ヤフーEC無料化の「爆速」 社員からは「知らなかった!」の声 2013年10月8日 今日の口コミ&年収 ツイート ヤフーは2013年10月7日、「eコマース革命」と銘打ってEC事業の大きな方針転換を発表した。「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!オークション」のストア出店料を無料にするほか、「Yahoo!ショッピング」の売上手数料も無料にする。 発表会にはヤフー会長の孫正義氏も登場し、「eコマースで革命を起こす」「インターネットで買えない物はない世界をつくる」と意気込んでいる。 トップダウン型の組織で「3四半期連続2ケタ成長」 他の大手ECサイトと比較すると、ヤフーの方針がいかに大胆か分かる。楽天市場はストア出店料が6万円のうえ、月額利用料も約2~10万円かかる。Amazonは出店料こそ無料だが、月額利用料は4900円で、売上手数料は8~45%と差は大きい。 孫会長の発表を受け、Twitter上でも「この決断はすごい」「自由度は高まるね」とおおむね歓迎ムードだ。一方で「広告を出さない店舗は集客できなくなるのでは」といぶかる声もある。 実はこの発表、社員には秘密にされていたらしい。ヤフー社員のA氏は「現場はほとんどの人が知らなかったんじゃないですか」と冷ややかに語る。2012年6月にヤフー社長が宮坂学氏に交代して以来、完全にトップダウン型の組織に変わってしまったというのだ。 宮坂氏は「爆速」をテーマに、スマートフォン中心のサービス再構築を急いだ。結果、13年度第1四半期(4~6月)の営業利益は486億円と、前年同期比15.4%増。6年ぶりに3四半期連続で2ケタ成長を達成している。 かつてのヤフーにはスピード感・危機感の欠如を指摘する声も多かった。キャリコネの口コミにも、 「2011年度までは企画を作成しても承認ルートが多く、他社のスピード感には完全に遅れをとっていた」(30代後半・女性) 「技術力、企画力、スピードのいずれを比較しても、Googleに圧倒的な差で負けている」(30代後半・男性) といった不満が漏れていた。 大胆なトップダウンと現場意識との「乖離」も しかしこうした状況も、宮坂氏の「爆速経営」で一気に変わっている、という見方もできる。A氏も、 「部署や社員によっては、『爆速』というキーワードに高揚感を持って仕事をする人も多い。会社としては上昇・成長をやめたくないということでしょう」 と認めている部分もある。15期連続増収増益を実現した前社長を交代させた意味は、孫氏がこうしたダイナミックな動きを好んだからだ。 とはいえ、そのスピードについていけない現場との間で、意識の乖離を生んでいる部分もあるようだ。20代後半の男性社員は「新経営陣の考えていることが、現場の社員まで届いていない感が強い」と嘆く。 A氏も「新サービスやリリースのほとんどが、外部に公になってから知らされるし、目標や上司も頻繁に変わるので、モチベーションを維持するのが難しい職場になっている」と話す。 今回の方針転換は顧客志向というより、競合の楽天とアマゾンを強く意識しているとも言える。無料化を推進する執行役員の小澤隆生氏は、かつて楽天でオークション事業担当の執行役員を務めていた人物だ。 今回のEC無料化では、四半期で数十億円規模の売上を犠牲にしていると見られ、一種の賭けの要素もある。減収懸念で株価も一時下げた。しかし負けず嫌いの孫氏としては、このままEC分野のナンバー3に甘んじることはどうしても許せないのだろう。 【働く人に役立つ「企業インサイダー」の記事はこちら】
ヤフーEC無料化の「爆速」 社員からは「知らなかった!」の声
ヤフーは2013年10月7日、「eコマース革命」と銘打ってEC事業の大きな方針転換を発表した。「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!オークション」のストア出店料を無料にするほか、「Yahoo!ショッピング」の売上手数料も無料にする。
発表会にはヤフー会長の孫正義氏も登場し、「eコマースで革命を起こす」「インターネットで買えない物はない世界をつくる」と意気込んでいる。
トップダウン型の組織で「3四半期連続2ケタ成長」
他の大手ECサイトと比較すると、ヤフーの方針がいかに大胆か分かる。楽天市場はストア出店料が6万円のうえ、月額利用料も約2~10万円かかる。Amazonは出店料こそ無料だが、月額利用料は4900円で、売上手数料は8~45%と差は大きい。
孫会長の発表を受け、Twitter上でも「この決断はすごい」「自由度は高まるね」とおおむね歓迎ムードだ。一方で「広告を出さない店舗は集客できなくなるのでは」といぶかる声もある。
実はこの発表、社員には秘密にされていたらしい。ヤフー社員のA氏は「現場はほとんどの人が知らなかったんじゃないですか」と冷ややかに語る。2012年6月にヤフー社長が宮坂学氏に交代して以来、完全にトップダウン型の組織に変わってしまったというのだ。
宮坂氏は「爆速」をテーマに、スマートフォン中心のサービス再構築を急いだ。結果、13年度第1四半期(4~6月)の営業利益は486億円と、前年同期比15.4%増。6年ぶりに3四半期連続で2ケタ成長を達成している。
かつてのヤフーにはスピード感・危機感の欠如を指摘する声も多かった。キャリコネの口コミにも、
といった不満が漏れていた。
大胆なトップダウンと現場意識との「乖離」も
しかしこうした状況も、宮坂氏の「爆速経営」で一気に変わっている、という見方もできる。A氏も、
と認めている部分もある。15期連続増収増益を実現した前社長を交代させた意味は、孫氏がこうしたダイナミックな動きを好んだからだ。
とはいえ、そのスピードについていけない現場との間で、意識の乖離を生んでいる部分もあるようだ。20代後半の男性社員は「新経営陣の考えていることが、現場の社員まで届いていない感が強い」と嘆く。
A氏も「新サービスやリリースのほとんどが、外部に公になってから知らされるし、目標や上司も頻繁に変わるので、モチベーションを維持するのが難しい職場になっている」と話す。
今回の方針転換は顧客志向というより、競合の楽天とアマゾンを強く意識しているとも言える。無料化を推進する執行役員の小澤隆生氏は、かつて楽天でオークション事業担当の執行役員を務めていた人物だ。
今回のEC無料化では、四半期で数十億円規模の売上を犠牲にしていると見られ、一種の賭けの要素もある。減収懸念で株価も一時下げた。しかし負けず嫌いの孫氏としては、このままEC分野のナンバー3に甘んじることはどうしても許せないのだろう。
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