「柳井信者」は成長しない! ユニクロでは「ドライな人」が活躍する 【ブラック企業のいいところ(2)】 2013年10月10日 差がつく転職裏事情 ツイート ブラックだと批判される企業は多数あるが、果たして実態はどうなのか。その企業で働いた人にしかわからない「長所」や「メリット」もあるのではないか? 第2回となる今回は、ユニクロ(店舗スタッフ)で約4年半勤めていたBさん(20代・男性)に話を聞いた。 (第1回:光通信はこちら) 衣料品業界で初めて「1兆円企業」に ユニクロといえば、アパレル業界における国内最大手の1社だ。現在は国内のみならず中国や韓国、アメリカ、イギリス、フランスなど世界各地への出店を行っており、日本を代表するグローバル企業に成長した。 10月10日に発表された2013年8月期の通期連結決算では、売上高が1兆1430億円と過去最高。日本の衣料品業界で初めて「売上1兆円」に乗せたことになる。 一方、柳井正社長の経営方針はシビアで、合理主義と実力主義が「現場を疲弊させている」、「休日出勤の強制につながっている」と批判されることも少なくない。 Bさんの場合、まず学生時代からバイトスタッフとして4年間働いた。その後1年間の準社員を経て2008年から正社員に登用され、4年半勤務を続けた。 当初は接客やレジ担当、商品整理などがメイン業務だったが、最終的には郊外店舗の店長代行としてバイトスタッフの管理、新人教育・採用、売上などの数値管理も任されていた。 「ユニクロで得られたのは、経営者的な考え方とノウハウです。単なる販売員ではなく“自分で考えて実践する”という経験をさせてもらえたことが、自分にとって大きなプラスになりましたね」 バイトから準社員、正社員とステップアップするにしたがって裁量も大きくなった。店舗の売上計画作成、数値管理、バイトの採用・教育など責任ある業務も任されたという。 「自分のお店を持ちたい」など、責任ある立場で実践的なノウハウを身に付けることを目指す人にとって、ユニクロは自身を成長させるのに適した会社といえそうだ。また、グローバル企業ならではの経営理念も刺激になった。 「僕は“柳井信者”ではないですが、顧客のためにコストを切り詰めて効率化し、低価格でいい商品が買えるというのはすごいことだと思います。今は別の業界で営業マンをやっていますが、要望のヒアリングやちょっとした接客トークなど、ユニクロで学んだ“徹底した顧客志向”が自分の中に根付いています」 柳井社長「鶴のひと声」の良し悪しとは? ただし、4年半のユニクロ勤務で不満がなかったわけではない。正社員になってからの給与は辞めるまでほとんど昇給せず360万円程度にとどまった。これは辞めた理由のひとつだ。 さらに、本社の意向に振り回されることもあった。 ユニクロは全店舗を共通化するために、細かいマニュアルが定められている。それは季節の変わり目や新商品が出た際の「店舗レイアウト」「商品展示」も同じだ。しかし、マニュアル通りに並べた翌日、柳井社長の「鶴のひと声」で180度方針が変わることもよくあったという。 そうすると、店舗は対応に慌てふためくことになる。Bさんは「朝令暮改な体質が、現場の忙しさにつながっている」と不満に思うこともあった。 しかし、ユニクロを悪しざまに批判する気持ちはない。 「スピード感ある経営のためには柳井氏の“鶴のひと声”が必要ですし、世界のユーザーを相手に“低価格&高品質”で勝負しているので、コストのしわ寄せが社員に行くのも避けられない話。同僚たちも『しょうがないか』と割り切って働いていました」 確かに残業は少なくなかったが、1店舗には複数の正社員がいたのでお互いにフォローしながら業務を回せた。また、社員は休日に呼び出されてお店に出ることが多いというウワサに対しては、 「すべての店舗がそうではない。ひと月に8日は休めたし、休日出勤も滅多になかった」 と述べる。社員の働き方に関しては、エリアや店舗の形態、店長のマネジメント能力に左右されるところが大きいという。 そうしたユニクロで活躍できるのは「いい意味で“ユニクロを好きじゃない人”」だとBさんは言う。 「ユニクロに変な夢や幻想を抱かず、将来の独立・転職を見越して『スキルアップのために何でも吸収してやろう』という人のほうが成長できます。バイトスタッフでも、俳優志望の人やバンドマンなど、生活費のためドライに働く人のほうが粘り強いですね」 逆に、アパレル業界の華やかな面に惹かれている人や、夢や希望に胸を膨らませて採用応募するような人は、現場の厳しさに耐えきれず辞めていくという。ユニクロという「ブランド」にすがるのではなく割り切って働くことができれば、得られるものも大きいのかもしれない。 【働く人に役立つ「企業インサイダー」の記事はこちら】
「柳井信者」は成長しない! ユニクロでは「ドライな人」が活躍する 【ブラック企業のいいところ(2)】
ブラックだと批判される企業は多数あるが、果たして実態はどうなのか。その企業で働いた人にしかわからない「長所」や「メリット」もあるのではないか? 第2回となる今回は、ユニクロ(店舗スタッフ)で約4年半勤めていたBさん(20代・男性)に話を聞いた。
(第1回:光通信はこちら)
衣料品業界で初めて「1兆円企業」に
ユニクロといえば、アパレル業界における国内最大手の1社だ。現在は国内のみならず中国や韓国、アメリカ、イギリス、フランスなど世界各地への出店を行っており、日本を代表するグローバル企業に成長した。
10月10日に発表された2013年8月期の通期連結決算では、売上高が1兆1430億円と過去最高。日本の衣料品業界で初めて「売上1兆円」に乗せたことになる。
一方、柳井正社長の経営方針はシビアで、合理主義と実力主義が「現場を疲弊させている」、「休日出勤の強制につながっている」と批判されることも少なくない。
Bさんの場合、まず学生時代からバイトスタッフとして4年間働いた。その後1年間の準社員を経て2008年から正社員に登用され、4年半勤務を続けた。
当初は接客やレジ担当、商品整理などがメイン業務だったが、最終的には郊外店舗の店長代行としてバイトスタッフの管理、新人教育・採用、売上などの数値管理も任されていた。
バイトから準社員、正社員とステップアップするにしたがって裁量も大きくなった。店舗の売上計画作成、数値管理、バイトの採用・教育など責任ある業務も任されたという。
「自分のお店を持ちたい」など、責任ある立場で実践的なノウハウを身に付けることを目指す人にとって、ユニクロは自身を成長させるのに適した会社といえそうだ。また、グローバル企業ならではの経営理念も刺激になった。
柳井社長「鶴のひと声」の良し悪しとは?
ただし、4年半のユニクロ勤務で不満がなかったわけではない。正社員になってからの給与は辞めるまでほとんど昇給せず360万円程度にとどまった。これは辞めた理由のひとつだ。
さらに、本社の意向に振り回されることもあった。
ユニクロは全店舗を共通化するために、細かいマニュアルが定められている。それは季節の変わり目や新商品が出た際の「店舗レイアウト」「商品展示」も同じだ。しかし、マニュアル通りに並べた翌日、柳井社長の「鶴のひと声」で180度方針が変わることもよくあったという。
そうすると、店舗は対応に慌てふためくことになる。Bさんは「朝令暮改な体質が、現場の忙しさにつながっている」と不満に思うこともあった。
しかし、ユニクロを悪しざまに批判する気持ちはない。
確かに残業は少なくなかったが、1店舗には複数の正社員がいたのでお互いにフォローしながら業務を回せた。また、社員は休日に呼び出されてお店に出ることが多いというウワサに対しては、
と述べる。社員の働き方に関しては、エリアや店舗の形態、店長のマネジメント能力に左右されるところが大きいという。
そうしたユニクロで活躍できるのは「いい意味で“ユニクロを好きじゃない人”」だとBさんは言う。
逆に、アパレル業界の華やかな面に惹かれている人や、夢や希望に胸を膨らませて採用応募するような人は、現場の厳しさに耐えきれず辞めていくという。ユニクロという「ブランド」にすがるのではなく割り切って働くことができれば、得られるものも大きいのかもしれない。
【働く人に役立つ「企業インサイダー」の記事はこちら】