• 公私混同! 陸自のチェーンソー6台と部下のべ43人を使って自宅敷地を整備した3佐が停職33日

    災害時の救出活動などで組織力の高さを見せている自衛隊だが、この組織力を不正に利用する「公私混同」のケースが発覚している。陸上自衛隊第7師団(北海道千歳市)は22日、40代の男性(3等陸佐)を停職33日の懲戒処分とした。

    3等陸佐は昨年8月から10月、自衛隊のチェーンソー6台を無断で使用し、3回にわたり千歳市内の自宅建設予定地の木62本を部下に伐採させた。動員した部下はのべ43人で、平日に強制的に休みを取らせたこともあったという。

    この3等陸佐は、公務で参加した昨年8月の「富士総合火力演習」の見学席に妻を同行した。戦車やヘリコプターの実弾射撃訓練を間近に見られる一般入場券の抽選は、毎回20倍前後の高倍率になるが、3等陸佐は入場券のない妻を見学席に連れて行き、演習を見せた。

    出世を果たした「少佐」の慢心か

    3等陸佐は陸上自衛隊に対し、「購入した自宅敷地を早く整えて家を建てたかった。また、妻が演習を見たいと言ったので連れて行った」などと事実関係を認めた。かなり大掛かりの公私混同であり、普段から同様のことが行われていたのではと思われてならない。

    なぜ自衛隊内で、このような公私混同が行われるのか。3等陸佐といえば、軍隊の階級でいえば「少佐」に当たる。中央官庁では課長補佐、企業では副部長にあたるともいわれる幹部候補の入り口である。

    部下に対する影響力も格段に大きくなり、「イヤな上司だが、逆らって自分の出世が妨げられては大変だ」と渋々従った部下もいたことだろう。組織の力が慢心を起させ、自分の実力を勘違いさせてしまったのではないか。

    日本企業でも高度成長期には、上司の引っ越しに社員が無料で駆り出されるのは当たり前のことだったという。そういった古い風土が、一部自衛隊に残っていたのだろうか。

    自衛隊といえば、2004年に海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」で行われていたいじめ自殺訴訟について、東京高裁が国に対し遺族へ7350万円の賠償を命じた判決が確定している。

    この事件では護衛艦内で凄惨ないじめがあっただけでなく、遺族が乗員向けアンケートの情報公開請求を行ったところ、海上自衛隊が「破棄した」と回答。見かねた3等海佐が「アンケートは残っている」と遺族に知らせ、隠蔽が発覚している。

    内部通報で組織のウソを暴いた3等海佐

    しかし海上自衛隊はあろうことか、書類を持ち出す規律違反を犯したとして、3等海佐に懲戒処分手続きの開始を通告。しかし、判決が確定した25日に小野寺防衛相は「基本的に公益通報にあたる。通報者に不利な取り扱いをすることはあってはならない」と否定的な見解を明らかにした。

    冒頭の3等陸佐とこの3等海佐は、同じ「少佐」だが、国や組織に対する責任感という点では、天と地ほどの差があると思われてならない。

    なお、いじめ訴訟で一審は「いじめは艦内では日常茶飯事、常習的で、本件は氷山の一角」と認定している。人員の流動性の低さや体育会的な強固な上下関係は、日本のサラリーマン社会と同様、組織の力となる場合もあるが、陰湿ないじめや強要の温床ともなりうる。

    この他にも今月は、自衛隊での不祥事の発覚が相次いだ。陸上自衛隊健軍駐屯地は、防寒用セーターを連隊の倉庫から勝手に持ち出したとして、3等陸尉を停職22日の懲戒処分にした。また、航空自衛隊松島基地は、許可を得ずに官用車の大型トラックを運転し私用で外出したとして、3等空曹を停職6日の懲戒処分にした。

    自衛隊の組織や装備が有する「パワー」はあまりにも絶大だが、それを正しく使うことができるかどうかは、その人の誠実さや自制心に依存するのだろう。(懲戒処分ウォッチャー・ムライセツオ)

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