ファナック 増益企業トップランクも社内は創業者の”独裁色”が巣くう 2012年2月29日 今日の口コミ&年収 ツイート 2011年4月-12月期の決算の増益企業203社(3月期決算企業、金融、電力、新興2市場を除く、売上高1000億円以上)を対象に日本経済新聞が増収率の高い企業をランキングした。その上位には工場の自動化投資やスマートフォン普及の恩恵を受けた企業が名を連ねた。 その1社がファナックだ。同社は自動車溶接に不可欠な多関節ロボットでは世界シェアトップランクの企業。2011年4月-12月期の増収率が23.1%、経常利益の増収率は22.9%で、ランキングでは13位につけた。2012年3月期は過去最高益を更新する見通しで、株価も高水準を維持している。 産業用ロボットは米欧の自動車メーカー向けの出荷が増え、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)製造に使う工作機械用数値制御(NC)装置でも大型受注を獲得したことが好業績の背景にある。 日経は「稲葉清右衛門名誉会長は2014年3月期の売上高を前期実績の約2倍の1兆円に増やす目標を掲げている。また、茨城県に新工場の建設も決めた」と報じている。 注目されるのが、短い記事の中に、あえて「稲葉清右衛門名誉会長」という個人名を記載していることだ。その理由はなぜか。ファナックの社風と併せてキャリコネの口コミから探ってみた。 ◇ 30代前半のフィールドエンジニアの男性社員は、会社の経営状況について次のように述べている。 堅実そのもの。無借金。本業以外に投資しない。事業の幅を広げすぎない。すべては創業者の堅実な考え方を踏襲したもの」 この男性が言う「創業者」とは上記の稲葉清右衛門名誉会長のことだ。この口コミを見る限りでは「堅実な優良企業」という、ファナックに対する外部の評価が妥当とうなずける。ただ、堅実経営に手腕を発揮する名誉会長は、かなり特徴のある人物のようだ。男性の話が続く。 「創業者の独裁色が強く、重要事項はすべて代表権を持たない創業者の一存で決定されている。周りの重役も反対できず、創業者の反感を買ったものは速やかに会社を去るのみ」 口コミを見ると、創業者の”独裁色”を感じている社員が目立つ。中には、次のような「まさか」と思わせる書き込みもある。 「苗字が社長と同じ人は出世しやすい。その関係者も出世しやすい。彼らは数年で部長になる。彼らは30代で役員まで行く」 この口コミを書いたのは、研究開発担当の男性(46)だ。ファナックの役員構成は、名誉会長以外だと社長が「稲葉」善治だけ。その他に「稲葉」の苗字を持つ役員は存在しない。投稿が本当であれば、ファナックの部長は「稲葉」の姓を持つ人が多いということなのだろうか。 この男性は人事評価についても話している。 「会社の規模にしては役員が多い。学歴は関係ない。コネがない人間は、いくら優秀でも、人事では徹底的に無視される。360度評価などはまったくないので、上司が絶対的絶大な権力をもつ」 さらに、こんな社内ルールもあるというから驚きだ。 「幹部が登場する会議は、下っ端は先に入室していて、だいたいは遅刻する幹部を長時間待つのが通例。30分なら早いほうで、90分もざら。120分待ったこともある。勤務時間外の飲み会でも箸の上げ下ろしまで管理する細かさ。トイレはどこを使え、乾杯の仕方まで会社のやり方を強制される」(46歳の研究開発の男性) ファナックが、このような企業風土によって好業績が支えられているのだとしたら、やはり、創業者の“独裁企業”と言えそうだ。トップの独裁から生まれるこのような”徒弟制度”が、未だに残っているとしたら、会社の将来も安泰ではないと思うのだが・・・。 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年1月末現在、45万社、16万5000件の口コミが登録されています。 【その他の口コミ&年収記事はこちら】
ファナック 増益企業トップランクも社内は創業者の”独裁色”が巣くう
2011年4月-12月期の決算の増益企業203社(3月期決算企業、金融、電力、新興2市場を除く、売上高1000億円以上)を対象に日本経済新聞が増収率の高い企業をランキングした。その上位には工場の自動化投資やスマートフォン普及の恩恵を受けた企業が名を連ねた。
その1社がファナックだ。同社は自動車溶接に不可欠な多関節ロボットでは世界シェアトップランクの企業。2011年4月-12月期の増収率が23.1%、経常利益の増収率は22.9%で、ランキングでは13位につけた。2012年3月期は過去最高益を更新する見通しで、株価も高水準を維持している。
産業用ロボットは米欧の自動車メーカー向けの出荷が増え、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)製造に使う工作機械用数値制御(NC)装置でも大型受注を獲得したことが好業績の背景にある。
日経は「稲葉清右衛門名誉会長は2014年3月期の売上高を前期実績の約2倍の1兆円に増やす目標を掲げている。また、茨城県に新工場の建設も決めた」と報じている。
注目されるのが、短い記事の中に、あえて「稲葉清右衛門名誉会長」という個人名を記載していることだ。その理由はなぜか。ファナックの社風と併せてキャリコネの口コミから探ってみた。
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30代前半のフィールドエンジニアの男性社員は、会社の経営状況について次のように述べている。
堅実そのもの。無借金。本業以外に投資しない。事業の幅を広げすぎない。すべては創業者の堅実な考え方を踏襲したもの」
この男性が言う「創業者」とは上記の稲葉清右衛門名誉会長のことだ。この口コミを見る限りでは「堅実な優良企業」という、ファナックに対する外部の評価が妥当とうなずける。ただ、堅実経営に手腕を発揮する名誉会長は、かなり特徴のある人物のようだ。男性の話が続く。
「創業者の独裁色が強く、重要事項はすべて代表権を持たない創業者の一存で決定されている。周りの重役も反対できず、創業者の反感を買ったものは速やかに会社を去るのみ」
口コミを見ると、創業者の”独裁色”を感じている社員が目立つ。中には、次のような「まさか」と思わせる書き込みもある。
「苗字が社長と同じ人は出世しやすい。その関係者も出世しやすい。彼らは数年で部長になる。彼らは30代で役員まで行く」
この口コミを書いたのは、研究開発担当の男性(46)だ。ファナックの役員構成は、名誉会長以外だと社長が「稲葉」善治だけ。その他に「稲葉」の苗字を持つ役員は存在しない。投稿が本当であれば、ファナックの部長は「稲葉」の姓を持つ人が多いということなのだろうか。
この男性は人事評価についても話している。
「会社の規模にしては役員が多い。学歴は関係ない。コネがない人間は、いくら優秀でも、人事では徹底的に無視される。360度評価などはまったくないので、上司が絶対的絶大な権力をもつ」
さらに、こんな社内ルールもあるというから驚きだ。
「幹部が登場する会議は、下っ端は先に入室していて、だいたいは遅刻する幹部を長時間待つのが通例。30分なら早いほうで、90分もざら。120分待ったこともある。勤務時間外の飲み会でも箸の上げ下ろしまで管理する細かさ。トイレはどこを使え、乾杯の仕方まで会社のやり方を強制される」(46歳の研究開発の男性)
ファナックが、このような企業風土によって好業績が支えられているのだとしたら、やはり、創業者の“独裁企業”と言えそうだ。トップの独裁から生まれるこのような”徒弟制度”が、未だに残っているとしたら、会社の将来も安泰ではないと思うのだが・・・。
*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年1月末現在、45万社、16万5000件の口コミが登録されています。
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