ソニーはすでに「金融の会社」 儲けを電機に投資してくれているだけ 2013年5月14日 今日の口コミ&年収 ツイート 「何をやっているのか、何をやりたい会社なのか分からない」 ソニー社員のそんなつぶやきを、5月10日の東京新聞が記事にしている。前日に発表された2013年3月期決算を受けた話である。 ソニーは5期ぶりの純損益の黒字化を達成したが、その主な理由は電機の復活ではなかった。ソニー生命など金融事業の株式運用益や、米ニューヨークと大崎の自社ビル売却、ソネットエンタテイメントの完全子会社化と株式売却などによるものだ。 本業は依然として1000億円もの赤字。「会計マジック」と批判されても仕方がない。ツイッターには、「(ソニーはすでに)金融の会社で、金融から出た利益をエレクトロニクスで我々に還元してくれる会社だと思ってます」と皮肉っぽく揶揄する投稿も。 いや、もう皮肉ではなく現実になっているのかもしれない。もっとも、最近入社した社員にとって「ソニー神話」など知ったことではない。キャリコネ編集部がソニーの若手女性社員に取材したところ、こう逆ギレされてしまった。 「ソニーが創造的な会社って、いつの時代のことを言っているのですか。大ヒットといっても、何十年も前のウォークマンの話でしょう? 過去の栄光をいつまでも引きずって、過剰な期待をされても困るんですよ。盛田さんがエレクトロニクスに入れ上げすぎて、バランスの崩れたおかしな会社になってただけなんじゃないですか?」 ソニーの前身は、東京通信工業という街工場だ。設立趣意書の「会社設立の目的」に何が書かれていたか、彼女は知らないのだろうか。そこには「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」と書かれていた。 また、経営方針としては「不当なる儲け主義を廃し、あくまで内容の充実、実質的な活動に重点を置き、いたずらに規模の大を追わず」と記されている。 要するにいまのソニーは、設立趣意書を書いた井深大が憂慮したとおり、経営規模が大きくなりすぎた。そして、ものづくりから金融という「儲け主義」に走ってしまった。 その意味で、ソニー復活を期待するおじさんたちの願いは「過去の栄光」にしがみついているだけなのかもしれない。中で働く人に「自由闊達にして愉快なる理想工場」なんて言っても、理想じゃ腹は膨れませんよと笑われるのがオチだ。 依然として「彼氏に就職してほしい会社」2位だが そんな「フツーの会社」になり下がったソニーだが、なぜかいまだに就活生の人気は高い。キャリコネ会員に調査した「2014年卒女子学生が選ぶ彼氏に就職してほしい会社ランキング」では、ソニーは三菱商事に次いで2位だ。前年までは1位の常連企業だった。 ある慶大生は、ソニーに入社して社内結婚し、「旦那さんと一緒に海外に行って、子どもをアメリカで育てたい」という夢を持っているという。そういう洗練されておしゃれでカッコイイ会社というイメージは、依然として維持されているようである。 しかし社内から漏れ聞こえてくるのは、明るい声ばかりではない。研究開発部門の20代男性は、キャリコネの口コミに「予算削減が厳しく多くの研究テーマが削られて」おり、自由闊達というイメージは「小さくなっていると感じる」と内情を明かす。 すでに現場は「石橋を叩いて最終的に渡らないという状況」が蔓延しており、創造的な仕事をしたい人にとってはストレスのたまる職場になっているようだ。 「引き出しを持っている方はたくさんいますが、それにGoサインを出せる人がいない現状に先行きの不安を感じずにはいられません。『こんな商品ができました!』『よし、やってみろ!』こんな声が飛び交う現場で働きたいものです」 すでに隣の芝生が青く見え始めているようだ。30代の経営企画スタッフに至っては、ソニーはすでに「普通の会社」ですらないという。 「この会社の官僚主義は驚くと思う。特にコーポレートのスタッフは人間関係の構築が全てで、いわゆる実力主義のイメージとはかなりかけ離れている」 ソニー社内でくすぶっている優秀な若手社員たちには早く目を覚ましていただき、ぬるま湯を脱して別の職場で「自由闊達にして愉快なる理想工場」を実現し、恩返しのつもりでソニーをいちどぶっ潰していただきたいものだ。 【その他の口コミ&年収記事はこちら】
ソニーはすでに「金融の会社」 儲けを電機に投資してくれているだけ
「何をやっているのか、何をやりたい会社なのか分からない」
ソニー社員のそんなつぶやきを、5月10日の東京新聞が記事にしている。前日に発表された2013年3月期決算を受けた話である。
ソニーは5期ぶりの純損益の黒字化を達成したが、その主な理由は電機の復活ではなかった。ソニー生命など金融事業の株式運用益や、米ニューヨークと大崎の自社ビル売却、ソネットエンタテイメントの完全子会社化と株式売却などによるものだ。
本業は依然として1000億円もの赤字。「会計マジック」と批判されても仕方がない。ツイッターには、「(ソニーはすでに)金融の会社で、金融から出た利益をエレクトロニクスで我々に還元してくれる会社だと思ってます」と皮肉っぽく揶揄する投稿も。
いや、もう皮肉ではなく現実になっているのかもしれない。もっとも、最近入社した社員にとって「ソニー神話」など知ったことではない。キャリコネ編集部がソニーの若手女性社員に取材したところ、こう逆ギレされてしまった。
「ソニーが創造的な会社って、いつの時代のことを言っているのですか。大ヒットといっても、何十年も前のウォークマンの話でしょう? 過去の栄光をいつまでも引きずって、過剰な期待をされても困るんですよ。盛田さんがエレクトロニクスに入れ上げすぎて、バランスの崩れたおかしな会社になってただけなんじゃないですか?」
ソニーの前身は、東京通信工業という街工場だ。設立趣意書の「会社設立の目的」に何が書かれていたか、彼女は知らないのだろうか。そこには「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」と書かれていた。
また、経営方針としては「不当なる儲け主義を廃し、あくまで内容の充実、実質的な活動に重点を置き、いたずらに規模の大を追わず」と記されている。
要するにいまのソニーは、設立趣意書を書いた井深大が憂慮したとおり、経営規模が大きくなりすぎた。そして、ものづくりから金融という「儲け主義」に走ってしまった。
その意味で、ソニー復活を期待するおじさんたちの願いは「過去の栄光」にしがみついているだけなのかもしれない。中で働く人に「自由闊達にして愉快なる理想工場」なんて言っても、理想じゃ腹は膨れませんよと笑われるのがオチだ。
依然として「彼氏に就職してほしい会社」2位だが
そんな「フツーの会社」になり下がったソニーだが、なぜかいまだに就活生の人気は高い。キャリコネ会員に調査した「2014年卒女子学生が選ぶ彼氏に就職してほしい会社ランキング」では、ソニーは三菱商事に次いで2位だ。前年までは1位の常連企業だった。
ある慶大生は、ソニーに入社して社内結婚し、「旦那さんと一緒に海外に行って、子どもをアメリカで育てたい」という夢を持っているという。そういう洗練されておしゃれでカッコイイ会社というイメージは、依然として維持されているようである。
しかし社内から漏れ聞こえてくるのは、明るい声ばかりではない。研究開発部門の20代男性は、キャリコネの口コミに「予算削減が厳しく多くの研究テーマが削られて」おり、自由闊達というイメージは「小さくなっていると感じる」と内情を明かす。
すでに現場は「石橋を叩いて最終的に渡らないという状況」が蔓延しており、創造的な仕事をしたい人にとってはストレスのたまる職場になっているようだ。
「引き出しを持っている方はたくさんいますが、それにGoサインを出せる人がいない現状に先行きの不安を感じずにはいられません。『こんな商品ができました!』『よし、やってみろ!』こんな声が飛び交う現場で働きたいものです」
すでに隣の芝生が青く見え始めているようだ。30代の経営企画スタッフに至っては、ソニーはすでに「普通の会社」ですらないという。
「この会社の官僚主義は驚くと思う。特にコーポレートのスタッフは人間関係の構築が全てで、いわゆる実力主義のイメージとはかなりかけ離れている」
ソニー社内でくすぶっている優秀な若手社員たちには早く目を覚ましていただき、ぬるま湯を脱して別の職場で「自由闊達にして愉快なる理想工場」を実現し、恩返しのつもりでソニーをいちどぶっ潰していただきたいものだ。
【その他の口コミ&年収記事はこちら】