LINEのゲーム課金に限界アリ? ゲーム好きでない「リアルグラフ」の問題点 2013年9月28日 企業徹底研究 ツイート ただのチャットアプリに留まらず、完全にプラットフォームになってしまったLINE。8月に発表した2013年4~6月期の連結売上高128億円のうち、ゲームは約53%とのことで、四半期で67億、月間で20億以上もの売り上げをゲームで上げていることになります。 App Storeのトップセールスや、Playストアのランキングを見てもLINEだらけ。「LINE ポコパン」「LINE PLAY」「LINE ウィンドランナー」「LINE POP」「LINE バブル」等、完全に上位に定着しています。 「凄いなー」と思う一方で、課題もあるのではないでしょうか。それはLINEが軸としている「リアルグラフの限界」です。 「ひとりだと面白くない」という盲点 実は皆が知らないだけでLINEは相当数のゲームをリリースしています。 この中で、上位に食い込んでくるアプリは5つ程度です。まぁ、当然と言えば当然ですし、充分すぎる数字ではあるのですが、LINEゲームは「リアルグラフ」を軸に運営をしているため、「他の人が遊んでいないとおもしろくない」のです。 例えば現在人気の「LINE ポコパン」にしても、パズルとしては非常に完成度が高く、おもしろいゲームではありますが、リアルグラフのランキングが無かったら、おもしろさが半減してしまうのではないでしょうか。 個人的な体験談としては、「LINE ウィンドランナー」がリリースされた当日にプレイしてみて、「おー、ソニックみたいでおもしろい」と思ったにも関わらず、ステージ制のゲームではなく、「ハイスコアを狙う繰り返しのカジュアルゲーム」だったため、離脱してしまいました。 それから数ヶ月して、プロモーション等の影響で友人が多くプレイするようになり、友人の得点が表示されたので再度プレイを開始しました。最初にプレイしていた時より継続もします。 仮に「1つのアプリに友人が30人以上プレイしていると面白い」としましょう。 1人が同時にプレイできるゲームはせいぜい3つ程度。100人のグラフがあったとすると、1人3つずつゲームをプレイして、300ゲームやれます。 10個のゲームに分散させれば1つのゲームあたり、プレイヤーが30人います。これなら面白いと思う人は多いでしょう。でも、これが30個のゲームに分散すると、プレイヤーは10人ずつしかいなくなってしまいます。 ゆえに上の例の場合、ヒットさせられるアプリは常に10個程度。Aという人気アプリが出ても、ほとんどのプレイヤーがBという既存アプリから流れてくるだけなので、LINEゲームの売上の天井はなかなか上がらないことになります。 しかも、LINEの利用率は10代で90%、20代で77%(ニールセン調査・2013年3月)とほぼ天井に近く、プレイヤーを増やすにも限界がありそうです。 気になる「LINE ツアーズ」の不発 このロジック自体に当然LINEは気が付いていて、プッシュするアプリは慎重に見極めているように思えます。ひっそりとリリースして、KPI値を観察し、「イケる」と思ったらLINEの見やすい位置に掲載しているのです(想定)。こういったところをLINEは凄く良く考えていて、戦略的です。 一方で上記の通り、リアルグラフがプレイするゲームには限界があるため、「1人プレイでもある程度おもしろいゲーム」を考案する(受け入れさせる)必要がある気もします。非常に戦略的なLINEですから、既に何か考えていそうなところもありますけど。 ハイスコア式ではなく、「Candy Crush Saga(世界的に人気のfacebookプラグインを利用した、リアルグラフを絡めたパズルゲーム)」のように、ステージ制で、尚且つリアルグラフで競わせるシステム等がうまく導入されれば、寿命が長そうで天井を突き上げるかもしれません。そのタイプの「LINE ツアーズ」が不発気味だったのは多少気になるところですけどね。 [とあるサイプロ] 【働く人に役立つ「企業インサイダー」の記事はこちら】
LINEのゲーム課金に限界アリ? ゲーム好きでない「リアルグラフ」の問題点
ただのチャットアプリに留まらず、完全にプラットフォームになってしまったLINE。8月に発表した2013年4~6月期の連結売上高128億円のうち、ゲームは約53%とのことで、四半期で67億、月間で20億以上もの売り上げをゲームで上げていることになります。
App Storeのトップセールスや、Playストアのランキングを見てもLINEだらけ。「LINE ポコパン」「LINE PLAY」「LINE ウィンドランナー」「LINE POP」「LINE バブル」等、完全に上位に定着しています。
「凄いなー」と思う一方で、課題もあるのではないでしょうか。それはLINEが軸としている「リアルグラフの限界」です。
「ひとりだと面白くない」という盲点
実は皆が知らないだけでLINEは相当数のゲームをリリースしています。
この中で、上位に食い込んでくるアプリは5つ程度です。まぁ、当然と言えば当然ですし、充分すぎる数字ではあるのですが、LINEゲームは「リアルグラフ」を軸に運営をしているため、「他の人が遊んでいないとおもしろくない」のです。
例えば現在人気の「LINE ポコパン」にしても、パズルとしては非常に完成度が高く、おもしろいゲームではありますが、リアルグラフのランキングが無かったら、おもしろさが半減してしまうのではないでしょうか。
個人的な体験談としては、「LINE ウィンドランナー」がリリースされた当日にプレイしてみて、「おー、ソニックみたいでおもしろい」と思ったにも関わらず、ステージ制のゲームではなく、「ハイスコアを狙う繰り返しのカジュアルゲーム」だったため、離脱してしまいました。
それから数ヶ月して、プロモーション等の影響で友人が多くプレイするようになり、友人の得点が表示されたので再度プレイを開始しました。最初にプレイしていた時より継続もします。
仮に「1つのアプリに友人が30人以上プレイしていると面白い」としましょう。
1人が同時にプレイできるゲームはせいぜい3つ程度。100人のグラフがあったとすると、1人3つずつゲームをプレイして、300ゲームやれます。
10個のゲームに分散させれば1つのゲームあたり、プレイヤーが30人います。これなら面白いと思う人は多いでしょう。でも、これが30個のゲームに分散すると、プレイヤーは10人ずつしかいなくなってしまいます。
ゆえに上の例の場合、ヒットさせられるアプリは常に10個程度。Aという人気アプリが出ても、ほとんどのプレイヤーがBという既存アプリから流れてくるだけなので、LINEゲームの売上の天井はなかなか上がらないことになります。
しかも、LINEの利用率は10代で90%、20代で77%(ニールセン調査・2013年3月)とほぼ天井に近く、プレイヤーを増やすにも限界がありそうです。
気になる「LINE ツアーズ」の不発
このロジック自体に当然LINEは気が付いていて、プッシュするアプリは慎重に見極めているように思えます。ひっそりとリリースして、KPI値を観察し、「イケる」と思ったらLINEの見やすい位置に掲載しているのです(想定)。こういったところをLINEは凄く良く考えていて、戦略的です。
一方で上記の通り、リアルグラフがプレイするゲームには限界があるため、「1人プレイでもある程度おもしろいゲーム」を考案する(受け入れさせる)必要がある気もします。非常に戦略的なLINEですから、既に何か考えていそうなところもありますけど。
ハイスコア式ではなく、「Candy Crush Saga(世界的に人気のfacebookプラグインを利用した、リアルグラフを絡めたパズルゲーム)」のように、ステージ制で、尚且つリアルグラフで競わせるシステム等がうまく導入されれば、寿命が長そうで天井を突き上げるかもしれません。そのタイプの「LINE ツアーズ」が不発気味だったのは多少気になるところですけどね。
[とあるサイプロ]
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