• 「ゆとり」の生き方に中高年が嫉妬? 「なぜ普通に就職しない」「すぐ辞めるに決まってる」

    2013年度の新卒社員は「ゆとりど真ん中世代」。反つめこみ教育を受けたのは現在19歳~27歳の年代で、今年23歳となる若者たちはちょうど中心に当たる。

    6月16日放送の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)では、そんなゆとり世代と、「団塊・しらけ世代」の中高年タレントたちが激論を交わした。特集タイトルは「ゆとり世代は日本を救うのか?」だったが…。

    マナー講師は「全部ネット」と批判

    ゆとり批判の急先鋒となったのは、マナー講師の平林都氏(53)だ。発言早々に「ゆとり世代の人は好きじゃない」と言い放ち、その理由をこう説明する。

    「ネットと少子化と機械化。それが同時にハマって(悪影響を与えて)しまった。機械に頼ってしまう。知識はネットにあって自分で考えてくれない」

    これにゆとり世代の女性(24)からは、「先輩からは質問するより『まずネットで調べたのか?』と言われる」と反論する。しかし平林氏は強い口調で「情報力は認めますが、全部ネットだから考える力を持っていない」と言う。

    この「ネット依存」の指摘に反論するのが、モデルの栗原類氏(19)だ。

    「自分で出かけて本を読んだり、調べに行ったりという人もいる。みんながネットに100%依存している、という考えは間違っていると思う」

    しかしこの意見にも、平林氏はこう決めつけ口調だ。

    「ケーキ屋はどこが美味しいかって言ったら、あなた自分で足を運びます? みなさんはきっと趣味の問題でも、ネットのデータで決めると思いますよ」

    さらに平林氏は、テレビ局勤務の男性(22)にも「3か月経ったら辞めるかもしれないね」と言い放ち、男性が「いや、まだ辞めないです…」と反論しても「3年経ったら辞めるよ」と決め付けている。他の出演者からは「なんでそんなに嫌うの?」と突っ込まれていた。

    ミッツ「労働は生きがいを感じるものじゃない」

    しかし番組は、どうしてもゆとりを責めたいようだ。「上司に叱られる」「会社が合わない」という理由で、入社数ヶ月で会社を辞めた若者を紹介。教育学者の尾木直樹氏は「僕が知ってる中では、入社日の午前中に辞めたよ」とコメントした。

    ホラン千秋氏(25)は「3年頑張って辞めるなら、それは吟味した結果だからいいんじゃないかなと思うんですけど…」と退職を擁護するが、ミッツ・マングローブ氏(39)は、

    「頑張ったなんて恩着せがましいのよ。労働なんて生きがいを感じるものじゃなく、無になってやるものなのよ」

    と頭ごなしに否定している。

    会場には、「騎馬戦の世界大会をやりたい」と会社を2か月で辞めた女性(23)と、パフォーマンス集団を主宰するために会社を辞める女性(24)が出演していた。辞める理由は新たに「やりたいことができたから」と説明する女性に、中高年タレントたちから批判が殺到した。

    「やりたいことがあって会社に入ったんでしょ?辞めグセつけるの?」(平林都氏)
    「生活が成り立つと思ってるんですか?」(阿川佐和子氏)
    「辞めろお前は!なんでお前と騎馬戦なんかやらなくちゃいけなんだよ!」(大竹まこと氏)

    カフェ起業も「ゆとり新ビジネス」と揶揄

    一方でゆとり世代本人たちからは、ゆとり教育を肯定する声も聞かれた。慶大に在学しながらクラウドファンディング事業の起業をした男性(21)は、

    「自分で考える機会を多く与えられたと思っていて、やりたいことをとことん追求する機会が得られた」

    と、反つめこみ教育のメリットを強調している。出演者の中には、会社を辞めた後や在学中に起業した若者もいた。

    しかし番組は、これらを「ゆとり新ビジネス」と紹介し、出演者も「普通に就職しようとは思わなかったんですか?」「ずーっと食パンに卵塗ってんだー」「もし負債を抱えた場合、助けてくれる人はいるんですかね」などと冷ややかな言葉を投げかける。

    議論は平行線で、世代間には大きな埋めがたい「乖離」がある――。そう感じた視聴者も多かったようで、この番組にはツイッターでも多数の意見が出ている。

    「TVタックルの大人達、腹立つな。会社員が一番えらいのか?リスクをとらない会社員ばかりの社会にイノベーションは起こらん」
    「たけしさんの世代とかにも、ローリング・ストーンズとか、どの時代にも夢追狂はいるわけで、それを時代の名前で象るのは可笑しいと思う」

    嫉妬めいたおせっかいは不要だ

    終始ゆとり世代に批判的だった出演者たちだが、司会のビートたけし氏(67)は、夢というのが自分と環境との関係性によって変わっていくもの、という言葉で番組をまとめていた。

    「(アフリカにいる)俺の知り合いのゾマホンの子どもの夢は『温かいご飯食べたいな』。偶然日本に生まれて、環境の中で夢を持つものであって、それがすべてではない。叶う叶わないじゃなくて、色々な選択肢を同時に考えられるようにならないと。逆に言えばそれが『ゆとり』だと思う」

    その観点でいえば、日本はようやく「ゆとり」がある豊かな社会になったはず。それを年老いた中高年たちが、若者のわざわざ選択肢を狭めるような、嫉妬めいたおせっかいをする権利はないはずだ。

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