警察官 ~社会と人々の治安を守る~
仕事の役割 ~治安維持と犯罪防止の盾となる~
警察官は、ひと言でいえば犯罪を防止し、国民の安全を守る公務員です。仕事内容は非常に多岐にわたり、組織によっても異なります。警察の組織には警察庁と都道府県単位の警察、警視庁があります。
●警察庁…国家公務員、各地の警察を指揮する行政組織。
●警察本部…地方公務員、都道府県ごとに置かれた組織。
●警視庁…日本の首都としての東京を警備する首都警。
一般的な“お巡りさん”のイメージとしては、上記における警察本部が一般的でしょう。最初は交番勤務の巡査を皮切りに、巡査長、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正、警視長、警視監、警視総監(東京の場合)と昇進していきます。実際の業務では、配属された地域のパトロール、事件・事故があった際の対応や職務質問、道案内など幅広い業務を対応します。
これとは別に、警察には強盗や殺人などの事件の捜査・取り締まりをおこなう刑事、パトカーや白バイで交通違反の取り締まりや交通規制をおこなう交通部門、ストーカーや詐欺・悪徳商法の被害相談、青少年の補導などをおこなう生活安全といった部門もあります。このように、ひと口に「警察官」といっても携わっている仕事はさまざまです。
おおよその年収
平均年収は約500万~800万円ほどです。初任給は低めですが、公務員ということもあり年齢とともに年収も上がっていきます。狭き門ではありますが、勤続年数と階級次第では、年収1000万円以上も可能です。
求められる能力 ~健康な心身と一般知識、責任感~
警察官にまず求められるのは、心身ともに健康であることです。警視庁の場合、身長要件(男性160センチ・48キロ以上、女性154センチ・45キロ以上)もありますが、条件に満たなくても必ずしも合格できないということではないようです。
さらに警察官になるためには試験に合格する必要もあります。警察庁を目指す場合は国家公務員試験に合格しなければなりませんし、地方で働く警察本部を目指す場合でも、各都道府県警察本部が実施する警察官採用試験に合格しなければなりません。比較的通りやすい警察官採用試験でもその倍率は低くなく、例年7~10倍を推移しています。
また、事件捜査を専門にあつかう刑事に関しては、警察官として経験を積み、任用試験や人事異動を経る必要があります。なお、高校卒業後に試験を受けて警察官になることも可能ですが、その後のキャリアは大卒のほうがキャリアアップしやすいようです。
向いている人柄 ~責任感、正義感、冷静沈着さ~
悪や不正を見逃さず、人々の生活と安全を守ることが役割ですので、正義感や責任感、公平性を身につけている人が向いているでしょう。街の安全や国の安全を守りたい、という気持ちは警察官を目指す強いモチベーションになるはずです。人々の命を守る“盾”として、人の痛みを分かることができる優しさや思いやりも大切です。
同時に、冷静沈着さと理性を持ち合わせる人が、警察官としては望ましいでしょう。事件・事故、さまざまなトラブルの背景には複雑な感情や人間関係があります。自分の正義感だけで動いてしまうと、余計に問題をこじらせてしまうかもしれません。時には自らの感情を押し殺して対応することも大切です。
仕事のやりがい ~人命を守る、社会になくてはならない存在~
地域のパトロールや交通違反の取り締まり、犯罪捜査などさまざまな業務を通じて、人命を守る警察官は、社会になくてはならない存在です。もちろんテレビに報道される事件・事故ばかりを扱うわけではありませんが、ちょっとした相談ごとを解決したり、困っている人の力になれたりするのは、警察官ならではの仕事です。
他の職業よりも責任感はありますが、信頼される仕事であり、大きなやりがいがあります。何より子どもにも誇れる仕事であり、たくさんの人から「ありがとう」と言われる達成感のある仕事でしょう。
仕事の辛いところ ~事件が続くと、休みなしで勤務することも~
事件発生時は夜中でも現場へ向かわなければいけません。ときには、休みなしの日々が続く可能性もあります。また、上下関係が厳しく、先輩には逆らえないという状況のなか、体調を崩してしまう警察官がいることも事実です。ときには残酷な現場を見ないといけないこともありますので、精神的にも肉体的にもタフでなければ務まらない仕事の代表です。(ライター:二之形幸子)