「日本法人は中国の出張所」 失われつつあるアジアNo.1経済国の座 2012年9月20日 企業徹底研究 ツイート 中国における「反日騒動」について、ニューヨーク・タイムズが「人民日報」の社説をそのまま引用した記事を掲載して話題となった。それも「どうして日本は新たに失われた10年を求めるようなことをするのか」という挑発的な内容だ。 なぜこのようなことが起きたのか。グローバルなメディアにおいては、いまやアジア総局の位置づけを中国にシフトし、アジアを代表する優秀な記者を東京ではなく北京や上海に配置しているからなのである。 今回の騒動で何が正義なのかは別として、すでに「アジアの中心は中国」という欧米工作が進んでいるということが分かった。それは中国の成長市場としての魅力のせいでもあるし、日本の経済衰退も一因である。 中国の巧みな「外交」の成果という側面もあるのかもしれない。ともかく私たち日本人は、これまで指定席のつもりだった「アジアNo.1」の座から、いつの間にかズリ落ちていたことに直面することとなった。 ◇ 「日本人は常に言いなり。顔色をうかがっている」 キャリコネに寄せられた各社社員の口コミを見ても、グローバル企業で「アジア統括」が中国に移転し、上司が中国人になっているケースが少なからず見られる。世界最大級の審査・検査機関の日本法人、SGSジャパンの40代前半の男性社員は会社の状況をこう説明する。 「本社がスイスのジュネーブにあるが、グローバルの組織上、日本の上に、中国人、台湾人がいる。日本のマネージメントは常に中国人、台湾人の顔色ばかりうかがっていて、日本で決められることが限られている」 この会社では、セクションによっては中国人トップと台湾人トップの派閥争いがあり、「それに付き合わされる日本は惨め」と感じている。 重電メーカーの日本法人、ABBジャパンでも、日本人のイニシアチブが取れず、30代後半の男性社員は業を煮やしている。 「同社にとって日本法人の位置づけは、中国法人の出張所。すべて外人の言いなり。日本法人としての明確なビジョンを持って経営に当たらないと、日本のマーケットでは相手にされないであろう」 もしかすると、少子高齢化で内需縮小が見込まれる日本は、将来の重要なマーケットではないので、すでに手を抜かれているのかもしれない。 ◇ ソニー社員「もう落ちていく企業でしかない」 日本ヒューレット・パッカードの30代前半の男性社員によると、グローバルの人件費が他のアジア諸国に配分されてしまい、日本に回ってこなくなっているという。 「本国から日本に割り当てられた昇給の原資によってその年の昇給額が決まるが、成長率の高い中国やインドへの配分が多くなっているのか、日本では微々たる額しか昇給しない」 まったく同じことを、日本オラクルの30代後半の男性社員も明かしている。外資系企業に勤めたいと思っている人は、この点に注意が必要だろう。 「(給与は)新卒入社時は比較的高いが、その後はほとんど上がらない。理由はグローバルでベースアップの予算を配分する際、各国の離職率を基準に配分するため、離職率の低い日本に回ってくる予算は限りなく小さい(中国やインドに多く回っているようです) 」 とはいえ、これから日本が中国に対抗していけると自信を持って言える人は、そう多くないかもしれない。ソニーに勤める20代前半の男性社員は、最近は製造だけでなく設計までも中国にやらせていることが非常に多くなっており、会社に将来性が感じられないと落胆している。 「正直、社員はなにをやればいいのやら。世界のソニーに入れて浮かれていましたが、考えが甘かったです。もう落ちていく企業でしかないと感じたので、さっさと転職しようと考えています」 【その他の企業徹底研究の記事はこちら】 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年8月末現在、45万社、19万件の口コミが登録されています。
「日本法人は中国の出張所」 失われつつあるアジアNo.1経済国の座
中国における「反日騒動」について、ニューヨーク・タイムズが「人民日報」の社説をそのまま引用した記事を掲載して話題となった。それも「どうして日本は新たに失われた10年を求めるようなことをするのか」という挑発的な内容だ。
なぜこのようなことが起きたのか。グローバルなメディアにおいては、いまやアジア総局の位置づけを中国にシフトし、アジアを代表する優秀な記者を東京ではなく北京や上海に配置しているからなのである。
今回の騒動で何が正義なのかは別として、すでに「アジアの中心は中国」という欧米工作が進んでいるということが分かった。それは中国の成長市場としての魅力のせいでもあるし、日本の経済衰退も一因である。
中国の巧みな「外交」の成果という側面もあるのかもしれない。ともかく私たち日本人は、これまで指定席のつもりだった「アジアNo.1」の座から、いつの間にかズリ落ちていたことに直面することとなった。
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「日本人は常に言いなり。顔色をうかがっている」
キャリコネに寄せられた各社社員の口コミを見ても、グローバル企業で「アジア統括」が中国に移転し、上司が中国人になっているケースが少なからず見られる。世界最大級の審査・検査機関の日本法人、SGSジャパンの40代前半の男性社員は会社の状況をこう説明する。
「本社がスイスのジュネーブにあるが、グローバルの組織上、日本の上に、中国人、台湾人がいる。日本のマネージメントは常に中国人、台湾人の顔色ばかりうかがっていて、日本で決められることが限られている」
この会社では、セクションによっては中国人トップと台湾人トップの派閥争いがあり、「それに付き合わされる日本は惨め」と感じている。
重電メーカーの日本法人、ABBジャパンでも、日本人のイニシアチブが取れず、30代後半の男性社員は業を煮やしている。
「同社にとって日本法人の位置づけは、中国法人の出張所。すべて外人の言いなり。日本法人としての明確なビジョンを持って経営に当たらないと、日本のマーケットでは相手にされないであろう」
もしかすると、少子高齢化で内需縮小が見込まれる日本は、将来の重要なマーケットではないので、すでに手を抜かれているのかもしれない。
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ソニー社員「もう落ちていく企業でしかない」
日本ヒューレット・パッカードの30代前半の男性社員によると、グローバルの人件費が他のアジア諸国に配分されてしまい、日本に回ってこなくなっているという。
「本国から日本に割り当てられた昇給の原資によってその年の昇給額が決まるが、成長率の高い中国やインドへの配分が多くなっているのか、日本では微々たる額しか昇給しない」
まったく同じことを、日本オラクルの30代後半の男性社員も明かしている。外資系企業に勤めたいと思っている人は、この点に注意が必要だろう。
「(給与は)新卒入社時は比較的高いが、その後はほとんど上がらない。理由はグローバルでベースアップの予算を配分する際、各国の離職率を基準に配分するため、離職率の低い日本に回ってくる予算は限りなく小さい(中国やインドに多く回っているようです) 」
とはいえ、これから日本が中国に対抗していけると自信を持って言える人は、そう多くないかもしれない。ソニーに勤める20代前半の男性社員は、最近は製造だけでなく設計までも中国にやらせていることが非常に多くなっており、会社に将来性が感じられないと落胆している。
「正直、社員はなにをやればいいのやら。世界のソニーに入れて浮かれていましたが、考えが甘かったです。もう落ちていく企業でしかないと感じたので、さっさと転職しようと考えています」
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*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年8月末現在、45万社、19万件の口コミが登録されています。