• 他人任せはベンチャーに不向き 「就活生批判」に賛否の声

    転職サイトなどを運営するベンチャー企業の技術系幹部が、就活生批判を展開して話題になった。「こんな就活生はイヤだ」と題されたエントリーでは、就活生と会って話す時間を「多大なるコスト」だと言う。

    現場の営業活動をする複数の社員に会わせてほしい、と依頼してくる就活生を「チキン」で「中身が薄い」「軸が無い」などと酷評。SNSもあるのだから、本当に興味があるなら自分でコンタクトを取れ、などと言いたいようだ。

    「時間コスト」に対する厳しい感覚も表明

    就活生への批判は、さらに続く。

    「泥臭いことは誰かがやってくれるだろう、こう思う就活生は間違ってもベンチャーには来ないことをオススメします」
    「仕事も遊びもしっちゃかめっちゃかに本気で取り組むとね、24時間なんてあっという間に過ぎ去る訳ですよ。ワークとライフのバランスなんて、無い無い」

    最近は大企業批判とともに、ベンチャーで働くメリットを強調する情報が増えた。それに伴い志望者数が多くなり、「御社ではワークライフバランスはきちんと確保されていますか?」と真っ先に質問するような、ベンチャー向きでない学生の応募が増えたのかもしれない。

    幹部の勤務先では、社員が就活生に焼肉をおごるウェブサイトをリリースしている。食事をしながら気軽に会話をすることで、会社のことをよく知ってもらおうという試みだ。

    しかし、このエントリーには「僕が就活生とお会いしても、それだけで、なんら、僕の人生に良い影響を与えることはありません」「(就活生が)社員と話す1時間は単純計算で2万円の売上毀損に繋がります」とあった。このため、自社のサービスと矛盾しているとネット上で批判が大きくなった。

    結局、この幹部はエントリーを削除し、「全文を撤回させていただきたい」と3月21日に書いた。採用活動その他の業務で多忙をきわめ、そのバランスがうまくとれなかったことが原因だと説明している。

    全文撤回も「本音」に同情と理解

    一連の流れには非難もあるものの、ネット上には同情や理解の声も少なくない。

    ベンチャーの経営幹部であれば、自分たちのビジョン達成のために時間を有効に使いたいという意欲が並外れて強いと考えても不思議ではない。こういう感覚を共有しようとしない就活生に、苛立ちが募ったのだろう。

    「すごく非難されてるわけではあるけど、こういうストレスの溜まり方は感覚的にはわかる」
    「採用に関わっている人からすれば普通の言葉なのかなと思いますが、立場を変えて読んでみれば言葉の端々から漏れ出るものを感じられる。難しい」

    就職にかける学生の切迫感は理解できるが、あまりにも自分のことばかり考えているのではないか、という人事担当者からの共感は深いようだ。

    nanapiの代表取締役社長・古川健介氏は、エントリー内容に「企業側の論理なんか気にしなくていい」と強く反論しているものの、一方でこう擁護している部分もある。

    「消されちゃった記事は、就活に対しての本音を述べているだけのものだと認識していますし、(自分とは)意見が違っているとはいえ、決して許されないことを書いているとは全く思っていません」

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