電車運転士 ~公共交通機関の代表的存在~
仕事の役割 ~電車の運転、定時運行のチェックなどが仕事~
交通手段として、人々の生活に欠かせない電車。電車運転士の役割はその電車を運転して、乗客を安全に目的地まで連れて行くことです。毎日、何百人、何千人もの人の命を預かるので、安全運転を心掛けなければいけません。安全運転をするためには日頃から運転技術を磨こうとする向上心が大切でしょう。気象条件や乗車率によってブレーキのかけ方を微妙に変えるなど、状況に合った判断力と集中力、長年の経験と勘も求められます。
また、全ての電車は決められたダイヤに沿って動いています。もし1本の電車が遅れてしまえば、その他の電車にも影響が出てしまうので、時間には正確でなければなりません。電車は秒刻みでダイヤが組まれており、時間通りに運転することは電車運転士として必須のスキルです。もちろん、ただ電車を運転するだけではなく、定時運行・安全運転のための細かな仕事も発生します。遅れが発生したら車内アナウンスを流し、車両の異変を発見したら車両整備士にすぐ情報共有するなど、幅広い業務をこなさなければなりません。
おおよその年収
平均年収は約600万円。電車運転士の平均年収はJRなどの大手鉄道会社では600万円前後、地方の私鉄で400万前後です。
求められる能力 ~専門的な技術と知識、長年の経験~
鉄道会社に入社したとしても、すぐに運転士として仕事ができるわけではありません。まずは駅員から始まり、お客さま対応や改札業務など、駅を利用するお客様と直接接しながら経験を積みます。
その後、社内の試験に合格すれば車掌にキャリアアップします。車掌としても数年間の経験を積み、国家試験を受けて運転士の免許を取得、その後初めて運転士としてデビューできるのです。もちろん、運転できる多くの乗客の命を預かるので、高い専門技術と経験が求められます。新型車両が登場すれば、そのつど新たな知識を習得していく必要があるでしょう。
また、分刻みのダイヤを正確に運行するため、常に時間を気にする必要があり、集中力のいる仕事です。最近では、電車内のトラブルも増えていますので、その際に冷静に対処できる判断力も必須でしょう。
向いている人柄 ~冷静と情熱をバランスよく兼備する人~
電車の運転士は、比較的安定した仕事だと言えます。新しいことにチャレンジしたい人より安定志向で地道にコツコツできる人が合っています。また電車では、さまざまなトラブルがつきもの。冷静な判断が求められるので、落ち着いた性格の人が向いています。一方で、電車運転士として活躍することには駅員、車掌などをへて徐々にキャリアアップしていく必要がありますから、活躍できるその日まで夢を持ち続ける情熱も大切。冷静なだけではなく、情熱もあるようなバランスの良い人が向いているでしょう。
仕事のやりがい ~終電が終わるたびに感じられる充実感~
電車の人気は幅広い年齢層に広がっています。子どもが憧れる職業として挙げられることも多く、そういった意味でもやりがいを感じられることの多い仕事でしょう。毎日、朝から晩まで、何千人もの乗客を安全に運ぶのは神経を使います。だからこそ、無事に終電が終わった瞬間にやりがいを感じるのです。
仕事の辛いところ ~終電間際の電車では酔っぱらいに絡まれることも~
電車には、必ずダイヤが設定されています。利用客は普段から「何時何分」といったダイヤを気にして電車に乗りますが、電車運転士はもっと細かく「秒単位」で運転しなければなりません。また、大勢の乗客の命を預かる仕事でもあるため、心身のストレスは多大なものがあります。さらに、電車は老若男女さまざまな人が利用するので、夜遅い時間の勤務であれば、酔っぱらいに絡まれることも少なくありません。そこが、電車運転士ならではの大変さだと言えます。(ライター:二之形幸子)