「ブラック企業ランキング」上位のトランスコスモス 元板前でも3か月で客先常駐 2013年5月28日 企業徹底研究 ツイート 2ちゃんねるには毎年「ブラック企業就職偏差値ランキング」が掲載される。2013年の殿堂入りは東京電力と原子力安全保安院。最高位は、東芝に大庄(居酒屋「庄や」グループ)、大王製紙にオリンパスで、ブラック偏差値は80だ。 今回は、ランキング上位からIT企業のトランスコスモスを取り上げる。この会社のブラック偏差値は69。大学偏差値でいえば、国立なら一橋大学の商学部、私立なら慶応義塾大学の経済学部に匹敵するハイレベルだ。 ITを活用したマーケティング、インターネット広告、コールセンター、情報処理、アウトソーシング事業などを手広く行なっており、システム開発の派遣サービスも手がけている。 口コミサイトのキャリコネのデータベースを検索すると、噂を裏付けるような労働環境の惨状が垣間見られる。これが本当なら違法行為が横行していることになる。 「とても辛い環境。残業は多く、残業代が出ないことも多くあります。そのためか離職率は高いです。ブラック企業としてインターネットでも有名ですので、 相当の覚悟がない限りここに就職するのはお勧めできません」(20代前半・システムエンジニア) 「パワハラとサービス残業によって成果を上げ、離職率を考えると非常にブラックだと思う。鬱になった人の数は通常の割合での発生ではない」(20代後半・コールセンター) いま話題のユニクロなどの比ではなさそうだ。入社したての若手の離職率が非常に高く、「本来は会社を支えるべき20代後半~30代半ばの社員の方が少ない」(20代後半、法人営業)状況だというから、戦力的には中途入社組に頼らざるをえない。 とはいえ、中途入社も少数精鋭というわけではなく、比較的入社のハードルを低くして競争と選別によってふるいにかけているようだ。大量採用、大量退職というやつである。共産党あたりが「使い捨て」といいそうな会社である。 しかしそんな一流ブラック企業にも、存在意義を認めている人たちがいる。20代前半のウェブ関連業務に携わる契約社員によると、「前の会社でヘマをしてこの会社にくる人を見かける」のだという。 「一応大手なのでクライアントが有名企業なのだが、それに関わっていることを自慢する田舎者が多数いる。ただ間口が広く誰でも受け入れられる。元板前でも3か月後にはWebデザイナーとして客先常駐している」 「とりあえず基礎知識の研修をして現場へ放り込まれる」 いわゆるFランクの低レベル大学の卒業生や、他の会社で大きな失敗して退職せざるを得なくなった人、大きなキャリアチェンジをしたいがスキルも経験もない人――。新卒一括採用の慣行の中で、そういう人たちには敗者復活の機会も少ないのが、日本社会の現状だ。 それを知っているから、みなレールから外れず、落ちこぼれまいと必死だ。 しかし中には、落ちこぼれに対しても、とりあえずやる気があれば仕事にかかわらせてくれて、自分の力でなんとか這い上がるきっかけとなる会社もある。口コミを見ると、トランスコスモスはそのような会社のひとつであるように思われる。 あるショップスタッフは、「とりあえず基礎知識の研修をして現場へ放り込まれる。知識研修をした人間も派遣社員からの契約(を始めてここまで来た)らしいので、(頑張れば上に)上がれる環境ではあるかもしれない」と言っている。 「元板前でも3ヶ月後にはWebデザイナーとして客先常駐」というのは極端な例だとしても、会社が研修をして客先に出してくれるのだから、わらにもすがりたい人には貴重な職場となるのではないか。 恵まれた環境に身を置きながら、「ブラック企業を根絶し、クリーンな職場を増やそう!」と主張している人は、自分ではよいことをしていると信じているだろう。しかしその主張によって「落ちこぼれ人材の再生工場」のような場所がなくなってしまうとしたら、これは必ずしもいいことなのだろうかと考えてしまう。 【その他の企業徹底研究の記事はこちら】
「ブラック企業ランキング」上位のトランスコスモス 元板前でも3か月で客先常駐
2ちゃんねるには毎年「ブラック企業就職偏差値ランキング」が掲載される。2013年の殿堂入りは東京電力と原子力安全保安院。最高位は、東芝に大庄(居酒屋「庄や」グループ)、大王製紙にオリンパスで、ブラック偏差値は80だ。
今回は、ランキング上位からIT企業のトランスコスモスを取り上げる。この会社のブラック偏差値は69。大学偏差値でいえば、国立なら一橋大学の商学部、私立なら慶応義塾大学の経済学部に匹敵するハイレベルだ。
ITを活用したマーケティング、インターネット広告、コールセンター、情報処理、アウトソーシング事業などを手広く行なっており、システム開発の派遣サービスも手がけている。
口コミサイトのキャリコネのデータベースを検索すると、噂を裏付けるような労働環境の惨状が垣間見られる。これが本当なら違法行為が横行していることになる。
「とても辛い環境。残業は多く、残業代が出ないことも多くあります。そのためか離職率は高いです。ブラック企業としてインターネットでも有名ですので、 相当の覚悟がない限りここに就職するのはお勧めできません」(20代前半・システムエンジニア)
「パワハラとサービス残業によって成果を上げ、離職率を考えると非常にブラックだと思う。鬱になった人の数は通常の割合での発生ではない」(20代後半・コールセンター)
いま話題のユニクロなどの比ではなさそうだ。入社したての若手の離職率が非常に高く、「本来は会社を支えるべき20代後半~30代半ばの社員の方が少ない」(20代後半、法人営業)状況だというから、戦力的には中途入社組に頼らざるをえない。
とはいえ、中途入社も少数精鋭というわけではなく、比較的入社のハードルを低くして競争と選別によってふるいにかけているようだ。大量採用、大量退職というやつである。共産党あたりが「使い捨て」といいそうな会社である。
しかしそんな一流ブラック企業にも、存在意義を認めている人たちがいる。20代前半のウェブ関連業務に携わる契約社員によると、「前の会社でヘマをしてこの会社にくる人を見かける」のだという。
「一応大手なのでクライアントが有名企業なのだが、それに関わっていることを自慢する田舎者が多数いる。ただ間口が広く誰でも受け入れられる。元板前でも3か月後にはWebデザイナーとして客先常駐している」
「とりあえず基礎知識の研修をして現場へ放り込まれる」
いわゆるFランクの低レベル大学の卒業生や、他の会社で大きな失敗して退職せざるを得なくなった人、大きなキャリアチェンジをしたいがスキルも経験もない人――。新卒一括採用の慣行の中で、そういう人たちには敗者復活の機会も少ないのが、日本社会の現状だ。
それを知っているから、みなレールから外れず、落ちこぼれまいと必死だ。
しかし中には、落ちこぼれに対しても、とりあえずやる気があれば仕事にかかわらせてくれて、自分の力でなんとか這い上がるきっかけとなる会社もある。口コミを見ると、トランスコスモスはそのような会社のひとつであるように思われる。
あるショップスタッフは、「とりあえず基礎知識の研修をして現場へ放り込まれる。知識研修をした人間も派遣社員からの契約(を始めてここまで来た)らしいので、(頑張れば上に)上がれる環境ではあるかもしれない」と言っている。
「元板前でも3ヶ月後にはWebデザイナーとして客先常駐」というのは極端な例だとしても、会社が研修をして客先に出してくれるのだから、わらにもすがりたい人には貴重な職場となるのではないか。
恵まれた環境に身を置きながら、「ブラック企業を根絶し、クリーンな職場を増やそう!」と主張している人は、自分ではよいことをしていると信じているだろう。しかしその主張によって「落ちこぼれ人材の再生工場」のような場所がなくなってしまうとしたら、これは必ずしもいいことなのだろうかと考えてしまう。
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