薬剤師 ~患者さんの健康を支える医薬品の専門家~
仕事の役割 ~調合・処方から服薬指導、副作用のチェックまで~
薬剤師は、医薬品全般について幅広い知識を持つ「お薬」の専門家です。勤務先は病院・調剤薬局・ドラッグストア・製薬会社などありますが、ここでは調剤薬局で働く薬剤師をクローズアップします。
薬剤師の主な仕事は、患者さんに薬の調合と処方、服薬指導を行い、病気やケガの回復をサポートすること。医師からの処方箋を元に不備がないかをチェックし、患者さんのお薬手帳と照らし合わせながら、薬を処方します。このとき、重複している薬の有無や飲み合わせによる副作用がないかを確かめることも、薬剤師としての重要な役割です。
患者さんには薬の説明や飲み方を分かりやすく伝え、服用中の薬があれば、飲み合わせについても説明します。2015年現在、薬剤師の求人は売り手市場だといわれますが、今後は薬剤師の資格を持っているだけでは転職にも不利な時代が来るともいわれています。薬剤師として働きながら、管理薬剤師にキャリアアップすることも可能です。
おおよその年収
高度な専門知識が求められる仕事だけに、平均年収は約530万円とやや高めです。また、平均年収は勤務先によっても変わってきます。
- ・調剤薬局:約400万~650万円
- ・ドラックストア:約400万~700万円以上(店長クラス)
- ・病院:約400万~650万円
- ・製薬会社:約400万~800万円以上(成果主義により高年収も可能)
求められる能力 ~正しい知識と誤差を許さない正確性~
薬剤師として働くには国家資格が必要です。国家資格を取るためには、大学の薬学部か薬科大学で6年間の「薬剤師養成課程」を修了していることが条件になります。大学では有機化学や生物化学、薬剤学、疫病学から実習まで、薬学に関する幅広い知識や技術を身につけます。専門知識のバックグラウンドがない人では、資格を取ることさえ困難でしょう。
実際の薬剤師の仕事では正確さが求められます。一歩間違えれば命に関わることもありますから、ちょっとしたミスも許されません。そういう意味でも、処方せん通りに正しく調剤できる注意力が求められるでしょう。また、薬局では次から次へと患者さんに合わせた薬の調剤をしなければいけません。集中力を持続しながら、次の作業のことをシュミレーションできる器用さも大切です。さらには、接客としての顔もあるので、患者さんが安心してケガや病気の治療に専念できるよう、安心感を与えられるコミュニケーション能力も求められます。
向いている人柄 ~ルーズな性格は失格、几帳面で整理整頓が上手な人~
薬剤師が扱う薬の種類は1000種類近くあります。これらの効能だけでなく、仕事場での保管場所や有効期限などを常に把握できる状態にしておかなければいけませんから、几帳面で整理整頓のできる人しか向いていません。デスクや身の回りの整理がきちんとできない人は薬剤師として失格とも言えます。また、病院や薬局は清潔であることが基本。清潔さに敏感であることが何よりも大切です。
仕事のやりがい ~患者さんの健康回復をサポートできる満足感~
薬剤師の仕事は楽ではありませんが、他の仕事では味わえないやりがいもたくさんあります。国家資格が必要で専門性も高く、年収が高いこともモチベーションのひとつです。また、患者さんの病気やケガが回復していくことをサポートできるのも、薬剤師の仕事のやりがいです。自分の知識や経験が、患者さんの治療に役立つのを目の当たりにすることで満足度もやりがいも高まります。
仕事の辛いところ ~毎日が緊張とプレッシャー、患者さんからクレームも~
薬の調合はミリ単位で量る正確さが要求されます。わずかな誤差が生命にかかわる事態に発展することもあるので、常に緊張とプレッシャーにさらされる仕事です。特に、新人の頃のストレスは並々ならぬものがあるでしょう。
また、患者さんとのコミュニケーションにおける辛さ・厳しさもつきものです。患者さんは精神的に余裕がないことも多く、クレームを受けることもあります。いろいろな患者さんがいますので、そういった点でストレスを感じる場合はあるようです。(ライター:二之形幸子)