ソーシャルゲーム開発は踊り場? Klab、通期最終損益予想は9億円の赤字 2013年4月26日 今日の口コミ&年収 ツイート ソーシャルゲーム開発の東証一部上場企業Klab(クラブ)は、2013年度第2四半期の連結決算を発表した。当初予想では売上49億円、最終利益を2億円としていたが、実績は売上36億円、最終損益は4億円の赤字と惨憺たる結果になった。 同時に発表した通期業績予想も、大幅に下方修正。売上高は330億円から229億円、営業利益は50億円の黒字から11億円の赤字、最終損益は31億円の黒字から9億円の赤字とした。 このニュースが株式市場に届くやいなや、嫌気売りが殺到。15日は株価がストップ安となった。同社は業績不振について「新作ゲーム開発の遅れ、国内向け新作ゲームの販売不振、コスト管理の甘さ」など、マネジメント不足とコミュニケーション不足が原因と分析している。 Klabとは一般的には馴染みのない社名だが、それもそのはず、主力事業のソーシャルゲームをモバゲーやグリー、ミクシーなどのSNSに提供しているB2B企業。名前は表には出てこない。 たかがゲームと侮るなかれ。世界のソーシャルゲーム市場はおよそ6500億円、うち半分が日本市場だといわれ、近いうちに4000億円市場に成長すると見込まれている。Klabのオフィスは、東京・港区の六本木ヒルズ20階と22階だ。 ただ、近年は競合他社が新商品を続々と出しているうえ、競争も激化してクオリティ要求が上がり、利益率は下がりつつあるという指摘もある。市場拡大にあわせて人員の獲得競争も激化し、人件費の水準も上がっているという。 プラットフォームを押さえたモバゲーやグリーの収益性の高さに比べると、開発業界の収益性は下降気味。競合他社の「ケイブ」「ドリコム」「アクセルマーク」「クルーズ」なども減収減益傾向にあり、今後も楽観視できない。 キャリコネの口コミを見ると、ソーシャルゲーム開発会社は急速に成長してきたせいか、Klabが分析する通り、組織運営上の大きな問題があるようである。20代のゲームプランナーは、残業時間の多さなどについて不満をつのらせている。 「とにかく残業が長い。面接時には『時と場合により残業がある場合もある』という内容だったが、いざ入社してみると、入社2週間でいきなり徹夜勤務をさせられる。夜も22時以降でないとほぼ帰れません。全体的に残業をしている人が評価される傾向」 「世界最大規模のスマホゲームベンダー」目指して 業務のやり方や労働時間について、上司が事細かに指示しない「裁量労働制」が採用されているのはライバル会社と同様だが、それが過重労働を引き起こしているようだ。 「深夜残業、徹夜勤務、休日勤務がよくあるため、ワークライフバランスは保ちにくい。帰っても家で仕事することも多い。企業からのワークライフバランスの施策は、あくまでも表面上のものに過ぎない。辞めたければ辞めればという感じ」(20代男性) 開発スタッフだけでなく、ルートセールスの担当者からも、仕事の進め方が非効率的なのでムダな残業が発生していると指摘がある。 「新入社員に対してのトレーニングが充実しておらず、各自が我流のやり方で仕事を進めてしまっているため、仕事の質を一定以上の水準にするためにも、もっとトレーニングが必要」 いかにも勢いはあるが洗練されていないIT系ベンチャー企業の組織と仕事が垣間見られる。現状では確かに問題点は山積しているが、同社には「世界最大規模のスマートフォンゲームベンダーを目指す」というビジョンがあり、このまま終わるとは思えない。 現状でも開発拠点をフィリピン、マーケティング拠点を米国と中国に置いているが、グローバル展開が波に乗れば、市場は飛躍的に大きくなるのではないか――。こんな見方を反映してか、ソーシャルゲーム各社への買いとも相まって、今月17日と18日の東京株式市場では一転してストップ高で取り引きを終えている。
ソーシャルゲーム開発は踊り場? Klab、通期最終損益予想は9億円の赤字
ソーシャルゲーム開発の東証一部上場企業Klab(クラブ)は、2013年度第2四半期の連結決算を発表した。当初予想では売上49億円、最終利益を2億円としていたが、実績は売上36億円、最終損益は4億円の赤字と惨憺たる結果になった。
同時に発表した通期業績予想も、大幅に下方修正。売上高は330億円から229億円、営業利益は50億円の黒字から11億円の赤字、最終損益は31億円の黒字から9億円の赤字とした。
このニュースが株式市場に届くやいなや、嫌気売りが殺到。15日は株価がストップ安となった。同社は業績不振について「新作ゲーム開発の遅れ、国内向け新作ゲームの販売不振、コスト管理の甘さ」など、マネジメント不足とコミュニケーション不足が原因と分析している。
Klabとは一般的には馴染みのない社名だが、それもそのはず、主力事業のソーシャルゲームをモバゲーやグリー、ミクシーなどのSNSに提供しているB2B企業。名前は表には出てこない。
たかがゲームと侮るなかれ。世界のソーシャルゲーム市場はおよそ6500億円、うち半分が日本市場だといわれ、近いうちに4000億円市場に成長すると見込まれている。Klabのオフィスは、東京・港区の六本木ヒルズ20階と22階だ。
ただ、近年は競合他社が新商品を続々と出しているうえ、競争も激化してクオリティ要求が上がり、利益率は下がりつつあるという指摘もある。市場拡大にあわせて人員の獲得競争も激化し、人件費の水準も上がっているという。
プラットフォームを押さえたモバゲーやグリーの収益性の高さに比べると、開発業界の収益性は下降気味。競合他社の「ケイブ」「ドリコム」「アクセルマーク」「クルーズ」なども減収減益傾向にあり、今後も楽観視できない。
キャリコネの口コミを見ると、ソーシャルゲーム開発会社は急速に成長してきたせいか、Klabが分析する通り、組織運営上の大きな問題があるようである。20代のゲームプランナーは、残業時間の多さなどについて不満をつのらせている。
「とにかく残業が長い。面接時には『時と場合により残業がある場合もある』という内容だったが、いざ入社してみると、入社2週間でいきなり徹夜勤務をさせられる。夜も22時以降でないとほぼ帰れません。全体的に残業をしている人が評価される傾向」
「世界最大規模のスマホゲームベンダー」目指して
業務のやり方や労働時間について、上司が事細かに指示しない「裁量労働制」が採用されているのはライバル会社と同様だが、それが過重労働を引き起こしているようだ。
「深夜残業、徹夜勤務、休日勤務がよくあるため、ワークライフバランスは保ちにくい。帰っても家で仕事することも多い。企業からのワークライフバランスの施策は、あくまでも表面上のものに過ぎない。辞めたければ辞めればという感じ」(20代男性)
開発スタッフだけでなく、ルートセールスの担当者からも、仕事の進め方が非効率的なのでムダな残業が発生していると指摘がある。
「新入社員に対してのトレーニングが充実しておらず、各自が我流のやり方で仕事を進めてしまっているため、仕事の質を一定以上の水準にするためにも、もっとトレーニングが必要」
いかにも勢いはあるが洗練されていないIT系ベンチャー企業の組織と仕事が垣間見られる。現状では確かに問題点は山積しているが、同社には「世界最大規模のスマートフォンゲームベンダーを目指す」というビジョンがあり、このまま終わるとは思えない。
現状でも開発拠点をフィリピン、マーケティング拠点を米国と中国に置いているが、グローバル展開が波に乗れば、市場は飛躍的に大きくなるのではないか――。こんな見方を反映してか、ソーシャルゲーム各社への買いとも相まって、今月17日と18日の東京株式市場では一転してストップ高で取り引きを終えている。