役所職員(市町村区役所の職員)~地域住民の生活を支える~
仕事の役割 ~生活・インフラ全般の計画・運営・実行~
役所職員は、市町村区で働くいわゆる公務員です。役所職員は大きく分けると、事務系・技術系の2種類に分けられます。
●事務系職員…戸籍や住民票などの手続きや福祉・教育の推進、地域防災・防犯、イベントの企画・運営などまで多岐にわたります。
●技術系職員…土木、建築、化学、情報など、各分野の専門知識・技術が必要です。それぞれの専門に合わせて、道路工事の設計や都市計画の立案、建築に関する指導などを行います。
実際の仕事内容はさまざまで、予算の計画・作成、各種プロジェクトの計画・実行、資料作成、事務処理、住民からの相談・要望への対応などをおこないます。もちろん、生活課、福祉課、教育課など、課・部ごとに担当する領域は異なりますが、予算をもとに計画を策定し、実行していくという流れは一般的なビジネスと変わりません。市と市民を結ぶ窓口として、市民の要望や困りごと聞いて、人々の良い暮らしの手助けをしていく、やりがいのある仕事です。同じ公務員であっても県職員、省庁職員と違い、人々との「距離の近さ」が、市役所職員という仕事の特徴のひとつであり、喜びややりがいにつながるようです。
おおよその年収
就業時点での年収は高くありませんが、公務員という特性上、長く務めることができます。最終的に約600万円も手に届くなど、一般企業よりも平均年収は高めです。
求められる能力 ~広い法律知識と一般常識、ホスピタリティ精神~
役所職員になるには、何はともかく採用試験を受験する必要があります。試験内容は市役所や職種ごとに異なりますが、事務職の場合は法律や一般常識などの筆記試験、作文や面接などがあります。また、技術職には栄養士、薬剤師、保健士、教員など該当する資格や技能、専門的知識を問われることもあります。
市役所職員はいわゆる公務員なので、地方では人気の職業です。安定した職種なので試験の倍率は高めでしょう。そのため、勉強をすることや向上心の高い人が向いています。また書類手続きなどの細かい作業が多いので、几帳面さや正確さなどが求められるでしょう。
加えて近年の緊縮財政の中では、公務員に対する風当たりも強くなっています。予算と達成目標に対する責任感とビジネス感覚を持ちつつ、市民の気持ち・ニーズに寄り添うようなホスピタリティ精神も求められるでしょう。
向いている人柄 ~住んでいる町や人が好きな人~
自分が住んでいる市町村区が好きな人、そこに住む人々と前向きに交流できる人は市民の気持ちに共感できるので、やりがいを感じながら仕事ができるでしょう。事務職は一日のほとんどがデスクワークなので、ひとつのことに集中できる人が向いています。また、市民の窓口として真面目で責任感のある人は信頼を得ることができるので、頼りにされる存在になれるでしょう。
仕事のやりがい 地元ならではの話題で市民とつながれる瞬間~
市役所職員にとって、自分の街が好きなことは大きな強みになります。プライベートで街を歩いていても、愛着があれば、暮らしやすい街づくりのためのアイディアも出てきます。また、市役所職員は窓口業務やイベント・会議などで市民と直接触れ合う機会が多く、その時に「この人たちのために頑張ろう」と思えれば、モチベーションも上がるでしょう。市民と話すときは、地元の方言が一番。人と共通意識を持てる瞬間こそ、やりがいにつながります。
仕事の辛いところ ~困っている人を助けるよりも規則が優先~
市役所職員にとってつらいことは、困っている現状を理解できるにもかかわらず、条文や法律、予算が優先され、困っている人に「NO」と伝えなければならないことです。例えば生活保護申請者や待機児童など、市役所に持ち込まれた切実な要望も、時には拒否しなければなりません。ひどいときには職員に個人的な恨みを持つ人も出てくるので、どんな人にもうまく対処していかなければいけないことがストレスにもつながってしまいます。(ライター:二之形幸子)