UI・UXデザイナー ~アプリケーションの使い勝手をデザイン~
仕事内容の役割 ~ユーザーの「使用感」を考える~
Webデザインやスマホアプリのデザインにおいて、見た目の美しさだけでなく、操作性や使い勝手を追求したデザインをおこなうのがUI・UXデザイナーの仕事です。UIとUXを簡単に説明すると以下のようになります。
●UI=ユーザー・インターフェース(User Interface)。Webサイトやアプリケーションソフトなどにおけるアイコンデザインや画面構成、表示される文字など、ユーザーが目にしたり、実際に操作したりる箇所のこと。
●UX=ユーザ・エクスペリエンス(User Experience)。Webサイトやアプリケーションソフトなどのサービス・製品を使う際に得られるユーザーの体験全体。
通販サイトを例に考えてみると、購入ボタンや検索ボタンをクリックしやすい大きさ、直感的に理解しやすい形状、誤クリックしにくい配置などを考えることがUIデザインです。また、購入ボタンをクリックすると、一瞬光って購入したことがわかるようにしたり、商品写真をピンチ(タッチパネル上で指で拡大・縮小すること)できるようにしたりするのがUXデザインです。UIは使い勝手や操作性を、UXは「使っていて楽しい」「面白い!」をデザインするわけです。
実際の業務では、Webサイトやスマホアプリの開発において、誰もが簡単に使えるように工夫してテストを重ね、その結果をデザインに反映させていきます。一度リリースしたスマホアプリでも、ユーザーからの実際の声を拾い上げて、バージョンアップ時に再度デザインし直すこともあるでしょう。近年は特にスマホアプリ(ゲームを含む)のUI・UXは売上やユーザー数増加に直接影響することもあって、UI・UXデザイナーの需要は伸び続けています。
おおよその年収
平均年収は400万円~500万円ほどです。日本ではまだUI・UXデザイナーはWebデザイナーの一部と見られがちで、年収もそれほど高くはありません。ただし海外での評価は高く、年収2000万円にもなるといわれています。いずれは、日本でもUI・UXデザイナーの地位が向上し、年収も上がっていくでしょう。
求められる能力 ~デザインだけではなく心理学などの知識も大切~
UI・UXデザイナーに求められるスキルは、まずWebデザインに関する知識・スキルが必須です。そのうえで、クライアントや上司の要望を的確につかむコミュニケーション能力も不可欠です。仕事内容によっては専門家と協力しながら業務を進めることもあるので、専門知識を身につける向上心や話術も必然的に求められます。
また、人並み以上の想像力がなければ、ユーザーの気持ちを考えたデザインをすることができません。ユーザーがどのように使うか、どう使われるかを想像し、アプリケーションの使い勝手や便利さを考えながら、設計段階からイメージすることが大切です。さまざまな視点で客観視できるかどうかが、UI・UXデザイナーに最も求められるスキルといえるでしょう。心理学や色彩デザインといった人間の行動に関する知識が求められることもあります。
向いている人柄 ~ユーザー目線で想像できる人~
スマホアプリやWebサイトのデザインは、サービスや企業イメージと直結するほど重要な要素になりつつあります。毎年、トレンドが変わるので、新しい情報や技術に敏感な人が向いています。そして、デザインをユーザー目線で考え、細かいところにも気を配ることができる人は活躍の場も増えていきそうです。また、クライアントやプロデューサーとコミュニケーションをする上で、専門用語ではなく、わかりやすく噛み砕いて説明できる人だと、仕事もスムーズに進んでいくでしょう。
仕事のやりがい ~スマホの進化とともに今後が期待される職業~
どんどん進化するスマートフォンやタブレット端末。当然、アプリケーションも増えていくため、UI・UXデザイナーの役割はますます重要になっていくでしょう。日本ではまだまだ認知度の低い職業ですが、海外ではすでに高い年収を稼ぎ出す職業になっています。
UI・UXデザイナーは、デザインとエンジニアリングとビジネスのちょうど中間に立ち位置があります。この3者と連携し、お互いの専門領域をカバーしあいながらできあがったデザインは達成感もひとしおでしょう。自分がデザインしたアプリケーションがヒットしたり、収益に貢献したりと、ユーザーの反応がダイレクトに伝わってくるのも仕事の魅力です。
仕事の辛いところ ~仕事領域の曖昧さからオーバーワークになり気味~
UI・UXデザイナーは、地位が確立されていないので、ときに、自分の容量を超えたマルチな能力が求められることがあります。クライアントからも非常に幅広い能力を求められ、神経をすり減らしてしまうこともあるようです。また、トレンドが目まぐるしく変わるので、「流行遅れ」にならないために次々と情報を追うことに躍起になり、気づいたときにはプライベートも仕事のことを考えている状態になってしまうようです。(ライター:二之形幸子)