医療事務 ~医療機関での事務専門家~
仕事の役割 ~受付からカルテ管理、レセプトまでこなす~
医療事務は、その名の通り、医療機関での受付や会計、カルテの管理、レセプト業務(医療費の保険負担分を公的機関に請求する作業)などを行います。医師・看護師と患者の間に立ち、さまざまな事務作業をこなすことが仕事の役割と言えるでしょう。
受付では「病院の顔」となりますし、レセプト業務では医療費を保険組合に請求する重要な役割を担います。高齢化社会に伴って医療機関の需要が伸びると同時に、医療事務の需要も今後ますます増えるだろうと予想されています。雇用形態は正社員、派遣スタッフ、パートなど幅広く求人があります。医療機関での勤務となるので、基本的に残業や休日出勤などはありません。そのため、子育てをしながらでも、ある程度の年齢を重ねてからでも働くことができ、生活に合わせて働き方を選べるので、女性に人気の仕事です。また、専門知識を活かせるので、結婚や出産などのブランクがあっても再就職しやすい仕事とも言えます。
おおよその年収
平均年収は約300万円~350万円。勤務する病院の規模、勤務地(都会か地方かなど)でいくらかの収入の差があります。
求められる能力 ~専門知識に加えてホスピタリティ精神も必要~
医療事務は受付や患者対応などさまざまな業務を担いますが、なかでもレセプト業務が特に重要です。医療費の請求明細を作成することになるので、この仕事がとどこおると、医療機関として立ち行かなくなってしまいます。正確な事務処理能力が求められるでしょう。
就職するにあたって資格や免許は必要ありませんが、医療系の資格や免許を取得していると、採用時や業務に役立つケースが少なからずあることも事実です。有利な資格としては、診療報酬請求事務能力認定試験や診療情報管理技能認定試験、医療秘書技能検定、医事コンピュータ技能検定、診療情報管理士などがあります。しかし、この仕事に最も重要なのは、不安を感じている患者さんと接する中で、誠意を持って対応できるホスピタリティ精神でしょう。業務を正確にこなしつつ、常に笑顔を絶やさないなど、落ち着いた対応をすることが大切です。
向いている人柄 ~倫理観や責任感のある人~
自分のからだに不安がある患者さんと接するので、人を思いやることが出来る人に向いています。また、患者さんの個人情報に触れる機会も多い仕事なので、自分を律していく倫理観や責任感も求められます。人を相手に仕事をするのが好きな人、得意な人は医療事務に向いているでしょう。逆にコミュニケーションが苦手な人は、医療事務の仕事そのものはこなせたとしても、性格的には向いてないかもしれません。
仕事のやりがい ~患者さんの笑顔が何よりもやりがい~
人に感謝される喜びを得られるのは、医療に関わる仕事のやりがいです。事務担当とはいえ、人々の健康を支える医療機関で働くことに変わりありませんから、患者さんに感謝されることが大きなやりがいになるでしょう。また、勤務時間や出勤日を調整することができるのも医療事務の大きな魅力のひとつ。医師や看護師とは違って、診療行為を行うことはありませんが、医療に貢献している実感こそが、社会的に意義のある仕事として誇りを持てるでしょう。
仕事の辛いところ ~女性が多い職場で気疲れすることも~
医師・看護師・患者さんの間に立って仕事をするので、人間関係に気疲れしてしまうことも多いようです。他の分野と比べても女性が多い職場なので、同性同士ならではの人間関係のトラブルから気疲れしてしまうこともあるようです。また、患者さんもさまざまなタイプがいます。どんな人にもホスピタリティ精神で接していかなければいけませんので、ときには精神的にきついこともあるでしょう。(ライター:二之形幸子)