食品開発技術者 ~新商品・新メニューを生み出す~
仕事の役割 ~新商品の企画から試作、品質管理まで~
食品開発技術者は、食品メーカーの開発部門に所属して、新商品やメニューの企画・開発・品質管理などを行う専門技術者です。所属する食品メーカーの事業に合わせて、調味料やお菓子、お惣菜、飲料にいたるまで、さまざまな食品の新しい味を創出します。また、ファミリーレストランやコンビニエンスストア、飲食店の開発部門でメニュー開発を手がける人もいます。
実際の業務においては、マーケティング部門や営業部門、製造部門とともに、どのような新商品が求められるのか綿密に企画します。開発すべき商品のコンセプトや方向性が決まったら、コストや安全性、栄養面などに配慮しながら研究と成分分析、改善を重ね、実際に商品を作ります。「これだ!」という味に完成するまで、社内外での試食・試飲を何度も行うこともあります。
「食」は、私たちの生活に欠かせない重要な要素。年齢や性別を問わずすべての人に必要なものであるうえ、特に近年は「健康」や「食の安全」への意識が高まっていますので、食品開発技術者に求められる役割は重要なものになっています。現場では、品質やおいしさを追究することはもちろん、衛生管理や栄養面への配慮も不可欠です。食品学や栄養学、食品衛生などの専門知識、品質管理や開発に関する正しい技術を持った食品開発技術者は、これからの時代、ますます必要とされていくでしょう。
おおよその年収
平均年収は約400万円と、他の職業に比べてやや高めの給与です。大手食品メーカーで40代になれば、年収は700万円程度になる人もいます。
求められる能力 ~幅広い専門知識と、よいものを開発しようとする根気強さ~
食品開発技術者に必須の資格はありませんが、食品衛生責任者、バイオ技術者、危険物取扱者、毒物劇物取扱責任者などの資格があるとよいでしょう。また、「食」を開発する仕事なので、食品学や栄養学、化学、衛生学、バイオテクノロジー、醸造技術などの開発、分析に関わる専門スキルが不可欠です。どのような成分・材料を加えればどのよう風味・触感・栄養になるのか、豊富な知識を持っていれば、それだけ開発・研究もスムーズに行えます。
また、食品開発は新しいものを生み出すための苦労や試行錯誤がつきものです。 開発現場では、研究や実験を何度も繰り返しながら、よいものを追求し根気強く取り組むことが大切でしょう。開発過程では、栄養面や化学物質に対する注意、安全や品質に対する知識も不可欠です。 そして何よりも、消費者のニーズやトレンドをおさえつつ、食品開発を行う姿勢が求められるでしょう。
向いている人柄 ~食べることが好きで研究心のある人~
新しい知識や技術を吸収したり、常によりよいものを追求したりする研究者的な資質が求められるので、向上心やチャレンジ精神がある人が向いています。自分のつくるものや仕事に対し、責任感とプライドを持って行動できる人が向いているでしょう。また、食に関する仕事なので、食べることが好き、いろんなことを分析・研究するのが好きな人に適性のある仕事です。
仕事のやりがい ~新商品を生み出しているというやりがい~
新商品を開発するには、数えきれないほどの試作・試食、分析など試行錯誤が必要になります。その分、商品が完成したときの喜びはひとしおでしょう。さらに、それがヒット商品となれば、この上ない達成感を感じられます。金銭的なことよりも、やりがいを重視して仕事をしている人が多く、好きなことを仕事にできる職業のひとつだと言えます。
仕事の辛いところ ~ヒット商品を生み出すプレッシャー~
よいものを生み出すために、何度も試行錯誤し、夜間まで研究をすることもあります。特に、コンビニ向けなどの食品を扱っている場合は、新商品開発のサイクルも速いので、決められた納期の中で仕事をしなければいけません。また、売れる商品をつくり出さなければいけないプレッシャーを常に抱える点が、この仕事の厳しさであるとも言えるでしょう。(ライター:二之形幸子)