製薬会社が期待を寄せる「スイッチOTC薬」に「有望とは思えない」の声 2013年5月8日 今日の口コミ&年収 ツイート 「スイッチOTC薬」という言葉をご存知だろうか。これまで医師の処方せんがなければ使用できなかった「医療用医薬品」の中から、副作用の心配が比較的少ないものなどを一般用医薬品(カウンターで買えるOver The Counter薬)として認可した薬のことである。 これまで水虫治療薬やイブプロフェン、にきび治療薬や胃薬のH2ブロッカーなどが市販化され、最近では解熱鎮痛剤のロキソニンが薬局で買えるようになって大きな話題となった。 「スイッチOTC薬」は、病院で治療を受けるほどではないが、数値が高い「未病」状態の改善に使われることを期待されており、今後は生活習慣病の予防・改善に範囲が拡大していくと思われる。 その先駆けとなる薬の販売が、先日発表された。持田製薬が医療用に製造・販売する高脂血症・動脈硬化治療剤の「エパデール」を、大正製薬が一般用医薬品に転用し「エパデールT」として発売するという。 生活習慣病向けの大衆薬としては、わが国初のスイッチOTC薬だ。大正製薬は、現在「リポビタンD」や「パブロン」などの一般用医薬品が売上の61%を占め頭打ちに。このため「スイッチOTC薬」を成長戦略の1つに掲げ、大きな期待を寄せている。 しかし、医薬品業界担当の証券アナリストは、スイッチOTC薬は「メーカーが期待するほどの有望商品とは思えない」と疑問を呈する。 多くの製薬メーカーが「スイッチOTC薬」でブレークスルーを狙っている。しかし、比較的少ないとはいえ一般医薬品よりも副作用のリスクはあるので、フォロー体制が必要となる「手離れの悪い商品」になる可能性があるというのだ。 「ドラッグチェーンはそうした商品を嫌うし、個人経営の薬局・薬店には対応できないところも多いのではないか」 「部長職は、半分は外資出身では?」 手詰まり感を抱いているのは、外資系製薬メーカーも同じだ。ここ数年で中国やインド、シンガポールなど他のアジア諸国に開発拠点を移すケースが相次いでいる。医療費抑制のための薬価切り下げもあって日本市場の伸びが見込めず、治験や人件費も割高だ。 キャリコネの口コミには、興味深い書き込みが見られる。20代後半の女性社員によると、大正製薬の研究開発部門の人材に変化が生じているという。 「近年外資企業が日本での研究開発をやめたため、外資企業からのキャリア採用が増えた。そのことにより、発言力、説得力、開発経験がある人材が増え、外資企業出身者が出世している。部長職は、半分は外資出身では?」 そんな新しいスタッフを迎え、社内は活気が高まっていると思いきや、研究開発部門に所属する20代男性は職場に「鬱々とした雰囲気が漂っている」と明かす。 「医薬品業界自体で新製品が出にくいので、どこの会社もそうだと思うが…。同族経営会社なことも影響しているかもしれない。目下OTCを売り出して生き残っていくしかないと思うが、なかなかに厳しい状況が続くだろう」 日本の製薬会社は、中小を含めると2000社以上もあると言われる。この状態では新薬開発や販売を効率的に行うことは難しいだろう。M&Aによって規模を拡大し、海外メーカーと競えるような大手メーカーを育てることが急務ではないか。 【その他の口コミ&年収記事はこちら】
製薬会社が期待を寄せる「スイッチOTC薬」に「有望とは思えない」の声
「スイッチOTC薬」という言葉をご存知だろうか。これまで医師の処方せんがなければ使用できなかった「医療用医薬品」の中から、副作用の心配が比較的少ないものなどを一般用医薬品(カウンターで買えるOver The Counter薬)として認可した薬のことである。
これまで水虫治療薬やイブプロフェン、にきび治療薬や胃薬のH2ブロッカーなどが市販化され、最近では解熱鎮痛剤のロキソニンが薬局で買えるようになって大きな話題となった。
「スイッチOTC薬」は、病院で治療を受けるほどではないが、数値が高い「未病」状態の改善に使われることを期待されており、今後は生活習慣病の予防・改善に範囲が拡大していくと思われる。
その先駆けとなる薬の販売が、先日発表された。持田製薬が医療用に製造・販売する高脂血症・動脈硬化治療剤の「エパデール」を、大正製薬が一般用医薬品に転用し「エパデールT」として発売するという。
生活習慣病向けの大衆薬としては、わが国初のスイッチOTC薬だ。大正製薬は、現在「リポビタンD」や「パブロン」などの一般用医薬品が売上の61%を占め頭打ちに。このため「スイッチOTC薬」を成長戦略の1つに掲げ、大きな期待を寄せている。
しかし、医薬品業界担当の証券アナリストは、スイッチOTC薬は「メーカーが期待するほどの有望商品とは思えない」と疑問を呈する。
多くの製薬メーカーが「スイッチOTC薬」でブレークスルーを狙っている。しかし、比較的少ないとはいえ一般医薬品よりも副作用のリスクはあるので、フォロー体制が必要となる「手離れの悪い商品」になる可能性があるというのだ。
「ドラッグチェーンはそうした商品を嫌うし、個人経営の薬局・薬店には対応できないところも多いのではないか」
「部長職は、半分は外資出身では?」
手詰まり感を抱いているのは、外資系製薬メーカーも同じだ。ここ数年で中国やインド、シンガポールなど他のアジア諸国に開発拠点を移すケースが相次いでいる。医療費抑制のための薬価切り下げもあって日本市場の伸びが見込めず、治験や人件費も割高だ。
キャリコネの口コミには、興味深い書き込みが見られる。20代後半の女性社員によると、大正製薬の研究開発部門の人材に変化が生じているという。
「近年外資企業が日本での研究開発をやめたため、外資企業からのキャリア採用が増えた。そのことにより、発言力、説得力、開発経験がある人材が増え、外資企業出身者が出世している。部長職は、半分は外資出身では?」
そんな新しいスタッフを迎え、社内は活気が高まっていると思いきや、研究開発部門に所属する20代男性は職場に「鬱々とした雰囲気が漂っている」と明かす。
「医薬品業界自体で新製品が出にくいので、どこの会社もそうだと思うが…。同族経営会社なことも影響しているかもしれない。目下OTCを売り出して生き残っていくしかないと思うが、なかなかに厳しい状況が続くだろう」
日本の製薬会社は、中小を含めると2000社以上もあると言われる。この状態では新薬開発や販売を効率的に行うことは難しいだろう。M&Aによって規模を拡大し、海外メーカーと競えるような大手メーカーを育てることが急務ではないか。
【その他の口コミ&年収記事はこちら】