「解雇通知書」がTwitterで話題 「貴殿に労務の提供を求めません」 2013年11月13日 今日の口コミ&年収 ツイート ある外資系企業のものとされる「解雇予告通知」が話題になっている。写真週刊誌の記事をネット広告会社の社長がTwitterにアップし、すでに1000件以上のリツイートがついている。 「本日(発行日)以降、会社は貴殿に労務の提供を求めません」 「従って、貴殿の出社を禁じます」 などと書かれた「解雇予告通知および解雇理由証明書」には、「日本アイ・ビー・エム」と社名があり、事業担当者のサインもある。発行日は2013年6月21日で、「会社は、6月28日付で解雇します」と記されている。 自己退職なら「再就職支援」のオプションも 労働基準法では、解雇予告を行った日と退職日の間に「30日以上」の期間が必要であることになっている。ただ、この期間に満たない場合は不足日数分、平均賃金を支払うこととされる。 今回の書類では、金額は伏せられているものの「同日(退職日)までに解雇予告手当として●円を貴殿の給与振込口座に振り込んで支払います」とある。 これを読んだユーザーからは、「すげードライだな」「社員は機械じゃない」と社員に同情するような声があがっている。 その一方で、「書面にする分全然まとも」「問題ない。会社は慈善事業を行ってるわけじゃない」と会社を擁護する意見もある。 確かに書面には、解雇事由として「貴殿は、業績の低い状態が続いており」「支援を試みても業績の改善がなされず」と明記。退職日までに自ら退職する意思を示した場合には解雇ではなく「自己都合退職を認める」とした上で、 「退職加算金や、再就職支援会社のサポートを受けられるオプションも(会社費用で)用意する」 と、本人への支援も通知している。 (最新記事はこちら) 「日本は解雇に厳しい」はウソか本当か ドライな解雇より「パワハラで自主退職に持ち込む方が陰湿」との指摘もある。ファイナンシャルプランナーの中島よしふみ氏は2013年11月の「追い出し部屋ができる理由」というブログエントリで、 「自主的な行動を強制的に促す、というなんともおかしな事を(日本の)企業がやらざるを得ない理由は、解雇ができないからだ」 としている。 「日本は解雇に厳しい」という見方に対しては、「そんなはずはない」という声もある。中小・零細企業などでは、実質的に社長の好み次第でクビになるようなことがままあるからだ。 しかし、そんな場合でも労働者が裁判に訴えれば「不当解雇」という判決が出る確率は決して低くない。 規模の小さなオーナー企業で解雇が横行するのは、労働者に法的に知識が不足しているか、「こんなバカ社長には関わるくらいなら新天地で頑張ろう」と考えるからに過ぎず、決して「解雇規制」自体が緩いわけではない。 実際、訴訟によるイメージダウンをおそれる大企業では、リスクを負うくらいなら「ノンワーキングリッチとして雇っておく」ことを選択してきた。 しかしそれも、そろそろ限界を迎えている。余力があるうちに余剰人員を整理して会社を立て直したいと考える経営者は、日本アイ・ビー・エムのやり方を心底うらやましがっているのではないだろうか。 (最新の記事は @kigyo_insiderへ)
「解雇通知書」がTwitterで話題 「貴殿に労務の提供を求めません」
ある外資系企業のものとされる「解雇予告通知」が話題になっている。写真週刊誌の記事をネット広告会社の社長がTwitterにアップし、すでに1000件以上のリツイートがついている。
などと書かれた「解雇予告通知および解雇理由証明書」には、「日本アイ・ビー・エム」と社名があり、事業担当者のサインもある。発行日は2013年6月21日で、「会社は、6月28日付で解雇します」と記されている。
自己退職なら「再就職支援」のオプションも
労働基準法では、解雇予告を行った日と退職日の間に「30日以上」の期間が必要であることになっている。ただ、この期間に満たない場合は不足日数分、平均賃金を支払うこととされる。
今回の書類では、金額は伏せられているものの「同日(退職日)までに解雇予告手当として●円を貴殿の給与振込口座に振り込んで支払います」とある。
これを読んだユーザーからは、「すげードライだな」「社員は機械じゃない」と社員に同情するような声があがっている。
その一方で、「書面にする分全然まとも」「問題ない。会社は慈善事業を行ってるわけじゃない」と会社を擁護する意見もある。
確かに書面には、解雇事由として「貴殿は、業績の低い状態が続いており」「支援を試みても業績の改善がなされず」と明記。退職日までに自ら退職する意思を示した場合には解雇ではなく「自己都合退職を認める」とした上で、
「退職加算金や、再就職支援会社のサポートを受けられるオプションも(会社費用で)用意する」
と、本人への支援も通知している。
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「日本は解雇に厳しい」はウソか本当か
ドライな解雇より「パワハラで自主退職に持ち込む方が陰湿」との指摘もある。ファイナンシャルプランナーの中島よしふみ氏は2013年11月の「追い出し部屋ができる理由」というブログエントリで、
としている。
「日本は解雇に厳しい」という見方に対しては、「そんなはずはない」という声もある。中小・零細企業などでは、実質的に社長の好み次第でクビになるようなことがままあるからだ。
しかし、そんな場合でも労働者が裁判に訴えれば「不当解雇」という判決が出る確率は決して低くない。
規模の小さなオーナー企業で解雇が横行するのは、労働者に法的に知識が不足しているか、「こんなバカ社長には関わるくらいなら新天地で頑張ろう」と考えるからに過ぎず、決して「解雇規制」自体が緩いわけではない。
実際、訴訟によるイメージダウンをおそれる大企業では、リスクを負うくらいなら「ノンワーキングリッチとして雇っておく」ことを選択してきた。
しかしそれも、そろそろ限界を迎えている。余力があるうちに余剰人員を整理して会社を立て直したいと考える経営者は、日本アイ・ビー・エムのやり方を心底うらやましがっているのではないだろうか。
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