• 3期連続赤字の任天堂 苦境でも「強気」な理由とは?

    国内有数の超優良企業として知られ、就活生にも人気の任天堂に異変が起きている。2014年3月期の業績予想は大幅に下方修正され、3期連続の赤字になると発表。据え置き型ゲーム機「Wii U」の販売不振が響いており、対応が急がれている。

    任天堂は「古代の儀式を繰り返す過去の生物」

    17日に発表された2014年3月期の業績予想では、1000億円の黒字と予想されていた通期の営業損益が、350億円の赤字に大幅下方修正された。

    問題となっているのが、主力の「Wii U」の不振だ。今期の販売予想は国内外合計で900万台とされていたが、業績予想の下方修正に伴い、280万台に大幅修正した。

    2012年秋の発売時は、携帯タブレット端末付きの画期的な据え置きゲーム機として注目されたものの、今期はソニーの「PlayStation4」やマイクロソフトの「Xbox One」と競合し、苦戦する形になった。

    Wii U向けのソフトの販売予想も3800万本から1900万本に半減。特別大きなヒットタイトルもなく、ソフトが売れることでハードも売れ、続々とユーザー数が増えていく、という従来の流れにはならなかった。

    スマートフォン向けゲームの躍進も任天堂不振の要因だと見られている。スマホで遊べるゲームを無料で配信し、アイテム課金で収益をあげるというスタイルが世界中に広まり、もはやゲーム専用機を売って、その後ソフトを売って、という従来の任天堂のビジネスが古くなっているという見方が大勢を占めている。

    任天堂を取り巻く環境は苦しい。国内のマスコミ各社の報道も「任天堂は時代遅れ」といった悲観的なトーンが目立つ。海外のネットメディアの中には、

    「日本のゲームの皇帝は、カービィとリンクの古代の儀式を機械的に繰り返すだけの過去の生物になってしまった」

    と書くものもある。

    「マンネリを打破するものを期待してる」

    ただ海外では、PS4の販売が好調なように、依然据え置き型ゲーム機の人気が高い。

    現在Wii Uはソフトが売れないからハードが売れない。それを受けてサードパーティが参入をやめて、さらにソフトが売れない、という完全に悪いスパイラルに陥っている。

    状況が厳しいのは変わりないが、どこかで強力なタイトルを発売することができれば状況が変わる可能性もある。

    岩田聡社長も17日の会見では、「Wii Uでは今後、期待できるソフトが出るので、普及が図れる」と強気の様子を見せている。

    また海外メディアでは、任天堂の次の一手として、より低価格の携帯ゲーム端末の開発や、Wii Uやニンテンドー3DS向けに、基本プレイ無料の課金型ゲームを発売するのではないか、という説も出ている。

    そして、任天堂の経営基盤はまだまだ盤石だ。2014年3月期・第2四半期の純資産は約1兆2000億円で、自己資本比率は82.5%。財務的にはなお十分すぎるほどの余裕があり、それだけリスクを取って冒険ができるとも言える。

    ネット上には、任天堂に期待をかける書き込みもある。

    「娯楽産業という浮き沈みの激しい業界にいる限り、必ずこういう時期があることを見据えて、無借金で利益を貯めこんでやってきたわけだから、外野がどうこう言うもんでもなし。昨今のマンネリを打破するものを期待してる」
    「かつてWii Fitの大ヒットを誰が予想できただろうか」

    岩田社長は今後も続投する意向を示している。30日に経営方針説明会を開き、テコ入れ策を説明する予定ということだ。

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