JAL再上場 社員が語る稲盛改革の「光」と「影」 2012年7月20日 キャリコネ調査班 ツイート 経営破綻から約2年半という短期間で株式市場に復帰する日本航空(JAL)。6月20日には東京証券取引所へ株式上場を申請した。審査が順調に進めば9月にも再上場する見込みだ。2012年3月期決算では過去最高となる2049億円の連結営業利益を叩き出した。 その立て役者となったのが、破綻した日航に招かれた稲盛和夫会長(現:名誉会長)だ。京セラの創業者である稲盛会長は、「稲盛経営」と呼ばれる経営手法を導入。一方で1万6000人規模のリストラや赤字路線の廃止などを実施し、日航を再生した。 破綻前は「超官僚的な会社」と揶揄(やゆ)されていた日航。「稲盛改革」とも呼ばれるショック療法で、これまでの企業体質の改善と経営の立て直しを果たしたとされる。再建の過程で現場は何が変わり、また、どんな弊害があったのか。日航の現役社員や元社員が語った。 ◇ フィロソフィ教育に社員は反発 「稲盛会長が行ったのは『意識改革』『部門別採算制の導入』、そして『ドラスティックな賃金改定』です」。総合職で働くAさん(男性、20代後半)は稲盛会長の改革について、こう説明する。 「意識改革」「部門別採算」は稲盛会長の経営哲学だ。「意識改革」には「フィロソフィ教育」として稲盛氏の経営についての考えを浸透させる取り組みが実施されたという。 代表的なものが「人生・仕事の結果=考える×熱意×能力」という方程式。これは平均的な能力しかないと思っている人でも、熱意と努力で大きな結果が得られるということを意味しているという。 こうした稲盛会長の考えを日航の社員向けにまとめ作成されたのが小冊子「JALフィロソフィ」。この冊子は、日航本体はもとよりグループ会社の社員すべてに配布された。これは白い樹脂の地味な装丁の120ページほどの冊子だ。 Aさんによると、社内には「意識改革部」が設けられ、この冊子を使ったフィロソフィ教育が講習として、全社員を対象に行われたという。 具体的には社員は個別に呼び出され、一日をかけて講習を受ける。そこでは冊子に書かれている項目を読み上げ、その内容について考えたり、参加した社員同士でグループディスカッションを行ったりするという。2011年度には4回が実施された。講習会は現在も行われている。
JAL再上場 社員が語る稲盛改革の「光」と「影」
経営破綻から約2年半という短期間で株式市場に復帰する日本航空(JAL)。6月20日には東京証券取引所へ株式上場を申請した。審査が順調に進めば9月にも再上場する見込みだ。2012年3月期決算では過去最高となる2049億円の連結営業利益を叩き出した。
その立て役者となったのが、破綻した日航に招かれた稲盛和夫会長(現:名誉会長)だ。京セラの創業者である稲盛会長は、「稲盛経営」と呼ばれる経営手法を導入。一方で1万6000人規模のリストラや赤字路線の廃止などを実施し、日航を再生した。
破綻前は「超官僚的な会社」と揶揄(やゆ)されていた日航。「稲盛改革」とも呼ばれるショック療法で、これまでの企業体質の改善と経営の立て直しを果たしたとされる。再建の過程で現場は何が変わり、また、どんな弊害があったのか。日航の現役社員や元社員が語った。
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フィロソフィ教育に社員は反発
「稲盛会長が行ったのは『意識改革』『部門別採算制の導入』、そして『ドラスティックな賃金改定』です」。総合職で働くAさん(男性、20代後半)は稲盛会長の改革について、こう説明する。
「意識改革」「部門別採算」は稲盛会長の経営哲学だ。「意識改革」には「フィロソフィ教育」として稲盛氏の経営についての考えを浸透させる取り組みが実施されたという。
代表的なものが「人生・仕事の結果=考える×熱意×能力」という方程式。これは平均的な能力しかないと思っている人でも、熱意と努力で大きな結果が得られるということを意味しているという。
こうした稲盛会長の考えを日航の社員向けにまとめ作成されたのが小冊子「JALフィロソフィ」。この冊子は、日航本体はもとよりグループ会社の社員すべてに配布された。これは白い樹脂の地味な装丁の120ページほどの冊子だ。
Aさんによると、社内には「意識改革部」が設けられ、この冊子を使ったフィロソフィ教育が講習として、全社員を対象に行われたという。
具体的には社員は個別に呼び出され、一日をかけて講習を受ける。そこでは冊子に書かれている項目を読み上げ、その内容について考えたり、参加した社員同士でグループディスカッションを行ったりするという。2011年度には4回が実施された。講習会は現在も行われている。