看護師 ~命をあずかる医療のエキスパート~
仕事の役割 ~患者の看護から家族の精神的ケアまで~
看護師は医師の指示に従って、患者の診療をサポートしたり、入院生活を快適に過ごせるような各種の看護をおこなったりするのが仕事です。具体的な業務としては問診や検査、点滴や採血、食事・排泄の補助、病室の巡回、ベッドメイキングなどが対象となります。問診や検査では、患者の病状を正確に把握し、医師に報告するのも大切な役割。ときには患者だけでなく、その家族への対応もおこないます。高齢化社会の中、患者の健康管理や療養生活の相談に乗ったり、その精神的ケアをおこなったりするなど、チーム医療の中で重要な役割を果たします。医療の最前線で命を預かる、責任の重い仕事といえるでしょう。
勤務先は病院が一般的ですが、老人保健施設、障害者福祉施設、訪問看護ステーションなど幅広く、雇用形態も常勤職員からパートなどさまざまです。また、医療機関は24時間体制が求められるため、日勤だけでなく夜勤での業務もあります。
おおよその年収
平均年収は約400万円です。高給取りの仕事とは言えませんが、転職市場でも需要が高く、多くの人が安定した収入を実現することができます。
求められる能力 ~専門知識と思いやり・優しさ~
看護師になるには、まず国家資格を取得し、専門的な知識や技術を学ぶ必要があります。医療に関する知識はもちろん、各種の医療器具の取り扱いなど現場で実践的な経験を積むことが必要でしょう。
そして、患者の体調・精神面での微かな変化を敏感に察知し、対応するのが看護師の重要な仕事。「顔色が悪い」「少し元気がない」といった小さな変化にも気づける観察力と、それに対して「ご気分どうですか?」「具合が悪いところはありますか?」と思いやりをもって対応することも必要です。“白衣の天使”とも言われるとおり、優しさ・思いやりの心が最も求められる要素です。
一方、知識やノウハウと同じくらいに、看護師にとって体力・精神的タフさも求められます。深夜勤務は必須ですし、ときには患者や重い医療器具をベッドまで運ぶなどの力仕事も要求されるので、まさに肉体労働です。また医療の現場は、時には悲しい現場に立ち会うこともあるのが現実です。精神的な強さも併せ持たなければなりません。心身ともにタフであることが求められます。
向いている人柄 ~精神的にタフで眠りにつくのが上手な人~
看護師として活躍する人には、やはり「誰かの役に立ちたい」「医療の世界で人々を助けたい」という思いが強くあるようです。それと同時に、看護の現場では血液はもちろん、嘔吐物、排せつ物などに触れる機会の多い仕事です。“汚れ仕事”にも耐えられなければ、仕事は務まらないでしょう。勤務はシフト制で夜勤も多いので、精神的にも肉体的にもタフな人が向いています。
仕事のやりがい ~心からの「ありがとう」に出会える~
患者やその家族から、心の底から「ありがとう」と言われる仕事ですし、元気になっていく患者の様子は、看護師の仕事をしていて「よかった」と思える瞬間でしょう。肉体的にも精神的にも弱っている人たちに頼られているという使命感は、一見、責任重大ですが、だからこそ、看護師の仕事にはやりがいがあるのです。
仕事の辛いところ ~人の死に直面する辛さと女性社会~
近年は男性看護師が増えたものの、やはり看護師の職場はまだまだ女性社会。女性ならではの職場の雰囲気もあり、人間関係で悩みを持つ看護師も多いようです。横柄な態度で接してくる患者も、平常心で看護しなければいけないでしょう。そしてもちろん、時には患者さんが亡くなるシーンに直面することもあります。その辛さは決して軽いものではありませんが、それでも仕事に向かう必要があります。辛いことも多い仕事ですが、感謝されることも多く、一生涯続けられる仕事です。(ライター:二之形幸子)