学生が選ぶ「彼氏に勤務してほしい会社」「彼女に勤務してほしい会社」ランキング! 2012年4月6日 キャリコネ調査班 ツイート 2013年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした「彼女に勤務していてほしい企業ランキング」「彼氏に勤務していてほしい企業ランキング」をキャリコネでは発表した。ランキングが映し出した来春卒の学生の会社観とは? 企業や就職事情に詳しい、ブラック企業アナリストの新田龍氏が解説する。(※学生が選ぶ「絶対に就職したい・就職したくない企業ランキング」も公開中) 【彼女に勤務してほしい企業ランキング】 (キャリコネ調べ、回答数:3422人) 1位:資生堂 2位:ANA(全日本空輸) 3位:三菱東京UFJ銀行 4位:花王 5位:三井住友銀行 6位:ソニー 7位:みずほ銀行 8位:JAL(日本航空) 9位:ワコール、東京海上日動火災保険 【彼氏に勤務してほしい企業ランキング】 (キャリコネ調べ、回答数:1105人) 1位:三菱商事 2位:ソニー 3位:トヨタ 4位:パナソニック 5位:電通 6位:三菱東京UFJ銀行 7位:三井物産 8位:伊藤忠商事 9位:住友商事 10位:NTT東日本、博報堂 彼氏・彼女とも完全に「イメージ」が先行したランキング ランキングの「彼女に勤務してほしい企業編」では、「資生堂」が1位となり、「ANA(全日本空輸)」「三菱東京UFJ銀行」が2位、3位と続いた。「彼氏に勤務してほしい企業編」では、「三菱商事」「ソニー」「トヨタ自動車」という順番になっている。 この場合、あくまで「恋人に勤務していてほしい」ランキングであるから、単なる人気ランキングよりもさらにイメージ先行になってしまうことは避けられない。 こうした学生のイメージに対してマジレスするのも大人げないので、まずは客観的に分析していこう。 「彼女編」の場合は、4位以下は「花王」(4位)、「三井住友銀行」(5位)、「ソニー」(6位)、「みずほ銀行」(7位)、「JAL(日本航空)」(8位)、「ワコール」(9位)、「東京海上日動火災保険」(同)というランキングだ。「資生堂」「ANA」「JAL」「ワコール」あたりがランクインしているのは、いかにもイメージ先行という印象だ。 また、「三菱東京UFJ銀行」、「三井住友銀行」、「みずほ銀行」、「東京海上日動火災保険」と、金融系の企業が、10社中の4社を占めることになった。これまた、知的で安定感のあるイメージなのだろうか。 「彼氏編」の場合、いわゆる「人気企業ランキング」にランクインしている会社とほぼ一致しているので、もう説明の必要はないだろう。 ちなみに、トップ3以外のランキングは「パナソニック」(4位)、「電通」(5位)、「三菱東京UFJ銀行」(6位)、「三井物産」(7位)、「伊藤忠商事」(8位)、「住友商事」(9位)、「NTT東日本」(10位)、「博報堂」(同)となっている。 比較的に平均年収の低いところを敬遠し、商社やメガバンク、広告代理店を選んでくるあたり、したたかな女子の本音が読み取れる。 いずれにしても、“完全にイメージだけ”の世界だ。マスコミによる一方的な情報に盲従している、というところだろう。ほほえましくもあるが、一方で危険性も感じられる。 ◇ ランキングは、本当の「企業の人気」では決まらない! 一般的な学生が就職したい「人気企業ランキング」を発表しているのは、主に「求人広告会社」である。 新卒採用の求人広告メディアを運営している会社だから、求人広告は商品、大企業は大事なお客様というわけだ。 そして、大企業に営業をかける際、「人気企業ランキング」が大きな「営業ツール」となるのだ。 広告会社の営業マンたちは、「ランキングの調査時期に合わせて広告を出して、調査対象の学生たちにDM打ちましょう」などと持ちかける。 人気ランキングを上げたい企業はそのアドバイスに従い、求人広告を出稿してメールを送る。学生はその企業の名前を知り、広告を見て少し興味を持ち、「人気企業ランキング」のアンケートに名前を書く、という流れなのだ。 すなわち「人気ランキング」とは極論すれば、「カネ」と「コピーライティング」の力でなんとでも操作可能なものであり、「このアンケートの調査時期に合わせて、求人広告費をいっぱい使った会社ランキング」と言い換えても過言ではないのだ。 実際、ランクインしているのはだいたい「BtoC」の事業をやっている大企業。学生にとってイメージしやすい商品とビジネスであるから、「単なるイメージ」と「企業が払った広告料」の集積に過ぎない。だから、「人生を預けられる判断基準では決してない!」と、私は声を大にして言いたい。 ◇ それは本当に「企業研究」か? 実際は「企業鑑賞」「企業想像」もしくは「企業妄想」だ! 企業の人気ランキングは、その時代ごとの雰囲気に左右される。 例えば、1950年代は「鉱業」、60年代は「製鉄」や「造船業」、70年代は「繊維業」などが人気業界であった。 では、この21世紀、そのような業界に進みたいと思う学生は多いだろうか。いずれも、数十年後には「斜陽産業」と言われている。今人気の業界も、いつどうなるやら知れない。 例えば、手元にある「2012年卒マイコミ大学生就職企業人気ランキング調査」をみてみよう。 福島第一原子力発電所の事故と、その対応の悪さなどで、スッカリ不人気になってしまった「東京電力」は、「理系人気ランキング」の24位に入っている。(調査時期は事故前) そして、学生が東京電力を選んだ理由のベスト5は、1位が「安定しているから」、2位が「社会的貢献度が高いから」、3位が「業界上位である」、4位が「やりたい仕事ができそう」、5位が「環境問題に前向きである」。 まるで冗談のような結果だが、これはヒトゴトではない。高い志をもって入った会社が、一夜にして崩れ去ってしまうことはどこでもあり得るのだ。 もちろん、企業を選ぶ価値観は人それぞれである。しかし、ランキングは決して会社の実態を反映したものではない。あくまで会社選びの「ひとつのきっかけ」として、「じゃあ、なんでこの会社がいいと思ったのか」という要素を掘り下げていってほしいのだ。 「自分が働く場所としてふさわしいのか」 「公私共に充実した人生を送れる場なのか」 といったことを熟考し、後悔のない就活をしてほしいと願っている。 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年3月末現在、45万社、17万件の口コミが登録されています。
学生が選ぶ「彼氏に勤務してほしい会社」「彼女に勤務してほしい会社」ランキング!
2013年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした「彼女に勤務していてほしい企業ランキング」「彼氏に勤務していてほしい企業ランキング」をキャリコネでは発表した。ランキングが映し出した来春卒の学生の会社観とは? 企業や就職事情に詳しい、ブラック企業アナリストの新田龍氏が解説する。(※学生が選ぶ「絶対に就職したい・就職したくない企業ランキング」も公開中)
【彼女に勤務してほしい企業ランキング】 (キャリコネ調べ、回答数:3422人)
1位:資生堂 2位:ANA(全日本空輸) 3位:三菱東京UFJ銀行 4位:花王 5位:三井住友銀行 6位:ソニー 7位:みずほ銀行 8位:JAL(日本航空) 9位:ワコール、東京海上日動火災保険
【彼氏に勤務してほしい企業ランキング】 (キャリコネ調べ、回答数:1105人)
1位:三菱商事 2位:ソニー 3位:トヨタ 4位:パナソニック 5位:電通 6位:三菱東京UFJ銀行 7位:三井物産 8位:伊藤忠商事 9位:住友商事 10位:NTT東日本、博報堂
彼氏・彼女とも完全に「イメージ」が先行したランキング
ランキングの「彼女に勤務してほしい企業編」では、「資生堂」が1位となり、「ANA(全日本空輸)」「三菱東京UFJ銀行」が2位、3位と続いた。「彼氏に勤務してほしい企業編」では、「三菱商事」「ソニー」「トヨタ自動車」という順番になっている。
この場合、あくまで「恋人に勤務していてほしい」ランキングであるから、単なる人気ランキングよりもさらにイメージ先行になってしまうことは避けられない。
こうした学生のイメージに対してマジレスするのも大人げないので、まずは客観的に分析していこう。
「彼女編」の場合は、4位以下は「花王」(4位)、「三井住友銀行」(5位)、「ソニー」(6位)、「みずほ銀行」(7位)、「JAL(日本航空)」(8位)、「ワコール」(9位)、「東京海上日動火災保険」(同)というランキングだ。「資生堂」「ANA」「JAL」「ワコール」あたりがランクインしているのは、いかにもイメージ先行という印象だ。
また、「三菱東京UFJ銀行」、「三井住友銀行」、「みずほ銀行」、「東京海上日動火災保険」と、金融系の企業が、10社中の4社を占めることになった。これまた、知的で安定感のあるイメージなのだろうか。
「彼氏編」の場合、いわゆる「人気企業ランキング」にランクインしている会社とほぼ一致しているので、もう説明の必要はないだろう。
ちなみに、トップ3以外のランキングは「パナソニック」(4位)、「電通」(5位)、「三菱東京UFJ銀行」(6位)、「三井物産」(7位)、「伊藤忠商事」(8位)、「住友商事」(9位)、「NTT東日本」(10位)、「博報堂」(同)となっている。
比較的に平均年収の低いところを敬遠し、商社やメガバンク、広告代理店を選んでくるあたり、したたかな女子の本音が読み取れる。
いずれにしても、“完全にイメージだけ”の世界だ。マスコミによる一方的な情報に盲従している、というところだろう。ほほえましくもあるが、一方で危険性も感じられる。
◇
ランキングは、本当の「企業の人気」では決まらない!
一般的な学生が就職したい「人気企業ランキング」を発表しているのは、主に「求人広告会社」である。
新卒採用の求人広告メディアを運営している会社だから、求人広告は商品、大企業は大事なお客様というわけだ。
そして、大企業に営業をかける際、「人気企業ランキング」が大きな「営業ツール」となるのだ。
広告会社の営業マンたちは、「ランキングの調査時期に合わせて広告を出して、調査対象の学生たちにDM打ちましょう」などと持ちかける。
人気ランキングを上げたい企業はそのアドバイスに従い、求人広告を出稿してメールを送る。学生はその企業の名前を知り、広告を見て少し興味を持ち、「人気企業ランキング」のアンケートに名前を書く、という流れなのだ。
すなわち「人気ランキング」とは極論すれば、「カネ」と「コピーライティング」の力でなんとでも操作可能なものであり、「このアンケートの調査時期に合わせて、求人広告費をいっぱい使った会社ランキング」と言い換えても過言ではないのだ。
実際、ランクインしているのはだいたい「BtoC」の事業をやっている大企業。学生にとってイメージしやすい商品とビジネスであるから、「単なるイメージ」と「企業が払った広告料」の集積に過ぎない。だから、「人生を預けられる判断基準では決してない!」と、私は声を大にして言いたい。
◇
それは本当に「企業研究」か? 実際は「企業鑑賞」「企業想像」もしくは「企業妄想」だ!
企業の人気ランキングは、その時代ごとの雰囲気に左右される。
例えば、1950年代は「鉱業」、60年代は「製鉄」や「造船業」、70年代は「繊維業」などが人気業界であった。
では、この21世紀、そのような業界に進みたいと思う学生は多いだろうか。いずれも、数十年後には「斜陽産業」と言われている。今人気の業界も、いつどうなるやら知れない。
例えば、手元にある「2012年卒マイコミ大学生就職企業人気ランキング調査」をみてみよう。
福島第一原子力発電所の事故と、その対応の悪さなどで、スッカリ不人気になってしまった「東京電力」は、「理系人気ランキング」の24位に入っている。(調査時期は事故前)
そして、学生が東京電力を選んだ理由のベスト5は、1位が「安定しているから」、2位が「社会的貢献度が高いから」、3位が「業界上位である」、4位が「やりたい仕事ができそう」、5位が「環境問題に前向きである」。
まるで冗談のような結果だが、これはヒトゴトではない。高い志をもって入った会社が、一夜にして崩れ去ってしまうことはどこでもあり得るのだ。
もちろん、企業を選ぶ価値観は人それぞれである。しかし、ランキングは決して会社の実態を反映したものではない。あくまで会社選びの「ひとつのきっかけ」として、「じゃあ、なんでこの会社がいいと思ったのか」という要素を掘り下げていってほしいのだ。
「自分が働く場所としてふさわしいのか」
「公私共に充実した人生を送れる場なのか」
といったことを熟考し、後悔のない就活をしてほしいと願っている。
*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年3月末現在、45万社、17万件の口コミが登録されています。