医師 ~人々の健康を守り、病魔と闘う~
仕事の役割 ~患者の診療と医学の研究~
医師には大きく分けて臨床医と研究医があります。臨床医は、病院に勤務して患者の病気の治療やリハビリテーションをおこないます。研究医は大学などに勤務して病気や新たな医療法の研究をおこないます。一般的に医師といえば臨床医のほうを指しますが、臨床医の中で診療する部位によって内科医、外科医、眼科医、泌尿器科医、産婦人科医など細かく細分化されています。
臨床医の仕事は、どの分野であっても仕事内容は大変ハードです。毎日たくさんの患者の診察をおこない、注射、点滴、薬の処方、手術などをおこないます。また看護師など医療スタッフに対してそれらの実務の指示をおこなうのも医師の仕事です。多くの人から尊敬・感謝される仕事であるものの、最近は医師にクレームをつける人が増えるなど、大変過酷な仕事であるといえます。また臨床医は自分で医院を構える「開業医」と、総合病院などに勤務する「勤務医」があります。開業医だと、年収も勤務医の2倍近くになります。
一方、研究医の仕事も楽ではありません。難病の治療法やより安全かつ効果的な治療法を見つけ出すため、毎日、膨大な量の研究データを収集し、新たな治療法、新たな薬品の効果を分析・検証します。もちろん、実験や研究の結果は論文として執筆し、学術誌などに発表することもあります。
おおよその年収
非常に高度な専門知識と大きな責任が求められるため、平均年収は約1100万円と高給です。また美容整形外科医などの場合、他の医師よりも年収が高く、年収3000万円~5000万円という人もいるようです。
求められる能力 ~高い専門知識と精神的・肉体的強さ~
医師になるには、まずは医科大学や大学の医学部に進学することが絶対条件です。医学部はどの大学も非常に難易度が高く、入学するのも困難。単に知識を習得するだけでなく、他の学生たちが遊んでいるあいだも目標へ向かっていける強い意志が求められるでしょう。医学部(6年間)を修了したのちには、医師の国家試験を受けて免許を取得しなければいけません。免許取得後も、2年以上は研修医として勤務しなければならず、長い道のりを歩むことになります。また、医師として一人立ちしたあとでも、常に新たな医学知識を身につけていくことが重要でしょう。
そのうえで、精神的・肉体的なタフさが求められます。臨床医であれば毎日何人もの患者と向き合い、自らの判断で治療をおこないます。ときには手術をおこなう必要もあるでしょう。また研究医であっても、常に最新の医学知識を収集し、何度も実験と検証を重ね、安全・安心の治療法を確立していくわけです。どちらも人の命を預かることに変わりはなく、心身にかかるストレスをうまく対処することが求められます。
向いている人柄 ~責任感、手先の器用さ、信頼感~
臨床医はオペや細かい処置を行うので、集中力があり、手先が器用な人が向いています。また、患者に信頼してもらわなければ治療もうまくいくはずがありません。一人一人の患者と真摯に向き合い、「患者を助けたい」という意欲がある人は、医師として多くの人に信頼されるでしょう。さらに臨床医も研究医も、人の命を預かる仕事です。自分の判断でどのようなことが引き起こされるのかを見極め、高い責任感を持って仕事に取り組む姿勢が重要です。
そのほか、医師としては冷静に、自分の役割をまっとうすることが大切です。医学の世界は日々進化し、次々に新しい知識や技術が出てきます。そのような新しい知識や技術をどんどん吸収できる好奇心旺盛さも重要な資質です。
仕事のやりがい ~綿密な治療計画で病魔と闘う、完治をめざす~
患者とともに病魔と闘い、打ち勝ったときこそ、医師としての達成感を得られるはずです。「人の命を預かる」仕事は、緊張感がつきまとうものの、常に誇りが持てる仕事だといえます。また、研究医であれば、自ら難病の治療法を確立したり、より安全で効果的な治療法を発見したりした際などに大きなやりがいを得られるでしょう。人々の健康を守り、その命を助けることが、医師にとっての何よりの仕事のやりがいになるのです。
仕事の辛いところ ~人の死に直面するハードな仕事~
多くの人に尊敬され、年収も高い医師の仕事ですが、毎日の仕事は非常にハードです。自らの診断で他人の命・人生を左右する仕事ですし、実際に患者が亡くなってしまうこともあるでしょう。こうしたストレスや、人間関係の疲れから心身を病んでしまう医師も少なくありません。年収1000万円では割に合わないと考える人も少なくないようです。(ライター:二之形幸子)