大工 ~建物づくりの現場を支える職人~
仕事の役割 ~建築現場での実作業を担う~
大工の役割は、用意された設計図をもとして、建築現場における工事の実作業全般を担うことです。具体的には、木材を使って建築物の骨組みを作る、外壁や屋根、床、天井の下地を作るといった業務が挙げられるでしょう。これだけ機械やITが発展しても、建築作業にはまだまだ人力が主流です。建築物の基礎となる骨組みを造りあげる仕事は、現代社会において重要なポジションと言えるでしょう。なお、勘違いされやすいのですが、電気設備や水道管・ガス管の設置、細かい内装などについては大工の仕事ではありません。
基本的に屋外で作業するうえ、木材や建築資材を運ぶことも多いので、基本は体力勝負です。設計士や左官工、電気や水道の工事担当者などと協力しながら建築物を完成させていくので、職人気質な仕事ではあるものの、基本的なコミュニケーション能力も必要です。実際に建築現場の指揮を取るのは現場監督ですが、その現場監督の指示のもとで作業を担うのが大工であり、リーダーとして抜擢されれば作業チーム全体を仕切ることもあります。最近は、リフォーム依頼が増えており、今後もニーズが見込まれる職種でしょう。
おおよその年収
平均年収は約400万円~500万円です。現場を仕切る棟梁(親方)になると、年収800万円を稼ぎ出す人もいるようです。
求められる能力 ~基本技術に加えてCADができると一目置かれる存在に~
大工は体が資本です。重い資材を運んだり組み立て作業をおこなったりするので、サラリーマンよりも体力を必要とします。そしてもちろん、建築に関するスキルが必要です。木材の寸法を測り、現場で臨機応変に対応しながら設計図通りに建物を組み上げていくには、長年の経験が問われます。また、現場仕事ばかりではなく、左官工や電気・水道業者と段取りをするなど、細かい作業も多いので、責任感やコミュニケーション能力も求められます。
ただ、未経験者であれば、一人前になるまでは親方の元で見習いからスタートすることがほとんどで、いきなり仕事を丸投げされることはめったにありません。素直に学ぼうとする向上心があれば、着実にスキルアップしていける世界とも言えます。
近年では大工の世界も最近はIT化が進んでおり、リーダーポジションになるとCADを用いて簡単な図面を書いたり、ワードやエクセルでスケジュール表を作ったりすることもおこなわれるようになってきました。特に、CAD知識やPCスキルがあると、重宝されるでしょう。職業訓練校などで求職者や在職者向けのCAD講座もあるので、そのような制度を利用して習得するのもひとつの手です。
向いている人柄 ~細かいこともスケールの大きいことも好きな人~
大工は、肉体労働のいわゆるガテン系の仕事ですが、図面を読み取ってそれを立体的な形にする、材料の積算など、頭を使う仕事でもあります。体を動かすことと頭を使うこと、どちらもこなせるバランスの良い人が向いているでしょう。また、手先が器用で、コツコツ地味な作業はもちろん、スケールの大きいことを成し遂げることが好きな人に向いています。
仕事のやりがい ~自分の仕事が建築物として残る喜び~
仕事の成果が建築物として形に残ることが大工のやりがいです。図面をカタチにし、世の中に残るものをつくることができる点にやりがいを感じている人は多いようです。また、住まいはお客様にとっても大きな買い物なので、満足できる家が出来上がったときにはとても感謝されます。最近では耐震やバリアフリーなど住宅に求められるものも複雑化しており、大工の職域も広がっていくでしょう。
仕事の辛いところ ~悪天候が続く月は稼ぎも減ってしまう~
天気に左右される仕事なのが、大工ならではの辛さです。基本的に雨だと休日になりますが、休みばかりだと給与にも納期にも悪影響です。また、肉体労働がメインで、高所作業などの危険が伴う仕事でもあります。見習い期間中は給料も少ないなど、大変な仕事ではありますが、建築物を造り上げる喜びなど、やりがいの多い仕事でしょう。(ライター:二之形幸子)