• 意識高い旅人とは「話が合わない」 日ごとネットで「ヒマつぶし」【外こもりのすすめ(7)】

    外こもり生活を始めて3年になる貧BPさん。その生活習慣はあまり変わらない。

    朝は8時に起床する。意外と早いが、目覚まし時計はもちろん使わない。自然起床だ。その後安い地元食を食べに行くか、コンビニでパン、ヨーグルト、飲み物を買いに行く。お昼も近所の安食堂。朝ごはんを兼ねることもあるという。

    起きたい時に起き、寝たい時に寝る生活  

    午後は数日に一度は繁華街へ行き、ブラブラする。出かけない時はひたすらYouTubeを観るなどネットをしているか、読書に勤しむ。

    「普通のバックパッカーは昼間、観光に出ていることが多いので、旅談義は夕飯から就寝までの時間になることが多いです」

    夜は眠くなった頃、だいたい23時か0時に就寝。起きたい時に起き、寝たい時に寝る生活だ。

    ただ、そうした生活を送っていると、曜日や月日の感覚がなくなるという。

    「外こもりをするようになってから、ネットをする時間がとても長くなりました。お金もかかりませんし」

    彼のハンドルネームが生まれるきっかけとなった2ちゃんねるのほか、ツイッター、自分や様々な人のブログ、YouTubeなどを巡回する。誰かと話してなければ、1時間に1回はチェックしている。

    「特に動画サイトはよく見ます。今は、日本のドラマやアニメ、バラエティ番組は翌日には中国系の動画サイトに上がっていますから。それらを観ていれば、時間なんかあっという間に過ぎていきますよ」

    日本語の本は「貴重」

    彼が持っているデバイスは、ノートパソコン、iPad、Androidスマートフォン。全て日本で購入したものだ。

    「短期ならノートパソコンは要らないかもしれませんが、長期になればなるほど、あったほうがいいと思います。今はほとんどのバックパッカーが本や漫画、動画のデータを持ち歩き、交換するのが普通になっています」

    さらに最近では電子書籍も、外こもりやバックパッカーの間で広がっているという。日本語の本は貴重だ。仲間同士で日本語の本を交換することもあるし、日本人宿には過去に泊まった人々が置いていったものもあり、それらを読むことも多い。

    「外こもりするようになってから、暇つぶしのためにどんな種類の本も読むようになりました」

    ポッドキャストで、NHKのニュースもよく聴く。一日に何度か配信され、それを聞いてれば日本で何が起きているのかは大体分かるそうだ。

    そうして節約一辺倒の生活をしている貧BPさんが「贅沢をしたな」と感じるのは…。

    「屋台ではなく普通の店で食事を食べた時や、移動にエアコンのある乗り物に乗ったときです。エアコン付きの乗り物は乗車料が高いですからね」

    ごくごくまれにだが、カフェに外こもりやバックパッカー仲間何人かで行って「涼しい天国」を味わうこともあるという。お金がなくとも、潤いが必要な時もある。

     

    「この人はなにやっているんだろう」

    外こもりやバックパッカー仲間と話すのは旅の話だけとは限らない。政治や宗教の話、今後の人生の話をすることもあるという。

    「その日に会ったばかりの人と、ハードな政治論議をして深夜になることも。日本では考えられませんよね。これは本当に旅先ならではのことだと思います」

    ただ、そんな旅仲間にも違和感を覚える時があるという。

    最近特徴的なのは、ともかく前向きな「意識の高い旅人」が多くなってきたことだそうだ。行く先々で働いている日本人に会うことを目標にしている人、毎日必ずブログを更新する人、現地人の友達を作る人……などなど。

    そうした若者に目標を聞かれ、「別にやりたいことも無いなあ。毎日やっていることは、本読んでネットやっているぐらい」と答えると、

    「この人はなにやっているんだろうだという目で見られたりもします。それは正直、辛いところがあります」

    貧BPさんのような「筋金入りの外こもり」と、今どきのバックパッカーとは話が噛み合わないこともあるようだ。

     (第8回につづく)

    本連載は、外こもりの中でもひときわ異彩を放つ「貧BPの人生オワタ\(^o^)/旅」という大人気ブログの書き手である貧BPさんに取材し、考え方や行動などを再構成し、一つの突き抜けた生き方を提示するもの。けっして働くことを否定する内容ではない。なお、貧BPという名前は、外こもり専用掲示板のハンドルネームに由来する。貧しいバックパッカー、略して貧BPである。

    [恵比須半蔵(えびすはんぞう) / ノンフィクションライター]

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