• ワンマン社長が社員から愛される理由 「お前が絶対やれるというなら信用しよう」

    2014年2月24日の「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)は、アイリスオーヤマの経営者である大山健太郎社長を紹介していた。

    アイリスオーヤマのビジネスモデルは、製造業と卸売業の機能を一体化させた「メーカーベンダー」。売り上げの5割以上が新商品という特徴を持つ同社は、新商品の提案は毎週月曜日の「プレゼン会議」で行い、大山社長がすべてその場で商品化の可否を即断即決する。

    早ければ、企画から3か月で販売にこぎつけることも。この意思決定の速さで、他社に先駆けて時流をつかんだヒット商品を数多く世に打ち出してきた。

    自席にPCなし。「鏡」で後方にも目を光らせる

    アイリスオーヤマでは、自席にパソコンを置かせない。大山社長の「パソコンからはアイデアは生まれない」という発想からだ。共有スペースだけにあり、1回の使用は45分までという決まりだ。

    プレゼン会議室の前方には大きな鏡があり、後ろに座る人も社長と目が合う。プレゼンテーターはもちろん、後方席の社員もぼんやりするわけにはいかず、緊張感が生まれる。

    社員ミーティングは、上席がない丸いスタンディングテーブルで行う。距離感を縮めて「アイデアは皆で頭を突き合わせて出し合うもの」という考えを貫く。

    “整理整頓”を徹底し、「机が整理できていないヤツは頭の中も整理できていない」と言われる。番組は、引き出しを少し開けっ放しにしていた社員を見咎める大山氏の姿をとらえていた。

    コスト削減にも厳しい。過去にオイルショックの煽りで社員をリストラせざるを得なくなったときから、会社の理念は「永遠に存続すること」だという。どんな時代がきても利益が出せるよう、儲けよりも赤字を出さない、リストラをしないことを重視する。

    中途入社組も仕事に「やりがい」見出す

    これだけ並べると、社員に厳しいワンマン社長のようにも見えるが、社員はそう感じてはいない。新しい扇風機の設計者である小野さんは10年前、大手産業機器メーカーで働いていた。しかし、仕事にやりがいを見出せずに転職してきた。

    「以前は(自分の仕事が)世の中の役に立っているのかどうかわからなかった。(今は何がいいかと問われて)やっぱり仕事が見えること。目に見えるのは面白いですね」

    実は新しい扇風機を開発する際、大山社長は判断に迷っていた。しかしプレゼンターの意欲を見て、最後は人を信用するしかないと決断した。

    「僕が判断できないときは、お前を信用するよ。お前が絶対やれるというなら、お前を信用しよう」

    この一言で社員は奮起するし、期待に応えるべく努力もするのだから、うまいな、と思う。開発チームは、大山社長にいい商品だと言わせるレベルまで改良したい、という意欲に満ちていた。

    更に性能を上げて来たプレゼンを見て、OKを出した直後、「(この扇風機は)賢いねん。小野が賢いからできたんやな」と社員をほめる。小野さんは「ちょっとだけですけど」と、照れ臭そうに答えていた。(ライター:okei)

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