メニューの8割を大刷新! 消費税8%後の「客離れ」を防ぐデニーズの挑戦 2014年4月4日 ビジネスTVウォッチ ツイート 4月1日から始まった、消費税8%への増税。各企業は客離れを防ぐために、価格の据え置きや付加価値をつけた値上げなど、さまざまな対応をしている。2014年4月1日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京系)は、「価格決定」をめぐる企業の裏側を伝えていた。 「増税はむしろ売上アップのチャンス」 全国に約390店舗を展開するファミリーレストラン、デニーズ。運営するセブン&アイ・フードシステムズは、業界第5位だ。4月からトップ4社が価格値上げに踏み切る中で、デニーズはメニューの8割を刷新する戦略に出た。 新商品の開発を任された開発部長の小松雅美さんは、女性に人気の「アボガドハンバーグ」に目をつけた。タルタルソースをやめて野菜を増やしカロリーダウンするなど、大きく改良。値上げをしても、主婦を集めたモニター調査は好評だった。 さらに、長年人気のデザート「キャラメルハニーパンケーキ」も、最近の傾向に合わせボリュームアップした。卵を加えたのでコストも価格もアップしたが、試食したセブン&アイ・フードシステムズの大久保恒夫社長は、手応えをこう語った。 「一般的には消費税アップで売り上げが落ちると言われているが、今回の新しい商品を見て、むしろ上がるチャンスなんじゃないかと」 一部店舗で先行販売してみると、注文は通常の5倍。100食以上出る日もあり、増税後の客離れを防ぐ目玉商品になりそうだ。小松さんは「(パンケーキのように)より価値をつけてお客様にアピールすれば、消費増税に立ち向かっていけるのではないかと思う」と話した。 「コスト削減」で目玉商品を値下げするスーパーも 広島で人気の大型スーパー「ゆめタウン広島」を運営するイズミは、西日本にスーパー89店舗を展開。売上高は全国5位だ。社内の“特殊部隊”である「カイゼン推進室」が日常の作業から徹底的にムダを省き、コスト削減に取り組んでいる。 たとえばキャベツ半分の切り売りをラップで包装する工程は、「全て切ってからラップ包装」する方法を、「1個切ったらすぐラップする」に変えた。これにより、作業時間が1分53秒も短くなった。 これを他の野菜にも適用し、すべての店舗で徹底したところ、人件費が浮いて年間4300万円の削減に成功。目玉商品である高級卵を安くすることができ、さらにプライベートブランドの高級食パン開発にも資金を投入する予定だ。 ストップウォッチ片手に店内を見回るカイゼンのリーダー(推進課長)木村満弥さんは、今までの感覚を細かく見直し実際の数字に置き換えてみる必要性を説いていた。 「こういう(カイゼン)活動をしていかないと競争には勝てない。それを繰り返す事で大きな差をつけていきたい」 「価格転嫁Gメン」を新たに600人配置 消費増税の際には、小売業者が立場の弱い下請けや中小企業に不当な圧力を掛けて、価格の据え置きなどを求めるケースが多くなる。番組の最後は、それを取り締まる経済産業省と公正取引委員会が組織する転嫁対策調査官(価格転嫁Gメン)の動きを紹介していた。 経済産業省はGメンを474人採用し、新たに「消費税転嫁対策室」を設置。公正取引委員会も約100人を採用し、「Gメン」は合わせて約600人にものぼる。 誠実な企業努力がある一方で、安易に弱い立場に負担を押し付ける企業もある。消費税増税は、商売人の知恵と底力が試される時なのだと感じた。そして生き残っていくのは、やはり地道で誠実な努力を怠らない企業であってほしい。(ライター:okei) あわせてよみたい:「クレーマーなのに常連」という不思議なお客
メニューの8割を大刷新! 消費税8%後の「客離れ」を防ぐデニーズの挑戦
4月1日から始まった、消費税8%への増税。各企業は客離れを防ぐために、価格の据え置きや付加価値をつけた値上げなど、さまざまな対応をしている。2014年4月1日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京系)は、「価格決定」をめぐる企業の裏側を伝えていた。
「増税はむしろ売上アップのチャンス」
全国に約390店舗を展開するファミリーレストラン、デニーズ。運営するセブン&アイ・フードシステムズは、業界第5位だ。4月からトップ4社が価格値上げに踏み切る中で、デニーズはメニューの8割を刷新する戦略に出た。
新商品の開発を任された開発部長の小松雅美さんは、女性に人気の「アボガドハンバーグ」に目をつけた。タルタルソースをやめて野菜を増やしカロリーダウンするなど、大きく改良。値上げをしても、主婦を集めたモニター調査は好評だった。
さらに、長年人気のデザート「キャラメルハニーパンケーキ」も、最近の傾向に合わせボリュームアップした。卵を加えたのでコストも価格もアップしたが、試食したセブン&アイ・フードシステムズの大久保恒夫社長は、手応えをこう語った。
一部店舗で先行販売してみると、注文は通常の5倍。100食以上出る日もあり、増税後の客離れを防ぐ目玉商品になりそうだ。小松さんは「(パンケーキのように)より価値をつけてお客様にアピールすれば、消費増税に立ち向かっていけるのではないかと思う」と話した。
「コスト削減」で目玉商品を値下げするスーパーも
広島で人気の大型スーパー「ゆめタウン広島」を運営するイズミは、西日本にスーパー89店舗を展開。売上高は全国5位だ。社内の“特殊部隊”である「カイゼン推進室」が日常の作業から徹底的にムダを省き、コスト削減に取り組んでいる。
たとえばキャベツ半分の切り売りをラップで包装する工程は、「全て切ってからラップ包装」する方法を、「1個切ったらすぐラップする」に変えた。これにより、作業時間が1分53秒も短くなった。
これを他の野菜にも適用し、すべての店舗で徹底したところ、人件費が浮いて年間4300万円の削減に成功。目玉商品である高級卵を安くすることができ、さらにプライベートブランドの高級食パン開発にも資金を投入する予定だ。
ストップウォッチ片手に店内を見回るカイゼンのリーダー(推進課長)木村満弥さんは、今までの感覚を細かく見直し実際の数字に置き換えてみる必要性を説いていた。
「価格転嫁Gメン」を新たに600人配置
消費増税の際には、小売業者が立場の弱い下請けや中小企業に不当な圧力を掛けて、価格の据え置きなどを求めるケースが多くなる。番組の最後は、それを取り締まる経済産業省と公正取引委員会が組織する転嫁対策調査官(価格転嫁Gメン)の動きを紹介していた。
経済産業省はGメンを474人採用し、新たに「消費税転嫁対策室」を設置。公正取引委員会も約100人を採用し、「Gメン」は合わせて約600人にものぼる。
誠実な企業努力がある一方で、安易に弱い立場に負担を押し付ける企業もある。消費税増税は、商売人の知恵と底力が試される時なのだと感じた。そして生き残っていくのは、やはり地道で誠実な努力を怠らない企業であってほしい。(ライター:okei)
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