• ドワンゴの「受験料継続」に喝采 「異常なシューカツ」への批判相次ぐ

    ドワンゴは自社のウェブサイトで、2015年度新卒入社試験で導入した「受験料制度」について「来年度も継続したい」との見解を示した。

    受験料制度については、3月2日に読売新聞で「厚生労働省より行政指導を受けた」と報じられている。しかし、ドワンゴによると「口頭での助言」であり、書面の受領などはなかったという。

    「法改正や規制強化」ほのめかしにも動じず

    ドワンゴの3日の発表によれば、厚労省の助言内容は「来年以降の受験料徴収の自主的な中止を求める旨」とのこと。同じ制度が他社にも広がることで、「お金を払える人だけが採用試験を受けられる状態」になることを危惧している、とドワンゴは理解したという。

    さらに社会的影響や問題意識の広がりによっては、との前置きで、「法改正や規制強化をせざるを得ない状況になるかもしれない」と言われたそうだ。

    これに対しドワンゴ側は、現在の受験料2525円が「収入格差により就職の機会を奪うほどの高額であるとは認識していない」と反論。一都三県以外の地方出身学生の受験料が無料なのは、収入格差を軽減する狙いがあるとしている。

    同社では、就活生が100社以上エントリーし、就活生と企業双方に「大きな負荷」がかかる現状を「解消すべき」との問題意識を強く持っている、という見解を打ち出している。

    国の「助言」に唯々諾々と従うのではなく、自らの主張を展開して「継続的な意見交換等」を行うという宣言は異例だ。ネット上では、ドワンゴの姿勢を支持する声が多い。

    特に、受験料徴収が「就職の機会を奪う可能性がある」という指摘に対しては、センター試験や国立二次試験で1万円以上、有名私立大学の入試では3万5000円もの「入学検定料」を集めていることなどを例に、高すぎないと指摘する人が目に付く。

    「就職する権利を奪うほど、2525円は高額だとは言えない。面接も問題も採点も合否通知も説明会も、全部無料じゃないんです」

    会長「学生を不幸にする就活の仕組みに乗るな」

    ドワンゴ会長兼CTOの川上量生氏は、2013年12月のインタビューでこう発言している。

    「リクナビの一括エントリーボタンとか最悪ですよ」
    「ドワンゴも他社同様『学生を不幸にする就活の仕組み』に乗っかっているのはダメだ」

    現に2015年度の新卒採用では、大手就活サイト「リクナビ」への掲載を止めた。これにより、全体の応募者数は64%も減った(昨年同期比)が、自社ウェブサイトからのエンジニア職の応募は8%増と昨年より伸びている。

    この結果をドワンゴは「施策は成功」と評価している。

    「応募者の評価にじっくりと時間をかけられるようになり、また、昨年よりも応募者の質が向上していると感じています」

    来年度の受験料制度の継続については、内定者の承諾率なども合わせて最終判断するというが、ネットでは、受験料制度の是非だけでなく、

    「この異常なシューカツを生んだのは誰か、ということ」
    「厚労省は口先介入で恩を着せるのではなく、真面目にシューカツ問題と向かい合った方がいいよね」

    など、問題が多いとされる日本の就職活動に、根本的にメスを入れるきっかけになって欲しいという期待が高い。

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