに残る世界~
消防士の仕事は24時間体制です。食事中・睡眠中を問わず、通報があればすぐに危険な現場に駆けつけなければいけません。また体育会系な組織も多く、上下関係も厳しかったりするようです。公務員でもあるため、古くから残る非効率的な風習や理不尽な命令系統など、新人のことは何かとストレスもたまりやすいようですが、そうした辛さを適度に受け流して対処できる人は、やりがいをもって仕事に取り組めるでしょう。(ライター:二之形幸子)