営業マネージャーが「目標未達」からはい上がる5つの改善策
「目標未達が続いているのに、何から手をつければいいか分からない」――。多くの営業マネージャーは、目標未達の状況で「もっと頑張ろう」という精神論や、「とにかく数を増やそう」という量的アプローチに走りがちです。
しかし、本当に必要なのは、現状を正しく分析し、効果的な改善策を講じることです。今回は、営業目標を達成できていない時に、具体的に何をどう見直すべきかを解説します。
改善の5つの視点
目標未達の状況を改善するには、以下の5つの視点での分析が必要です。
1.「商談の質」を上げる
単に商談件数を増やすのではなく、案件の質を見極めることが重要です。優先順位の付け方、案件の選別基準、成約確度の判断など、「良い商談」を見分ける目を持つ必要があります。例えば、「大手企業だから良い案件」という思い込みが、実は時間の無駄を生んでいるかもしれません。
2.「活動の量」を上げる
ただ忙しいことと、成果につながる活動量は異なります。商談件数、顧客接点、提案機会など、本当に必要な活動に十分な時間を確保できているか。また、その活動は効率的に行われているかを検証する必要があります。
3.「提案内容」を点検する
顧客のニーズと提案内容がマッチしているか、競合との差別化ができているか、価格と価値のバランスは適切かなど、提案の質を点検する必要があります。同じような提案を繰り返していても、成果は上がりません。
4.「時間の使い方」を変える
営業メンバーが本来の営業活動に十分な時間を確保できているか、確認が必要です。内部の会議や事務作業、移動時間など、様々な業務に追われ、肝心の商談準備や顧客折衝の時間が圧迫されていないでしょうか。
5.「組織的な連携」を整備する
営業部門だけでなく、技術、製品開発、マーケティングなど、関連部門との連携は十分か。必要な時に必要なサポートを得られる体制になっているか。組織的な支援体制の見直しも重要です。
そのマネジメントでは失敗する
目標未達の際によく見られる失敗パターンを理解し、改善の方向性を考えます。
1.表面的な数値追求
「とにかく商談件数を増やそう」と安易に量的な解決を図るケースです。結果として、勝てる見込みの低い案件にも時間を取られ、かえって成果が上がらなくなってしまいます。メンバーの疲弊も懸念されます。
2.精神論への依存
「もっと頑張れば何とかなる」と、具体的な改善策のないまま精神論で乗り切ろうとするケースです。メンバーのモチベーションは重要ですが、それだけでは本質的な改善には至りません。
3.従来手法への固執
「今までこれでやってきた」と、環境変化に応じた方法の見直しができないケースです。顧客ニーズや市場環境は常に変化しており、それに合わせた改善が必要です。
改善に向けたステップ
目標達成に向けた改善は、以下の4つのステップで進めていきます。
1.現状の客観的な分析
まず重要なのは、これまでの活動と成果を数値で把握することです。商談の成約率を案件属性別、担当者別に分析し、どのような案件で成果が出ているのかを理解します。
また、商談の所要期間を商材別、顧客業種別に確認し、効率的に進められている分野とそうでない分野を明確にします。
さらに、メンバーの活動時間の内訳を分析し、実際の商談や提案準備にどれだけの時間が確保できているのかを把握します。
2.重点テーマの設定
分析結果から、最も効果が高いと思われる改善テーマを選定します。例えば、特定の業種や規模で成約率が高い場合は、そのような案件への注力を検討します。
商談準備時間が不足している場合は、内部業務の見直しを優先します。また、技術的な支援が不足している場合は、組織的なサポート体制の強化を重点テーマとします。
3.具体的な施策の実行
選定したテーマに対し、具体的な施策を展開します。案件の選別基準を明確にし、メンバー全員で共有します。内部業務の効率化や削減を進め、本質的な営業活動の時間を確保します。
また、サポート部門との定例会議を設定し、スムーズな連携体制を構築します。重要なのは、各施策の効果を測定できる形にすることです。
4.継続的なモニタリング
施策の実行状況と効果を定期的に確認します。週次での進捗確認、月次での効果測定、四半期での見直しといったサイクルを確立し、必要に応じて軌道修正を行います。数値の変化だけでなく、メンバーの行動変化や顧客からの反応なども含めて、総合的に評価することが重要です。
目標達成に向けて
目標未達の状況は、チーム全体で改善に取り組むチャンスです。「とにかく頑張る」ではなく、この5つの視点で現状を分析し、具体的な改善策を講じることが重要です。一度にすべてを変える必要はありません。最も効果が高いと思われる施策から、着実に実行していきましょう。
特に重要なのは、改善活動を一過性のものにしないことです。数値の改善は、必ず具体的な行動の変化から始まります。そして、その変化を定着させ、さらなる改善につなげていく。このサイクルを回し続けることで、チーム全体の営業力は着実に向上していきます。