シャープ新社長「過去の経営責任は、元社長個人にはない」という甘さ 2013年5月15日 今日の口コミ&年収 ツイート シャープの第7代社長に、高橋興三代表取締役が就任することになった。これに合わせて現社長の奥田隆司氏が代表権のない会長となり、現会長の片山幹雄氏は退任する。 片山氏といえば、シャープを大きく傾かせた時期に第5代社長を務めた「戦犯」だが、退任後も技術顧問として社に残る。高橋氏は日経新聞の取材に対し、片山氏の経営責任を否定してこうかばったという。 「(あのときは大規模な設備投資などに)みんなが賛成したのに、責任は(片山氏)個人にあるといえるのか。そういう観点からは、(当時取締役だった)私にも経営責任がある」 当時の片山社長に責任はない。あるとすれば、みんなの責任――。なんと甘く生ぬるい役割認識だろうか。経営者が結果責任を引き受けずに、誰が責任を取るのか。こういう考えの人が社長では、経営再建はまだ先の話のようだ。 結局は「みんなが悪い」「あの当時は仕方がなかった」という曖昧な決着が付けられる。その陰で非正規社員や下請け会社、現場の社員たちに、リストラというしわ寄せが押し付けられる。 巨額の赤字を計上し経営の舵取りに失敗した経営者でも、退任後に会長や顧問として居残れるのは、日本企業以外にないだろう。まったく奇妙なことだ。 豪華な会長室を与えられ、運転手つきの社用車で送迎。若くて美しい秘書もつく。「経営の継続性」などという理由が後付けされるが、要するに「わが社では経営者として失敗しても責任を問われないので、誰がやっても安心ですよ!」という意味なのだろう。 キャリコネの口コミには、シャープの法務部門に勤める30代の社員が「会社は完全に混迷している」と途方に暮れた書き込みを残している。 「社内では、孫正義さん、カルロスゴーンさんのような強いリーダー性がある方、先見性がある救世主となるリーダーを皆が求めておりますが、残念ながら社内にはいない状況です。社外から社長、幹部を求め、真の意味での改革が必要だと思われます」 「危機的状況を脱するには、外からのパワーを取り入れるしかない」 社外から経営者を招きたい社員の声に反して、シャープの歴代7人の社長は、いずれも生え抜きばかりだ。創業者の早川徳次はシャープペンシルの発明家としても知られる技術者。2代目社長は戦災孤児で早川に育てられた佐伯旭。3代目の辻と4代目の町田は、ともに佐伯と縁戚関係にある。 その後を継いだのが、東大卒のプリンス片山だ。その片山が過去最悪の赤字を計上し、次に就任した第6代目の奥田は12人抜きの抜擢だった。 こういう敗色濃厚な中継ぎには、名古屋工業大学卒の奥田氏のような非エリートに白羽の矢が立つものである。結局は1年間という短い登板期間だった。 40代のプログラマも「マネージメント層は長年社内でステップアップした人がほとんどで、中途から入社した人はほとんど見たことがない」という。ミドル層まで「生え抜き主義」なのか…。 「古くからの体制から脱皮できない。社内で人が入れ替わっても、取り組み方針や課題対策もそうそう大きな変化はない。危機的状況を脱するには、外からのパワーを取り入れるしかないと皆、頭では分かっているが、実践できないままでいる」 台湾ホンハイとの資本提携は、結局無効になってしまったが、おそらく「生え抜き」「身内」志向が足かせになったのだろう。社外から新しい経営者を迎え、新しい手法で経営再建を行うためには、さらに会社が傾いてどうしようもなくなるのを待つしかなさそうだ。 【その他の口コミ&年収記事はこちら】
シャープ新社長「過去の経営責任は、元社長個人にはない」という甘さ
シャープの第7代社長に、高橋興三代表取締役が就任することになった。これに合わせて現社長の奥田隆司氏が代表権のない会長となり、現会長の片山幹雄氏は退任する。
片山氏といえば、シャープを大きく傾かせた時期に第5代社長を務めた「戦犯」だが、退任後も技術顧問として社に残る。高橋氏は日経新聞の取材に対し、片山氏の経営責任を否定してこうかばったという。
「(あのときは大規模な設備投資などに)みんなが賛成したのに、責任は(片山氏)個人にあるといえるのか。そういう観点からは、(当時取締役だった)私にも経営責任がある」
当時の片山社長に責任はない。あるとすれば、みんなの責任――。なんと甘く生ぬるい役割認識だろうか。経営者が結果責任を引き受けずに、誰が責任を取るのか。こういう考えの人が社長では、経営再建はまだ先の話のようだ。
結局は「みんなが悪い」「あの当時は仕方がなかった」という曖昧な決着が付けられる。その陰で非正規社員や下請け会社、現場の社員たちに、リストラというしわ寄せが押し付けられる。
巨額の赤字を計上し経営の舵取りに失敗した経営者でも、退任後に会長や顧問として居残れるのは、日本企業以外にないだろう。まったく奇妙なことだ。
豪華な会長室を与えられ、運転手つきの社用車で送迎。若くて美しい秘書もつく。「経営の継続性」などという理由が後付けされるが、要するに「わが社では経営者として失敗しても責任を問われないので、誰がやっても安心ですよ!」という意味なのだろう。
キャリコネの口コミには、シャープの法務部門に勤める30代の社員が「会社は完全に混迷している」と途方に暮れた書き込みを残している。
「社内では、孫正義さん、カルロスゴーンさんのような強いリーダー性がある方、先見性がある救世主となるリーダーを皆が求めておりますが、残念ながら社内にはいない状況です。社外から社長、幹部を求め、真の意味での改革が必要だと思われます」
「危機的状況を脱するには、外からのパワーを取り入れるしかない」
社外から経営者を招きたい社員の声に反して、シャープの歴代7人の社長は、いずれも生え抜きばかりだ。創業者の早川徳次はシャープペンシルの発明家としても知られる技術者。2代目社長は戦災孤児で早川に育てられた佐伯旭。3代目の辻と4代目の町田は、ともに佐伯と縁戚関係にある。
その後を継いだのが、東大卒のプリンス片山だ。その片山が過去最悪の赤字を計上し、次に就任した第6代目の奥田は12人抜きの抜擢だった。
こういう敗色濃厚な中継ぎには、名古屋工業大学卒の奥田氏のような非エリートに白羽の矢が立つものである。結局は1年間という短い登板期間だった。
40代のプログラマも「マネージメント層は長年社内でステップアップした人がほとんどで、中途から入社した人はほとんど見たことがない」という。ミドル層まで「生え抜き主義」なのか…。
「古くからの体制から脱皮できない。社内で人が入れ替わっても、取り組み方針や課題対策もそうそう大きな変化はない。危機的状況を脱するには、外からのパワーを取り入れるしかないと皆、頭では分かっているが、実践できないままでいる」
台湾ホンハイとの資本提携は、結局無効になってしまったが、おそらく「生え抜き」「身内」志向が足かせになったのだろう。社外から新しい経営者を迎え、新しい手法で経営再建を行うためには、さらに会社が傾いてどうしようもなくなるのを待つしかなさそうだ。
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