自衛官 ~厳しい訓練を経て国民を守る~
仕事の役割 ~毎日の訓練、整備、有事の出動~
自衛官は、自衛隊として国民・国土を守ることが役割の国家公務員です。現代ではおもに災害が起きたときに現場へ駆けつけ、人の命を助けることが大きな役割になっています。防衛活動としては、外国船が日本の空域や海域へ進入してきた際にそれを防ぐほか、要人・国賓などの警護活動も担います。また、国際平和協力活動では外国の紛争地域に派遣され、救助支援をおこなうこともあります。
自衛隊組織は、大きく「陸上自衛隊」「海上自衛隊」「航空自衛隊」の3つに分けられます。陸上自衛隊は日本国土や国民を、海上自衛隊は日本の海域を、航空自衛隊は日本の空域を守ります。ただし、実際に出動するよりも、日々の訓練のほうがおもな仕事になるでしょう。細かい職種や配属部隊などによって異なりますが、いざというときのために毎日厳しい訓練や装備品の整備、その報告書類作成などをおこなっています。
戦争のない時代に自衛隊は必要ないと主張する人もいる一方で、災害大国の日本において「人命救助」をするという意味も含め、自衛隊の存在を再認識する人も増えています。
おおよその年収
平均年収は約500万円と、サラリーマンの平均年収に比べてやや高めです。また、「地域手当」や「災害派遣等手当」などの福利厚生も充実しています。訓練中は寮での生活になりますので、食費や生活費などもほとんどかかりません。貯金がしやすい環境です。
求められる能力 ~体力と忍耐強さが第一~
自衛官は中学卒業後、採用試験に合格すれば誰でもなれる職業ですが、毎日厳しい訓練を続けるなど、体力づくりをしなければいけません。体力のあることは基本中の基本でしょう。自衛官として、「日本を守りたい」という強い意志を持って訓練に励む忍耐強さなども求められます。まずはこの2つがあれば、自衛官として必要なスキルやノウハウは、訓練を通じてあとから身につけることが可能です。
部隊に配属されたあとは、基本的に宿舎で生活することになります。仲間たちとの集団生活が必須なので、協調性も大切です。自衛官と言えば、上下関係も厳しく、体育会系の要素もあります。そのような環境でも、仕事への意欲を持ち続け、訓練にも耐えられる素直な人は、自衛官として着実にステップアップしていくでしょう。大きな災害時には、人命救助のために自らの身を危険にさらすことさえあります。フットワークが軽く、自分よりも他人を大切にできるよう人こそが、理想の自衛官といえるでしょう。
向いている人柄 ~誰かのために働ける人、素直な人~
自衛官は、有事の際には命の危険を顧みずに行動することも求められます。台風・地震の中での救助作業、紛争地帯での救助支援などにも向き合えるような、他者への奉仕の気持ちが重要と言えるでしょう。
その上で、日々の訓練をしっかりとこなす素直さが必要です。「訓練なんか適当でいい」「自己流で鍛えればいい」といった考えでは、いざという危機のときに対応できませんし、部隊の足並みを乱してしまう可能性もあります。そうなれば、救助などでも大きな支障が出るでしょう。加えて、災害時にはパニックにならず冷静であり続けなければいけませんので、冷静沈着な人が向いています。
仕事のやりがい ~人々の命と財産を守る“盾”~
地震や台風など、本当に人々の命・財産が危険にさらされているとき、その最前線で皆を守る“盾”となるのが自衛隊です。人命救助できたときは、この上もない達成感を感じられます。日本中から感謝され「ありがとう」と言われる仕事です。その他にも、不発弾の処理、領海・領空への警戒・監視など国土を守る仕事も少なくありません。本当の意味で誰かを“守っている”という実感は、この仕事でしか得られないでしょう。最近では、結婚相手としても人気が高く、国家公務員で安定している自衛官と結婚したいという人も増えているようです。
仕事の辛いところ ~きつい訓練、自由のない生活は大きなストレス~
出動がない限り、日々の部隊生活では体力・精神力とも大きな負荷がかかる訓練にはげみます。それについていけなければ、厳しく叱責されることもあります。また緊急事態に備えて、部隊生活中は基本的に夜間外出禁止です。当然ながら友人たちとの飲み会も、家族との団らんもデキませんし、寮での集団生活では自分の時間を確保することも難しいでしょう。こうしたストレスから、心身の健康を害してしまう人もいます。(ライター:二之形幸子)