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「お父さんは悪い人なの?」 半沢直樹でとばっちり受ける「常務」という役職
近年稀に見る高視聴率を記録し、社会現象になったドラマ「半沢直樹」。視聴者からは「銀行員って意外とワルなんだね」という声も聞かれるが、それ以外にも思わぬとばっちりを受けている人がいる。
大手金融機関に役員として勤務する男性は、こうボヤく。男性の役職は「常務取締役」。香川照之さんが悪役を熱演した、大和田常務と同じ肩書きである。
ドラマの影響で「悪役」イメージ定着?
常務のイメージが悪化していると気付いたのは、小学生の娘が学校の社会学習で職場見学にやってきたときのこと。父親の肩書が常務だと初めて知った娘が、家に帰ってきてこう聞いてきたのだという。
もちろん父親は「え、なんで?」と驚いたというが、それがドラマの影響であることにすぐに気付いた。
エリート銀行員の半沢が、理不尽な組織や上司に対して復讐を果たしていく物語の中で、一番の悪役として描かれていたのが大和田常務だったからだ。
というセリフに代表されるように、典型的な極悪上司として半沢を苦しめた大和田常務だが、あのような描かれ方をしたら「常務=悪人」というイメージを持ってしまう人もいるかも知れない。
ツイッターにも「半沢直樹のせいで常務って単語にいいイメージがない(笑)」という投稿があった。まだ世の中を知らない子どもなら尚更だろう。
先般のみずほ銀行の暴力団融資が発覚したとき、真っ先に異動になったのもコンプライアンス担当の常務。風向きはよくない。
(最新記事はこちら)
現場の責任を引き受けるリスクの高いポスト
常務とは、会社を経営する取締役の役職の一つで、日本では専務の次とされることが多い。いわゆる「平取(ひらとり)」からひとつ上がった取締役で、サラリーマンにとってはかなり達成感のあるポストだ。
会社法には専務や常務についての規定はなく、明確な役割は会社ごとに異なる。専務が会社の全般的な管理業務を担当するのに対し、常務は会社の日常の業務を担当する、などと説明されるのが一般的だ。
要するに「現場」の指揮命令と、それが引き起こす結果の責任を一手に担う重役なのである。社長のように「知らなかった」と言い逃れもできない。
たとえばトヨタ自動車の2013年の新体制では、「現場力の強化」として常務役員の4割が新任で就いている。大塚製薬の櫻井常務もインタビューで「国内と韓国を飛び回る日々」と答えており、現場主義をつらぬいている。
ある経営者は「日本のビジネスの現場を支えているのは常務だ」と話す。重い責任を担い、何らかの行動をすれば、失敗のリスクはつきものである。ドラマの影響などは気にせず、世の常務にはがんばってもらいたいものだ。