家具職人 ~手作業で家具を生み出す~
仕事の役割 ~木材の削りだし、組み立て、仕上げ~
家具職人は、家具製造会社や工房などに所属し、家具を作る職人のことです。設計図をもとにして、家具を作り上げることが主な仕事内容です。最近の家具製造会社ではオートメーション化が進んでおり、一部分だけの手作業を担う家具職人がいます。一方、作業のほぼすべてを手作業で行う、オーダーメード家具職人もいます。
オーダーメード家具の多くは木製品なので、木材の切り出しから加工、組み立て、塗装・仕上げまでを家具職人が担当します。実際の業務では、家具デザイナーや工業デザイナーから受け取った設計図をもとに木材を切り出します。その後、カンナややすりをかけて表面を加工し、部材同士を組み立て。最後には塗装や仕上げ加工を施すなど、細かい作業の連続です。
寸法に1ミリでも狂いが出てしまうと、組み立てに不具合が生じたり、想定道理の強度が保てなかったりしてしまいます。そのつど確認しながら作業することが大切です。家具の製造会社や工房で経験を積んだのちは、独立して家具のデザイン・設計まで手がける人も少なくありません。
おおよその年収
家具作りという好きなことを仕事にできるものの、平均年収は約300万円~400万円とあまり高くはありません。とはいえ、独立してデザイン・設計まで行う工房を構えるまでになれば、400万円以上を目指すことも夢ではないでしょう。
求められる能力 ~1ミリの誤差も許されない緻密さが~
家具職人になるために資格は特に必要ありません。しかし、求人数が圧倒的に少ないので、会社や制作工房のホームページをチェックしたり、家具の展示会へ行ったりするなどして、就業先を見つけるなどの情報収集が必要でしょう。
実際の業務上では、手先の器用さと几帳面さが求められます。木材を切るにしてもミリ単位の違いで大きなズレが出てきてしまうからです。日曜大工などでこうした技術を身につけていないのであれば、就職前に職業訓練施設で木材加工について学ぶこともできます。家具職人としての基本、機械の操作方法や図面の読み方を学び、その地域の家具製造会社についての情報を得るといいでしょう。
なお、実務経験3年以上あれば、国家資格である「木材加工用機械作業主任者」の資格を取得することができます。キャリアアップのひとつとして、資格を取得しておけば、自分自身の励みにもなります。
向いている人柄 ~手先が器用で緻密な性格の人~
手先の器用な人が向いています。1ミリ以下の誤差を手の感覚で判断することもあるので、正確さを重視する性格の人でないと務まらない仕事です。また、1日中立ちっぱなしで作業を続けたり、複雑な家具の製造を請け負ったりもするので、本当にものづくりがしたいと思う人、根気よく仕事ができる人が向いています。家具にもトレンドがあるので、インテリア好きでセンスを磨いていこうと思える独立心のある人だと、自分の工房を持つことも夢ではありません。
仕事のやりがい ~自分が作った家具が愛用される喜び~
ものづくりが好きな人にとって、手作業での家具作りはこの上もないやりがいになるでしょう。自分が丁寧に作り上げた家具を実際に使ってもらえることは家具職人ならではの喜びです。また、センスと独立心があれば、自分の工房を持ち、ブランドとして立ち上げる夢なども持てます。一人前になるまでは確かに大変ですが、一度、腕を認められれば、ものづくりに専念できる仕事です。
仕事の辛いところ ~求人数の圧倒的少なさ。転職も難しい~
大量生産の家具が増えてきており、手作業を行う家具職人の求人数は年々減りつつあります。転職をしたくても、なかなか次の転職先がみつからないという現実もあるようです。また、家具職人の待遇は会社員と比べ、決して恵まれているとは言えません。特に、修行時代は金銭的に厳しく、夢をあきらめる人もいます。休みも少なく、週休1日のところも多いようです。生産数を増やして利益を出さなければいけない、業界全体の傾向と言えます。(ライター:二之形幸子)