2015年新卒採用「売り手市場」に変化? でも「安心できない」理由とは 2014年1月9日 キャリコネ調査班 ツイート リーマン・ショック以降の就活には、とかく難易度が高いというイメージがつきまとっている。しかし、その傾向には変化が出始めているようだ。 110社の新卒採用担当者を対象にした調査によると、2015年新卒の採用活動全体の見通しとして、77.2%の企業が「前年よりも苦戦する」と回答している。つまり、新卒を「採用しにくい」と思っているということだ。 約4割が採用目標数も「上げる」 これは昨12月末に、人材採用コンサルティングのジョブウェブと人事BPRのレジェンダ・コーポレーションが発表した調査結果だ。 2012年調査では「前年より苦戦する」と答えた企業は54.3%だったため、20%以上も増加したことになる。 苦戦する理由としては、以下のような声が挙がっている。 「景気回復による優秀学生確保の競争激化」 「大手志向が強まると予想されるため」 「売り手市場のため内定者管理が前年より厳しくなっている」 昨年末には、2013年11月の有効求人倍率が6年1か月ぶりに1.00倍を回復したことが発表された。またこの調査でも、採用目標数が「前年を上回る」と回答した企業は38.2%に上っている。「前年を下回る」と回答したのはわずか5.5%だ。 背景にはアベノミクスによる景気回復への期待感や、それにともなう人手不足などもあるだろう。確かに2015年新卒採用は「売り手市場」の傾向にあるとも言えそうだ。 一方、学生側の意識はどうだろうか。 今年の就職活動は「難」 青山商事が展開するザ・スーツカンパニーが、2015年卒の就活生206名を対象とした就職活動に関する意識調査を12月末に発表している。 「今年の就職活動を『漢字』一文字で表すと何だと思いますか?」という質問に対しては、「難」と答えた学生が最多の28人。次いで「苦」(18人)、「忙」(13人)となっているから、学生たちも就活には苦労している様子がうかがえる。採用する側も採用される側も、気持ちは一緒なのかもしれない。 しかし、同調査では気になるデータもあった。 「会社にはどのくらい勤めたいと思っているのか」という調査に対し、47.6%の学生が「41年以上(※「定年退職まで」も含む)」と回答している。これは次点の「3年」(12.1%)の4倍近い数値だ。 回答理由にも以下のような現実的な言葉が並ぶ。 「年収がどんどん上がっていくから」 「そのほうが安定した人生を送れると思うから」 また「就職する会社に求めるもの」に関しても、第1位が「お金(給与)」(70.4%)。ついで「業務内容」(67.5%)、「安定」(65.0%)となっている。ブラック企業問題などの影響もあり、福利厚生の整った大手企業を志向する学生が増えているのかもしれない。 だが、学生たちのこのような意向がすんなり通るかどうかは未知数だ。 採用基準「下げる」企業はゼロ 前出のレジェンダ・コーポレーションの調査によると、採用基準そのものを「下げる」と回答した企業はゼロ。84.5%が採用基準は「前年とほぼ同様」、15.5%が「前年より上げる」と回答した。つまり、何がなんでも目標数を採用する、というわけではなさそうなのだ。 また12月8日の日本経済新聞によると、三菱商事など大手企業15社は2015年度の採用からエントリーシートに加え、学業成績の提出も求める方針にしたという。この方針に追従する企業が増えれば、学生たちは採用試験での”コミュ力”に加え、日頃の学業の積み重ねも評価されることになる。 企業側の採用意欲が高まっていることは事実ながら、「内定者の質を下げてまで採用する」という気はないようだ。アベノミクス、景気回復と言われながらも、やはり今年も多くの学生たちは50社近くエントリーし、内定獲得に奔走する、ということになるのだろうか。 あわせてよみたい:新卒奨励金中止に、ホリエモンが「糞」
2015年新卒採用「売り手市場」に変化? でも「安心できない」理由とは
リーマン・ショック以降の就活には、とかく難易度が高いというイメージがつきまとっている。しかし、その傾向には変化が出始めているようだ。
110社の新卒採用担当者を対象にした調査によると、2015年新卒の採用活動全体の見通しとして、77.2%の企業が「前年よりも苦戦する」と回答している。つまり、新卒を「採用しにくい」と思っているということだ。
約4割が採用目標数も「上げる」
これは昨12月末に、人材採用コンサルティングのジョブウェブと人事BPRのレジェンダ・コーポレーションが発表した調査結果だ。
2012年調査では「前年より苦戦する」と答えた企業は54.3%だったため、20%以上も増加したことになる。
苦戦する理由としては、以下のような声が挙がっている。
昨年末には、2013年11月の有効求人倍率が6年1か月ぶりに1.00倍を回復したことが発表された。またこの調査でも、採用目標数が「前年を上回る」と回答した企業は38.2%に上っている。「前年を下回る」と回答したのはわずか5.5%だ。
背景にはアベノミクスによる景気回復への期待感や、それにともなう人手不足などもあるだろう。確かに2015年新卒採用は「売り手市場」の傾向にあるとも言えそうだ。
一方、学生側の意識はどうだろうか。
今年の就職活動は「難」
青山商事が展開するザ・スーツカンパニーが、2015年卒の就活生206名を対象とした就職活動に関する意識調査を12月末に発表している。
「今年の就職活動を『漢字』一文字で表すと何だと思いますか?」という質問に対しては、「難」と答えた学生が最多の28人。次いで「苦」(18人)、「忙」(13人)となっているから、学生たちも就活には苦労している様子がうかがえる。採用する側も採用される側も、気持ちは一緒なのかもしれない。
しかし、同調査では気になるデータもあった。
「会社にはどのくらい勤めたいと思っているのか」という調査に対し、47.6%の学生が「41年以上(※「定年退職まで」も含む)」と回答している。これは次点の「3年」(12.1%)の4倍近い数値だ。
回答理由にも以下のような現実的な言葉が並ぶ。
また「就職する会社に求めるもの」に関しても、第1位が「お金(給与)」(70.4%)。ついで「業務内容」(67.5%)、「安定」(65.0%)となっている。ブラック企業問題などの影響もあり、福利厚生の整った大手企業を志向する学生が増えているのかもしれない。
だが、学生たちのこのような意向がすんなり通るかどうかは未知数だ。
採用基準「下げる」企業はゼロ
前出のレジェンダ・コーポレーションの調査によると、採用基準そのものを「下げる」と回答した企業はゼロ。84.5%が採用基準は「前年とほぼ同様」、15.5%が「前年より上げる」と回答した。つまり、何がなんでも目標数を採用する、というわけではなさそうなのだ。
また12月8日の日本経済新聞によると、三菱商事など大手企業15社は2015年度の採用からエントリーシートに加え、学業成績の提出も求める方針にしたという。この方針に追従する企業が増えれば、学生たちは採用試験での”コミュ力”に加え、日頃の学業の積み重ねも評価されることになる。
企業側の採用意欲が高まっていることは事実ながら、「内定者の質を下げてまで採用する」という気はないようだ。アベノミクス、景気回復と言われながらも、やはり今年も多くの学生たちは50社近くエントリーし、内定獲得に奔走する、ということになるのだろうか。
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