オンライン商談で成果が出ない3つの要因 画面越しの信頼構築と提案術
「対面と同じように進めているのに、なかなか響かない」「画面共有の使い方が今一つ分からない」――。オンライン商談に苦手意識を持つ営業パーソンは少なくありません。実は、オンラインで成果を上げている営業パーソンには、共通する工夫があります。
今回は、オンライン商談でありがちな失敗パターンを分析し、画面越しでも効果的な商談を実現する方法を解説します。オンラインならではの特徴を活かした、新しい商談スタイルの確立を目指しましょう。
オンライン商談の本質
まずは、オンライン商談の特徴を正しく理解しましょう。
1.新しい工夫が必要
オンライン商談は、単なる対面商談のウェブ移行ではありません。画面共有やチャット機能など、オンラインならではの特徴を活かした商談スタイルが求められます。対面では当たり前にできていた非言語コミュニケーションが取りにくい分、新しい工夫が必要になります。
2.対面にないメリット
集中力が続きにくい、表情が読みにくいといったデメリットがある一方で、資料の即時共有や録画機能の活用など、対面にはないメリットもあります。これらの特性を理解し、適切に対応することが重要です。
3.必要なスキル
画面越しでも伝わる話し方、視線の合わせ方、資料の見せ方など、オンラインならではのコミュニケーションスキルが必要です。これらの「新しい対話力」は意識的に習得し磨いていく必要があります。
オンライン商談の鉄則
効果的なオンライン商談に必要な要素を見ていきましょう。
1.面談1回45分で設計
オンラインでは対面以上に集中力が重要です。45分を目安に区切り、必要に応じて休憩を入れるなど、メリハリのある進行を心がけます。特に、説明が長くなりがちな提案パートは、複数回に分けることも検討します。
2.双方向性:対話を重視
一方的な説明を避け、こまめに質問や確認を入れるなど、対話を重視した進行を心がけます。チャット機能も活用し、気軽に意見や質問ができる雰囲気づくりを心がけます。
3.視覚効果:画面共有を活用
文字だけでなく、図表やアニメーションを効果的に使用し、視覚的な理解を促進します。特に複雑な概念や仕組みの説明では、視覚効果が理解度を大きく左右します。
そのオンライン面談は失敗する
典型的な失敗パターンとその改善方法を見ていきましょう。
1.対面と同じ進め方
オンラインの特性を考慮せず、従来通りの長時間説明を行うケースです。45分を目安とした区切りの良い説明と、適度な休憩の設定が必要です。
2.一方的な説明
画面共有した資料の説明に終始し、お客様との対話が不足しているケースです。定期的な質問や確認を交えた、双方向のコミュニケーションを心がける必要があります。
3.視覚効果のない資料
オンラインならではの視覚効果を活かせていないケースです。図解やアニメーション、ポインターの活用など、視覚的な理解を促す工夫が必要です。
改善に向けたステップ
実践的な改善方法を詳しく見ていきましょう。
1.事前準備は念入りに
画面共有する資料の準備では、資料の構成に特に注意を払います。導入(5分)→現状確認(10分)→課題整理(10分)→解決策提案(15分)→質疑応答(5分)といった具合に、時間配分を明確にします。
文字の大きさ、コントラスト、アニメーションの動作確認なども必ず行います。特に図表やグラフは、画面共有での見やすさを考慮した設計が必要です。また、画面の切り替えをスムーズに行えるよう、必要な資料は事前に開いておきます。画質や見やすさも重要です。
2.進行はメリハリつけて
15分単位でアジェンダを設計し、メリハリのある進行を心がけます。冒頭では「本日は45分程度を予定しております」と明確に伝え、途中で「ここまでで15分が経過しました」といった進行状況も共有します。説明が長くなりそうな場合は「ここで一度、ご質問や確認事項はございますか?」と区切りを入れます。
3.顧客の発言を促す
お客様の参加意識を高めるため、双方向性を心がけます。定期的に「ここまでの説明で、ご不明な点はございますか?」と質問を投げかけ、「チャットでもご質問いただけます」と伝えて発言しやすい環境を整えます。画面共有中も、お客様の表情が確認できる位置にビデオ画面を配置し、反応を見ながら進めます。
4.資料に工夫を加える
視覚的な理解を促進するため、複雑な概念は図解で示し、重要なポイントはアニメーションで強調します。また、ポインターを使って説明箇所を明確に示し、「ここをご覧ください」といった声掛けも忘れずに行います。
5.記録を活用する
録画機能を活用し、振り返りを行います。説明の分かりやすさ、時間配分、お客様との対話の質など、多角的な視点で自身の商談を評価します。特に、お客様の反応が薄かった場面や、説明が冗長になった箇所は、改善点として具体的に記録します。
オンラインを味方につけて
オンライン商談は、決して対面の代替手段ではありません。画面共有やチャット、録画機能など、対面にはないメリットを活かせる機会です。最初は慣れないかもしれませんが、まずは基本的な機能を使いこなすところから始めましょう。
工夫を重ねることで、対面以上の成果を上げられる可能性があります。オンラインならではの特徴を理解し、それを活かした新しい商談スタイルを確立することが、これからの時代に求められる営業スキルとなっていきます。