• 困り者だがハマると大活躍 職場の「シリコンバレー症候群」を活用せよ

    ビル・ゲイツ氏といえば、世界最大のコンピューターソフトウエア会社マイクロソフトの創業者だが、精神科医で「アスペルガー症候群」(幻冬舎)の著者である岡田尊司氏によると、彼は発達障害の一種であるアスペルガー症候群である可能性が高いという。

    自分が興味を持ったことに並外れた情熱とこだわりを持つ反面、共感性に乏しく対人関係が不器用だ。ぶしつけな発言をしたり、行動も周りとズレているように見えるのが、この症候群の特徴である。

    一つの仕事や分野を任せ、長く取り組ませると能力を発揮

    ゲイツ氏ほど突出した人間でないにせよ、アイデアは豊富だが「社長、いつ辞めるんですか?」と発言して周りを慌てさせたり、仕事熱心だが周りとの会話は一方通行で暴走しがちな人は職場には珍しくないだろう。

    特にシリコンバレーで働く人の中では、すでに1割がアスペルガー症候群に該当すると言われ、別名「シリコンバレー症候群」という呼び名すらあるらしい。彼らが活躍できているのはシリコンバレーという変化の激しい世界で、既存の概念を打ち破り、独創的なものを新しく生み出すことができているからだ。

    岡田氏はこのことを引き合いに、企業もアスペルガー症候群の人たちに活躍してもらわなければ、今後の発展はおぼつかないという。アスペルガー症候群の人が増えているのも、彼らが社会的な淘汰にも強く、子孫を残しやすいからという分析もあるそうだ。

    ただし彼らは、いささか扱いにくい面があるのも事実だ。周囲とうまくやりながら活躍してもらうには、次の点に注意する必要がある。

    まず、アスペルガー症候群の人たちは、自分のこだわりや関心を優先する傾向がある。そこで、複数の仕事をいっぺんに与えるのではなく、一つの仕事や分野を任せ、長く取り組ませると能力をよく発揮してくれる。

    また、時間管理が苦手のため、業務のマネジメントをサポートしてくれる存在も必要だ。こうした点に注意すれば、彼らは周りの社員にとって実は「頼もしい存在」でもある。

    業務の習得は早い。周囲が工夫してサポートしてあげよう

    確かに、周囲とのコミュニケーションについては「他人に聞いてはいけないこと」から「相手への視線の持って行き方」まで、具体的にアドバイスしてあげる必要がある。

    しかし、業務のそのものに対しては独学好きなため、ふつうの社員よりも習得が早く、教育する手間が省けたりする。

    また、仕事に対するモチベーションが、世俗的な欲望ではなく、自分が興味を抱いたりこだわりを持ったことから来ているため、周りの人間が「割に合わない」「単調だ」「プレッシャーがきつすぎる」と感じる仕事にも淡々と取り組むことができる。

    つまり、共感性に乏しく周りとズレているという特徴が、逆に強みになっているのだ。

    周りに「ちょっとズレてるが、ハマるとすごい」という社員がいたならば、仕事の内容や働き方について周りが工夫してサポートしてあげると、とたんに活躍する場面が増え、組織も盛り上がるかもしれない。

    【働く人に役立つ「企業インサイダー」の記事はこちら】

     

     

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