破壊的イノベーションを起こそう! 日本人に求められる「喜怒哀楽を表した働き方」 2014年5月2日 キャリコネ調査班 ツイート 4月28日に東京・渋谷で開催された「TOKYO WORK DESIGN WEEK」の2014年版キックオフ。第1部に続いて、第2部では「ボクらが創造的に働く理由」と題したトークセッションが行われた。 登壇者は、自分自身で創造的な働き方をしている起業家たち。日本企業がイノベーションを生み出すために、「新しい働き方」を取り入れることが必要と熱く語っていた。 あえて「成功体験」をひっくり返した任天堂 高度経済成長期の日本の製造業は、工程を効率化し生産コストを削減することで世界と戦ってきた。しかしそうした「スゴい工場」の優位性は、今や中国や東南アジア諸国に奪われてしまった。 したがって、いま日本に必要なのは新興国と同じ土俵で戦わない「スゴいアイデア」を生み出すことではないか。時間をかけずに大きな付加価値がある商品やサービスを生み出す方法が、この回のテーマになった。 起業のためのコワーキングオフィス「StartUp44田(よしだ)寮」の寮長・赤木優理さんは、イノベーションのあり方についてこう熱弁する。 「イノベーションを生み出す企画とは、今の自分が良いと思えるものを『ひっくり返す』こと。いま多くの日本企業には、この『破壊的なイノベーション』が必要なんです」 大手企業はこれまで、既存の商品に新しい機能を付加する「連続的イノベーション」で進化してきた。しかし、スゴいアイデアで勝負しようとするなら、ゼロから商品やサービスを生み出さなければならない。 それを実現した登壇者の1人が、任天堂「Wii」の企画を担当した玉樹真一郎さんだ。「ゲームは個人のもの」という常識を覆し、「一家団らんで鍋を囲む」のと同じように、ゲームを楽しんでもらおうと考えた。 「ある意味で既存のゲーマーにとっては『裏切り』です。でもそうやって、既存の常識を持つ人を裏切らないと、破壊的なイノベーションは生まれないと思います」 クリエイティブの源泉は「喜怒哀楽」 デロイトトーマツコンサルティングが2012年に行った調査では、企業の新規領域における売上高のうち「世の中にとって新しい商品・サービス」が占める割合は、米国では51.5%にのぼったのに対し、日本では11.0%にとどまった。残り89.0%は、「自社にとって新しいが、世の中には既存のものが存在する商品・サービス」だった。 日本の大企業が戦後の大きな成功体験にこだわることが、創造性や破壊的イノベーションを阻害しているのかもしれない。 もう1人の登壇者・山崎大祐さんは、ゴールドマン・サックス証券在職中から、ゼミの後輩が立ち上げたマザーハウス社に関わった。 「世界最貧国」と呼ばれるバングラデシュで「質の良い製品」を製作するという事業モデルは、当時は酷評されたという。同国に求められるのは「賃金や素材の安さ」で、質の高さではないというのが常識だったからだ。そんな逆風の中でも、多忙の合間を縫って関わり続けた理由は、単純に「楽しかったから」だという。 「日本企業は、会社で喜怒哀楽を見せなさすぎる。喜怒哀楽がクリエイティブの源泉。それをいかにビジネスの構造に組み込んでいくか(が大事)」 高給が得られる職を捨て、マザーハウスの副社長に就任することで年収は激減したが、未知のものに賭けたいという感情が勝った。 「箱に穴が空いていたとして、それに『手を入れてみたい!』とワクワクできる人じゃないとダメですよね。自分が見えないものを信じて、面白いものが創れると思うことです」 こうした働き方ができる人は、現在では少数かもしれない。ただ、政府が成長戦略で掲げているとおり、生産性を上げる「創造的な働き方」が求められているのは事実だ。一介のサラリーマンでも自分なりの創造性を追求することが、新たなイノベーションの誕生につながるのだろう。 第1部はコチラ>>働きすぎの男、家から出られない女… 日本社会の硬直的な「性別役割」意識
破壊的イノベーションを起こそう! 日本人に求められる「喜怒哀楽を表した働き方」
4月28日に東京・渋谷で開催された「TOKYO WORK DESIGN WEEK」の2014年版キックオフ。第1部に続いて、第2部では「ボクらが創造的に働く理由」と題したトークセッションが行われた。
登壇者は、自分自身で創造的な働き方をしている起業家たち。日本企業がイノベーションを生み出すために、「新しい働き方」を取り入れることが必要と熱く語っていた。
あえて「成功体験」をひっくり返した任天堂
高度経済成長期の日本の製造業は、工程を効率化し生産コストを削減することで世界と戦ってきた。しかしそうした「スゴい工場」の優位性は、今や中国や東南アジア諸国に奪われてしまった。
したがって、いま日本に必要なのは新興国と同じ土俵で戦わない「スゴいアイデア」を生み出すことではないか。時間をかけずに大きな付加価値がある商品やサービスを生み出す方法が、この回のテーマになった。
起業のためのコワーキングオフィス「StartUp44田(よしだ)寮」の寮長・赤木優理さんは、イノベーションのあり方についてこう熱弁する。
大手企業はこれまで、既存の商品に新しい機能を付加する「連続的イノベーション」で進化してきた。しかし、スゴいアイデアで勝負しようとするなら、ゼロから商品やサービスを生み出さなければならない。
それを実現した登壇者の1人が、任天堂「Wii」の企画を担当した玉樹真一郎さんだ。「ゲームは個人のもの」という常識を覆し、「一家団らんで鍋を囲む」のと同じように、ゲームを楽しんでもらおうと考えた。
クリエイティブの源泉は「喜怒哀楽」
デロイトトーマツコンサルティングが2012年に行った調査では、企業の新規領域における売上高のうち「世の中にとって新しい商品・サービス」が占める割合は、米国では51.5%にのぼったのに対し、日本では11.0%にとどまった。残り89.0%は、「自社にとって新しいが、世の中には既存のものが存在する商品・サービス」だった。
日本の大企業が戦後の大きな成功体験にこだわることが、創造性や破壊的イノベーションを阻害しているのかもしれない。
もう1人の登壇者・山崎大祐さんは、ゴールドマン・サックス証券在職中から、ゼミの後輩が立ち上げたマザーハウス社に関わった。
「世界最貧国」と呼ばれるバングラデシュで「質の良い製品」を製作するという事業モデルは、当時は酷評されたという。同国に求められるのは「賃金や素材の安さ」で、質の高さではないというのが常識だったからだ。そんな逆風の中でも、多忙の合間を縫って関わり続けた理由は、単純に「楽しかったから」だという。
高給が得られる職を捨て、マザーハウスの副社長に就任することで年収は激減したが、未知のものに賭けたいという感情が勝った。
こうした働き方ができる人は、現在では少数かもしれない。ただ、政府が成長戦略で掲げているとおり、生産性を上げる「創造的な働き方」が求められているのは事実だ。一介のサラリーマンでも自分なりの創造性を追求することが、新たなイノベーションの誕生につながるのだろう。
第1部はコチラ>>働きすぎの男、家から出られない女… 日本社会の硬直的な「性別役割」意識