五輪特需で爆上げ「建設業界」 おいしい話に乗れるのか? 2013年9月16日 企業徹底研究 ツイート 大末建設、淺沼組、熊谷組、飛島建設、佐田建設…。2020年の夏季五輪が「東京」に決まった翌9月10日、東証一部の「値上がり率」上位には建設会社がぞろっと並んだ。売買代金1位の大成建設も、連日年初来高値を更新している。 メディア各社も、この「オリンピック特需」を一斉に報じた。ブルームバーグは9月10日に「東京開催決定によるインフラ整備拡大への期待が継続」とし、モーニングスターも同日、「インフラ整備による恩恵」のほか「空港拡張への期待感」もあるとしている。 転活・就活でも関心は高まっているようだが… そもそも、建設業界には追い風が吹いていた。アベノミクス「3本の矢」のひとつ、機動的な財政政策の主は「公共事業」だ。2013年度予算案(15か月予算)では公共事業費が約10億円とされている。「バラまき」の批判もあるが、落日とされていた建設業界にとって、これほどおいしい話はない。 加えてこの「五輪特需」である。転職や就職にも影響が出そうだ。実際にTwitterでも「今転職するなら建設業界か」「五輪のために建設用クレーンの免許取りに行く」といった書き込みから、「(先輩に)ゼネコンとか建設系興味ありますって言ったら、インフラ整備で食いっぱぐれないって言われた」と、転職者や就活生にも関心度合いは高まっているようだ。 しかし、業界がいくら勢いがあるといっても、仕事に対する適性についてはよく考えたほうがいい。あるエージェントは同業界について、「ものすごく体育会系。それが耐えられない人は向かない」と警告する。いわゆる昔カタギの「職人」が多い世界で、現場では罵声が飛び交うことも少なくないし、タテ社会がはっきりしている。 「入社して現場監督になったら、職人さんたちにものすごく気を遣わなければならない。さらにマンション建設ともなれば、住民理解のための説明会を開催するなど、ストレスは大きい仕事と言えるでしょうね」 業界の「恩恵」を受けられる可能性も? 前出の大手ゼネコン・大成建設の口コミを見てみると、その賛否両論ぶりがよく分かる。キャリコネ会員からは、こんな声が寄せられている。 「年功序列が残っているため、実力があっても不公平な判断をされることがよくある。残業も多く、帰宅時間は常に25時前後」(20代前半・建築設計) 施工とは、設計図に基づいて建設をすること。いわゆる叩き上げの「現場上司」が多く、上下関係は非常に厳しい。ただ、別の男性からは前向きな意見もある。 「大規模な建築の設計に携わることができ、経験値を積むことができる。社内は技術研究所等のバックアップが充実しており、周りにも優秀な方々が多い」(20代前半・建築設計) 業界を希望する前には、建設には「施主」と「設計」「施工」という3つの要素があるということくらいは勉強していくべきだ。 また、この業界で働くと、思わぬ恩恵もあるらしい。大手建設会社で北関東に単身赴任している男性は、土曜の朝に東京の自宅へ戻り、日曜の夜に職場へ戻る生活だ。一見つらそうに見えるが、あまり苦労している感じもない。その理由はこれだ。 「業者からの付け届けがすごい。お米30キロなどは当たり前で、イカなどの海産物、高級焼酎などのお酒と、正直かなり恵まれています」 そんな職場に当たったら、食いしん坊にはたまらないだろう。 【働く人に役立つ「企業インサイダー」の記事はこちら】
五輪特需で爆上げ「建設業界」 おいしい話に乗れるのか?
大末建設、淺沼組、熊谷組、飛島建設、佐田建設…。2020年の夏季五輪が「東京」に決まった翌9月10日、東証一部の「値上がり率」上位には建設会社がぞろっと並んだ。売買代金1位の大成建設も、連日年初来高値を更新している。
メディア各社も、この「オリンピック特需」を一斉に報じた。ブルームバーグは9月10日に「東京開催決定によるインフラ整備拡大への期待が継続」とし、モーニングスターも同日、「インフラ整備による恩恵」のほか「空港拡張への期待感」もあるとしている。
転活・就活でも関心は高まっているようだが…
そもそも、建設業界には追い風が吹いていた。アベノミクス「3本の矢」のひとつ、機動的な財政政策の主は「公共事業」だ。2013年度予算案(15か月予算)では公共事業費が約10億円とされている。「バラまき」の批判もあるが、落日とされていた建設業界にとって、これほどおいしい話はない。
加えてこの「五輪特需」である。転職や就職にも影響が出そうだ。実際にTwitterでも「今転職するなら建設業界か」「五輪のために建設用クレーンの免許取りに行く」といった書き込みから、「(先輩に)ゼネコンとか建設系興味ありますって言ったら、インフラ整備で食いっぱぐれないって言われた」と、転職者や就活生にも関心度合いは高まっているようだ。
しかし、業界がいくら勢いがあるといっても、仕事に対する適性についてはよく考えたほうがいい。あるエージェントは同業界について、「ものすごく体育会系。それが耐えられない人は向かない」と警告する。いわゆる昔カタギの「職人」が多い世界で、現場では罵声が飛び交うことも少なくないし、タテ社会がはっきりしている。
業界の「恩恵」を受けられる可能性も?
前出の大手ゼネコン・大成建設の口コミを見てみると、その賛否両論ぶりがよく分かる。キャリコネ会員からは、こんな声が寄せられている。
施工とは、設計図に基づいて建設をすること。いわゆる叩き上げの「現場上司」が多く、上下関係は非常に厳しい。ただ、別の男性からは前向きな意見もある。
業界を希望する前には、建設には「施主」と「設計」「施工」という3つの要素があるということくらいは勉強していくべきだ。
また、この業界で働くと、思わぬ恩恵もあるらしい。大手建設会社で北関東に単身赴任している男性は、土曜の朝に東京の自宅へ戻り、日曜の夜に職場へ戻る生活だ。一見つらそうに見えるが、あまり苦労している感じもない。その理由はこれだ。
そんな職場に当たったら、食いしん坊にはたまらないだろう。
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