• 世代間格差を見せつけるテレビの経済番組 豪華弁当を「旬だから」と簡単に購入する高齢者に違和感

    少子化が止まらない日本社会。国内需要が縮小する中で、頼りになるのはお金を持っている「高齢者」となる。2014年5月13日に放送された「ガイアの夜明け」(テレビ東京)では、高額商品でも価値をつければ売れる、という食品業界の取り組みを紹介していた。

    最近デパートの地下街では高級弁当の売れ行きが好調で、3000円台の「豪華毛ガニ弁当」が年配のお客に飛ぶように売れていく様子が映し出された。

    視聴者からは「闇を感じる」というツイートも

    この毛ガニは、大丸東京店の弁当担当マネージャーが、北海道から生のまま仕入れ、各店に高級弁当の素材として仕掛けたものだ。3000円の弁当を2つ購入した白髪の男性は、こともなげにこう話していた。

    「毛ガニはこれから旬だから、うまいものはうまい時に食べないと意味がない」

    売り場で3800円の弁当を前にした品のいい年配のご婦人は、販売員が「生のカニは甘みやみずみずしさが違います」とアピールすると、

    「そりゃそうね、生の方がね。じゃあ試しに買ってみましょう。高いけれど」

    と言いながらも、3つも購入していた。

    経済番組でよく見られる「景気のいい話」といえばそうだが、普通の主婦の感覚で見ていると、どこか違和感があるものだった。そこでツイッターを見てみると、若い世代と思われるユーザーから、やはりこんな声があがっていた。

    「3800円の毛ガニ弁当がぽんぽんと売れて行く様子を見て、貧富の差を感じている…」
    「高級な弁当が売れてるとしているが、買って行くのが皆高齢者で闇を感じる」

    日本国民の個人金融資産の6割以上は、60歳以上の世帯が占めていると言われている。いま各企業が、人数も貯蓄も多い高齢者を狙うのも無理はない。

    「日本全体の景気が良くなった」と決め付けないで

    就活環境もよく、バブル期に蓄財もでき、多額の退職金を得た世代は、いまの高齢者しかない。一方、若い人たちが年齢を重ねても、そのような時代が再び来るとは考えにくい。

    大丸東京店での豪華弁当の売り上げは、1年前から20%以上増えているというが、団塊世代が順次退職を迎えていることと無関係ではない気がしてしまう。日々の生活に汲々としている層から見れば、明らかな「世代間格差」だ。

    ただし、番組を見ていると、格差の問題は世代間だけにとどまらないような気もした。同じ番組で紹介していたデニーズやイトーヨーカドーの客層は、すべてが高齢者というワケではなかった。

    デニーズでおよそ2000円のローストビーフは、家族連れも注文していたし、高級弁当は3000円台こそ年配者が買っていたが、2000円前後の弁当は30代と思われる会社員も数個まとめ買いしていた。

    年配でなくとも買える人たちがいることも思えば、同世代の中にもやはり「格差」はある、と言わざるをえない。それは勤め先の規模や、都市と地方の格差が影響しているのかもしれない。

    「価値ある商品は高くても売れる」という動きは、今後さらに広がるのかもしれない。しかし、それで日本全体の景気が良くなったとか、すべての人々が豊かになったという風には決めつけないでほしい、という気がしてならなかった。(ライター:okei)

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