• 就活生はクダラン自己分析などやめて「業界地図」を熟読せよ!

     就職活動に「自己分析」が欠かせないなどと、誰が言い出したのだろうか。

     孫子の兵法にも「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」とある。まずなすべきは、敵を知ることなのである。相手や周囲を見ずにいくら自問自答していても、自分が何ものかなど分かりはしない。自己というのは、他者との比較や衝突の末に初めて立ち現れるものだ。

     とりあえず日本で就職しようと思えば、鬱々と鏡を抱えているより「業界地図」を舐め回すように読んだ方がずっとマシである。ネットにも情報があるが、書籍の方が見やすい。なんといっても最新版が1000円程度で買えるのだから、躊躇することはない。


    まずは将来性ありき 具体的にどの分野なのか考える

     アマゾンの評価では、東洋経済新報社の「会社四季報 業界地図」が好評のようだ。全141業界、3200社の情報を掲載している。四季報記者が独自の視点で、業界のビジネスモデルや統計分析を添えており、単なる「公表情報の羅列」ではないところがいい。

     同じような本は、日本経済新聞社が編集したものもあるが、細かい数字が伏せられているなど、取材対象に気を使っているのではないかと思う個所があった。取材先との関係を重視する新聞社の編集では、中立性が弱いのかもしれない。書店で見比べてみるといいだろう。

     「業界地図」は学生だけでなく、社会人にもかなり面白く読める。世の中を少し知っている方が、いろいろな角度から眺めることができるからだ。業界トップの大手有名企業だけでなく、中堅や業界下位の会社も載っている。よく見ると、売り上げが小さくても特定分野に強い会社がある。

     「総合電機」という業種が国際的な競争力を維持できなくなったいま、図体ばかりデカイ「なんでも屋」への入社を希望するのは非常に危険だ。愚行と言っていいだろう。

     これから将来性があるのは、具体的にどの分野であり、その分野に食い込んで仕事をするには、どういうルートがあるのか。この会社なら戦略次第では、Fランク大学卒でもいけるかのではないか…。そんな思いを巡らせるのも楽しい。


    相手を定めてから「自分のウリ」を考える方が効率的

     例えば、ガラス業界の総合トップは、言わずと知れた日本板硝子だが、光学ガラスに限れば売り上げが20分の1しかない神奈川・相模原市のオハラが国内トップだったりする。ガラス瓶の国内首位は兵庫・西宮市の日本山村硝子、ガラス長繊維で世界有数の日東紡は福島市に本店を置いている。

     「○○といえば××がナンバーワン」という会社で働いた経験は、将来転職したり独立したりする上で大きな糧となるだろう。各業界トップの有名企業にばかり書類を送りつけ、「100社落とされた!」と泣いても戦略不足というものだろう。それは景気の問題ではない。もっと頭を使えよ、と忠告したい。

     まずは今後成長しそうな業界を絞り込み、その中で将来性のありそうな会社をピックアップした後で、「その会社に入るためには自分の何がウリになるか」という視点で自己分析する。その結果をフィードバックして、自分にどの業界や職種が向いているか検証する…。

     そういう「仮説思考」で物事を考えられる学生は、自己分析で行き詰まったり「志望動機」を言いよどんだりせずに済む。有名企業でなくても、きっと美味しいポジションに滑りこむことができるし、入社後に活躍する可能性も高い。ビジネスの適性は、就活の時点で品定めされているのである。


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