若い人材に「投資」しない会社の将来性はない 2012年8月31日 企業徹底研究 ツイート 会社の将来性は、どんなところで判断すべきか。 視点の1つは、「どのような分野でどのような『投資』をしているか」ということである。工場などの設備投資か、人材採用や育成か、国内か海外か、時には自社だけではなく、他社に投資する場合もある。 投資の目的は、将来における回収(リターン)だ。お金に余裕がないので投資ができないという言い分もあるが、景気が悪いときこそ戦略的な投資が欠かせない。 景気回復が望めそうな分野があれば、あらかじめ投資して好景気に備えるべきだ。国内の景気が悪ければ、海外で景気のいいところを探して投資するのが当然だ。 それができない会社は、いくら規模が大きな企業でも将来の安定性や成長は危うい。 ◇ 将来への布石が手薄な会社が多い 企業の社員は、自社の「投資」についてどう捉えているか。キャリコネの口コミで見てみよう。 花王の総務部門で働く30代後半の男性社員は、自社の状況をこう見ている。 「国内では独自の販売網もありシェアも高いが、なかなか海外展開ができない。特に、中から見ると競合他社ほどアジアに積極投資していないように感じるところがある」 花王といえば、最近になって上海やジャカルタでの新工場建設を発表したばかりだ。稼働は早くても2~3年先になる。 特に人口が急増するインドネシアでは、すでにP&Gやユニリーバ、ユニ・チャームなどがしのぎを削っており、出遅れ感を抱く社員もいるようだ。 ヤマハ発動機で電子回路設計を担当する30代前半の男性社員も、自社の戦略を批判的に見ている。 「グローバル化戦略が、将来の市場の可能性よりも目先の収支につられ、ライバル社の二番煎じでコスト競争に走る傾向がある。もう少し単年毎の一喜一憂よりも、将来への布石を考える気風が必要」 短期的な収益を重視すれば、「投資」などしない方が成績表の見映えはよくなるが、それによって将来性を損ねてもいいのか。IHIの研究開発に携わる40代男性も、このような矛盾を鋭く指摘している。 「最近は、直近のことに注力しすぎ、将来が危ぶまれる。経営陣の任期が短く、その間の業績に意識が集中し、業種として将来への投資が不可欠であるにもかかわらず、ほとんど取り組まれていない」 ◇ 日機装の20代男性「若い人を海外に行かせるべき」 いくら大手といえども、市場の変化に先んじて投資を行わなければ未来はない。この点は就活生に特に知ってもらいたい事実だ。NECの経営企画で働く40代の男性社員は、自社の現状をかなり危惧している。 「軸となる商品がなく、業績は明らかに低迷している。先行投資する余力がなく、当面の事業運営すら厳しくなっているように見える。将来性にも大きな問題があるといわざるを得ない」 一方、特殊ポンプや人工透析装置のメーカー、日機装の20代前半の男性社員は、「海外」「人材」というキーワードで人材投資について意欲的に語っている。 「若い人を海外に行かせるべき!もっと中国に対して進出して海外グローバル経済の対応に力をしっかりと入れるべきと思います。日本だけではもう儲けることがかなり難しくなっているのだから。若い人達に先行投資をして海外での勤務をもっとさせるべきだと思います」 定年延長と継続雇用のあおりを受けて、新規採用が抑制されることの最大の罪は、「将来活躍する可能性のある人材」への投資が停滞することだ。中期的な視点で会社の「成長」や「投資」を考えられる経営者であれば、そんな愚かなことはしないはずだ。 【その他の企業徹底研究の記事はこちら】 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年7月末現在、45万社、19万件の口コミが登録されています。
若い人材に「投資」しない会社の将来性はない
会社の将来性は、どんなところで判断すべきか。
視点の1つは、「どのような分野でどのような『投資』をしているか」ということである。工場などの設備投資か、人材採用や育成か、国内か海外か、時には自社だけではなく、他社に投資する場合もある。
投資の目的は、将来における回収(リターン)だ。お金に余裕がないので投資ができないという言い分もあるが、景気が悪いときこそ戦略的な投資が欠かせない。
景気回復が望めそうな分野があれば、あらかじめ投資して好景気に備えるべきだ。国内の景気が悪ければ、海外で景気のいいところを探して投資するのが当然だ。
それができない会社は、いくら規模が大きな企業でも将来の安定性や成長は危うい。
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将来への布石が手薄な会社が多い
企業の社員は、自社の「投資」についてどう捉えているか。キャリコネの口コミで見てみよう。
花王の総務部門で働く30代後半の男性社員は、自社の状況をこう見ている。
「国内では独自の販売網もありシェアも高いが、なかなか海外展開ができない。特に、中から見ると競合他社ほどアジアに積極投資していないように感じるところがある」
花王といえば、最近になって上海やジャカルタでの新工場建設を発表したばかりだ。稼働は早くても2~3年先になる。
特に人口が急増するインドネシアでは、すでにP&Gやユニリーバ、ユニ・チャームなどがしのぎを削っており、出遅れ感を抱く社員もいるようだ。
ヤマハ発動機で電子回路設計を担当する30代前半の男性社員も、自社の戦略を批判的に見ている。
「グローバル化戦略が、将来の市場の可能性よりも目先の収支につられ、ライバル社の二番煎じでコスト競争に走る傾向がある。もう少し単年毎の一喜一憂よりも、将来への布石を考える気風が必要」
短期的な収益を重視すれば、「投資」などしない方が成績表の見映えはよくなるが、それによって将来性を損ねてもいいのか。IHIの研究開発に携わる40代男性も、このような矛盾を鋭く指摘している。
「最近は、直近のことに注力しすぎ、将来が危ぶまれる。経営陣の任期が短く、その間の業績に意識が集中し、業種として将来への投資が不可欠であるにもかかわらず、ほとんど取り組まれていない」
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日機装の20代男性「若い人を海外に行かせるべき」
いくら大手といえども、市場の変化に先んじて投資を行わなければ未来はない。この点は就活生に特に知ってもらいたい事実だ。NECの経営企画で働く40代の男性社員は、自社の現状をかなり危惧している。
「軸となる商品がなく、業績は明らかに低迷している。先行投資する余力がなく、当面の事業運営すら厳しくなっているように見える。将来性にも大きな問題があるといわざるを得ない」
一方、特殊ポンプや人工透析装置のメーカー、日機装の20代前半の男性社員は、「海外」「人材」というキーワードで人材投資について意欲的に語っている。
「若い人を海外に行かせるべき!もっと中国に対して進出して海外グローバル経済の対応に力をしっかりと入れるべきと思います。日本だけではもう儲けることがかなり難しくなっているのだから。若い人達に先行投資をして海外での勤務をもっとさせるべきだと思います」
定年延長と継続雇用のあおりを受けて、新規採用が抑制されることの最大の罪は、「将来活躍する可能性のある人材」への投資が停滞することだ。中期的な視点で会社の「成長」や「投資」を考えられる経営者であれば、そんな愚かなことはしないはずだ。
【その他の企業徹底研究の記事はこちら】
*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年7月末現在、45万社、19万件の口コミが登録されています。