AIJだけじゃない 運用は「顧客無視」の投資顧問会社の実態 2012年3月1日 今日の口コミ&年収 ツイート 2月24日、AIJ投資顧問が関東財務局から1カ月の業務停止命令を受けて以来、ずさんな経営実態が明るみになり、投資顧問会社に対する不信感が高まっている。 これに慌てた業界団体の日本証券投資顧問業協会は声明を発表するなど、火消しに躍起。まるで一部の悪徳業者の仕業を言わんばかりの弁明だ。 一方、証券業界関係者は「AIJ問題なんて氷山の一角。これは業界の体質」と断言する。そこで、キャリコネに寄せられた投資顧問会社の口コミから、その実態を探ってみよう。 ◇ 「お客様の利益より当社の利益しか考えていない商品が多い。手数料がたくさん取れて、信託報酬が高い投資信託などが多すぎる。また、分配型ファンドの場合、分配金に課税される税金分だけ再投資するとお客さんにとって却って不利だが、これをきちんと説明していないのは問題だ」 と言うのは、業界大手の日興アセットマネジメントの50代前半の男性だ。 同社は「世界の市場で投資機会を捉え、お客様の資産形成のために世界のトップクラスの資産運用ノウハウを国内運用に応用している」とアピールしている。しかし、この口コミを見た限り、「当社の使命は、自社の利益を追求するため、お客様の資産を運用すること」というのが本音に聞こえてならない。 また、三菱UFJフィナンシャル・クループのMU投資顧問の男性(32)は 「年金の運用が主たる業務だが、その社会的意義を踏まえた上で業務に取り組んでいる者がどれだけいるのか、はなはだ疑問だ。(略)自分の持ち場で波風が立たなければいいという空気が蔓延している」 と告白している。この口コミから分かるのは「ひと様の大切な資金を代わって運用しているビジネス」の会社として、責任感と緊張感の欠如だ。 こうした体質からか、投資顧問会社は、これまでも度々トラブルを起こしている。その大半が投機の失敗と、その隠蔽(いんぺい)だった。 投資顧問会社は社内に自前の資金運用チームを持っているのはごくわずかで、大半が運用を親会社や提携先に丸投げと言われている。AIJ投資顧問も、営業でかき集めた企業年金を、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の投機筋が跳梁(ちょうりょう)する英領ケイマン諸島のファンドに投資したのが今回のつまずきの始まりだった。 先の証券業界関係者は、投資顧問会社の実態について「自前で持っているのは営業チームだけ。だから口利き業とか、情報屋と言われている」と話す。自社の利益追求と無責任体質に加えて、ノウハウもないのでは、顧客が満足するような運用はとても望めないだろう。 AIJの問題をきっかけに投資顧問会社は「投機代行業」から、入念にリスク分散の対策を行う「資金運用代行業」に成長できるだろうか。それこそ、業界一丸となった真摯(しんし)な自浄活動が求められている。 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年1月末現在、45万社、16万6000件の口コミが登録されています。 【その他の口コミ&年収記事はこちら】
AIJだけじゃない 運用は「顧客無視」の投資顧問会社の実態
2月24日、AIJ投資顧問が関東財務局から1カ月の業務停止命令を受けて以来、ずさんな経営実態が明るみになり、投資顧問会社に対する不信感が高まっている。
これに慌てた業界団体の日本証券投資顧問業協会は声明を発表するなど、火消しに躍起。まるで一部の悪徳業者の仕業を言わんばかりの弁明だ。
一方、証券業界関係者は「AIJ問題なんて氷山の一角。これは業界の体質」と断言する。そこで、キャリコネに寄せられた投資顧問会社の口コミから、その実態を探ってみよう。
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「お客様の利益より当社の利益しか考えていない商品が多い。手数料がたくさん取れて、信託報酬が高い投資信託などが多すぎる。また、分配型ファンドの場合、分配金に課税される税金分だけ再投資するとお客さんにとって却って不利だが、これをきちんと説明していないのは問題だ」
と言うのは、業界大手の日興アセットマネジメントの50代前半の男性だ。
同社は「世界の市場で投資機会を捉え、お客様の資産形成のために世界のトップクラスの資産運用ノウハウを国内運用に応用している」とアピールしている。しかし、この口コミを見た限り、「当社の使命は、自社の利益を追求するため、お客様の資産を運用すること」というのが本音に聞こえてならない。
また、三菱UFJフィナンシャル・クループのMU投資顧問の男性(32)は
「年金の運用が主たる業務だが、その社会的意義を踏まえた上で業務に取り組んでいる者がどれだけいるのか、はなはだ疑問だ。(略)自分の持ち場で波風が立たなければいいという空気が蔓延している」
と告白している。この口コミから分かるのは「ひと様の大切な資金を代わって運用しているビジネス」の会社として、責任感と緊張感の欠如だ。
こうした体質からか、投資顧問会社は、これまでも度々トラブルを起こしている。その大半が投機の失敗と、その隠蔽(いんぺい)だった。
投資顧問会社は社内に自前の資金運用チームを持っているのはごくわずかで、大半が運用を親会社や提携先に丸投げと言われている。AIJ投資顧問も、営業でかき集めた企業年金を、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の投機筋が跳梁(ちょうりょう)する英領ケイマン諸島のファンドに投資したのが今回のつまずきの始まりだった。
先の証券業界関係者は、投資顧問会社の実態について「自前で持っているのは営業チームだけ。だから口利き業とか、情報屋と言われている」と話す。自社の利益追求と無責任体質に加えて、ノウハウもないのでは、顧客が満足するような運用はとても望めないだろう。
AIJの問題をきっかけに投資顧問会社は「投機代行業」から、入念にリスク分散の対策を行う「資金運用代行業」に成長できるだろうか。それこそ、業界一丸となった真摯(しんし)な自浄活動が求められている。
*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年1月末現在、45万社、16万6000件の口コミが登録されています。
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