親にお中元・お歳暮、小遣いまでくれるキユーピー 「娘を任せてほんとに良かった」 2014年3月14日 企業徹底研究 ツイート 2014年3月13日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)は、マヨネーズのシェア65%で国内ダントツトップのキユーピーを取り上げた。社是は「楽業偕悦(らくぎょうかいえつ)」。志が同じ人と仕事をし、歓びを共にする、という意味だ。 これは言葉だけではなく、創業者が始めた珍しい制度で実現されている。お中元やお歳暮の時期になると、会社は社員の親にキユーピー商品の詰め合わせをセットで贈る。さらに半年に1度、6000円(月1000円)の送金までしているのだ。 1925年に日本で初めてマヨネーズを製造 「社訓に「『親を大切にしなさい』とあり、その気持ちを持てる人は、お世話になった得意先やお客様に感謝の気持ちで接することができる」 珍しい取り組みは、そんな考えに基づいている。子どもたちが頑張っているところを、親に分かってもらおうという意味もある。番組ではある親が「娘を任せてほんとに良かったと思っています」と心から安心し、楽しみにもしている様子を紹介していた。 キユーピーは1925年に日本で初めてマヨネーズを製造販売し、グループ従業員は1万2600人、2013年の売り上げは過去最高の5305億円と、成長を続ける巨大企業となっている。 好調の理由は調味料だけではなく、マヨネーズから派生させた様々なビジネスにある。タマゴを使った医薬品の成分製造や、外食産業向けのタマゴ加工品、マヨネーズ運搬時のノウハウが生きた物流システム、カット野菜など幅広い。 番組編集長の村上龍は、「多角企業という感じがしない、逆にマヨネーズを一筋という印象ですが」と話を振ると、社長の三宅峰三郎氏は、独自の経営論を語った。 「他社と同じ事をやっているところに参入するのは、価格競争が生まれるだけで無意味。得意分野を深く掘り下げることで、新しい事業が生まれるのです」 社員はというと、10人前後の社員同士が自主的にチームを組み、工場を汚さない方法や、荷物を楽に運ぶ方法などを考える業務改善に取り組んでいる。 村上龍「なんでも言える社風ってすごい」 業務改善は惰性でやらされているだけではないのかと思いきや、工場内をピカピカになるまで磨き上げる掃除専門チーム「ピカピカ仙人チーム」の社員は、「見てもらうと分かる通り、蛍光灯が(床に)映るんです。ここまでやるのが合格点です」と誇らしげに語っていた。 若手女性社員が中心の6人「たまらないチーム」は、残業と製造ロス、ストレスがたまらないようにする取り組みをしている。製造ラインに月に400回ほど起きていたトラブルを改善し、年間1330万円増の効果を生み出した。 こうした成果が出ても、給料が大きく上がるわけではないが、社員たちは「給料よりも、やりがい」という。可愛らしい女性社員は「自分のためが周りのため」と笑顔で語り、チームの仲の良さそうな雰囲気も感じた。 「稼働率が上がれば自分も仕事が楽になるし、残業がなくて早く帰れるので自分のためでもあります」 村上氏は、「(社員は)テレビの取材を受けて『給料上がりません』とはなかなか言えない。なんでも言える(社風)ってことがすごい」と驚き、三宅社長も、「上司の言う通りにしていればいいという風潮になると、私たちの良さが発揮できません」と答えた。 100年続く大企業が、いつも順風満帆だった訳ではない。戦後の物資不足や労働争議、ライバル企業の参入など、幾多の困難に見舞われた中で危機を乗り越えてきた秘訣は、創業者の意志が今も受け継がれているからなのだと感じた。(ライター:okei) あわせて読みたい:全契約社員を正社員にした会社
親にお中元・お歳暮、小遣いまでくれるキユーピー 「娘を任せてほんとに良かった」
2014年3月13日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)は、マヨネーズのシェア65%で国内ダントツトップのキユーピーを取り上げた。社是は「楽業偕悦(らくぎょうかいえつ)」。志が同じ人と仕事をし、歓びを共にする、という意味だ。
これは言葉だけではなく、創業者が始めた珍しい制度で実現されている。お中元やお歳暮の時期になると、会社は社員の親にキユーピー商品の詰め合わせをセットで贈る。さらに半年に1度、6000円(月1000円)の送金までしているのだ。
1925年に日本で初めてマヨネーズを製造
珍しい取り組みは、そんな考えに基づいている。子どもたちが頑張っているところを、親に分かってもらおうという意味もある。番組ではある親が「娘を任せてほんとに良かったと思っています」と心から安心し、楽しみにもしている様子を紹介していた。
キユーピーは1925年に日本で初めてマヨネーズを製造販売し、グループ従業員は1万2600人、2013年の売り上げは過去最高の5305億円と、成長を続ける巨大企業となっている。
好調の理由は調味料だけではなく、マヨネーズから派生させた様々なビジネスにある。タマゴを使った医薬品の成分製造や、外食産業向けのタマゴ加工品、マヨネーズ運搬時のノウハウが生きた物流システム、カット野菜など幅広い。
番組編集長の村上龍は、「多角企業という感じがしない、逆にマヨネーズを一筋という印象ですが」と話を振ると、社長の三宅峰三郎氏は、独自の経営論を語った。
社員はというと、10人前後の社員同士が自主的にチームを組み、工場を汚さない方法や、荷物を楽に運ぶ方法などを考える業務改善に取り組んでいる。
村上龍「なんでも言える社風ってすごい」
業務改善は惰性でやらされているだけではないのかと思いきや、工場内をピカピカになるまで磨き上げる掃除専門チーム「ピカピカ仙人チーム」の社員は、「見てもらうと分かる通り、蛍光灯が(床に)映るんです。ここまでやるのが合格点です」と誇らしげに語っていた。
若手女性社員が中心の6人「たまらないチーム」は、残業と製造ロス、ストレスがたまらないようにする取り組みをしている。製造ラインに月に400回ほど起きていたトラブルを改善し、年間1330万円増の効果を生み出した。
こうした成果が出ても、給料が大きく上がるわけではないが、社員たちは「給料よりも、やりがい」という。可愛らしい女性社員は「自分のためが周りのため」と笑顔で語り、チームの仲の良さそうな雰囲気も感じた。
村上氏は、「(社員は)テレビの取材を受けて『給料上がりません』とはなかなか言えない。なんでも言える(社風)ってことがすごい」と驚き、三宅社長も、「上司の言う通りにしていればいいという風潮になると、私たちの良さが発揮できません」と答えた。
100年続く大企業が、いつも順風満帆だった訳ではない。戦後の物資不足や労働争議、ライバル企業の参入など、幾多の困難に見舞われた中で危機を乗り越えてきた秘訣は、創業者の意志が今も受け継がれているからなのだと感じた。(ライター:okei)
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