• 成績次第で「天国」と「地獄」 外資系ITベンチャー営業の社内格差

     スマートフォンやタブレット端末で、消費者のライフスタイルに変革をもたらしているアップルやグーグルのように成長し、企業のビジネスの変革に貢献している企業がある。10年ほど前に米国で創業したセールスフォース、ヴイエムウェア、レッドハットなどの新興のITベンチャー企業だ。
     

     こうしたシリコンバレー生まれのITベンチャー企業は、数年で100億円以上の売り上げ規模に成長し、世界中にオフィスを作って事業を拡大。日本にも会社を設立して、米本社で開発された製品を国内で販売している。中には数百名の社員を雇用する会社もある。

     その最前線に立つのが営業社員。外資系ITベンチャー企業の日本法人は販売会社の支社として位置づけられるため、営業社員の割合が70%を超える会社もある。

     一般にはあまり知られていない、外資系ITベンチャー企業の営業とは、どんな仕事なのだろうか。そこで今回、浮き沈みの激しいIT業界で戦う彼らについて調べてみた。
     

    合理的方法論と徹底管理で成績アップが外資系ITベンチャー流

     外資系ITベンチャー企業の営業は、他のIT企業で3年以上の営業経験を積んだ人材を中途採用し、欧米式の合理的な営業の方法論を叩き込んで実戦で育てられる。その営業方法論とは「SPIN」や「TAS(ターゲット・アカウント・セリング)」などだ。

     「SPIN」とは営業が質問することで、顧客に自身のニーズを認識してもらい、顧客自身に解決方針を見つけてもらう方法論である。

     質問には、顧客が置かれている状況を聞き、事実確認を行う「状況質問:Situation Questions」、状況質問で得た情報から、顧客の不満などを聞き出し、潜在ニーズに気づかせる質問「問題質問:Problem Question」、顧客が気づいた潜在ニーズを放置すると、どんな問題が発生するか認識してもらうための質問「示唆質問:Implication Questions」、ニーズが満たされた場合の好影響などをイメージしてもらい、解決策の提案をしてもらうための質問「解決質問:Need-payoff Questions」がある。

     「SPIN」とは、この4つの質問の頭文字をとって名付けられている。これらの質問を段階的に使いながら、営業は時間をかけて、顧客が置かれている状況を把握し、その要望を吸い上げて商品を売り込んでいくのだ。

     一方、「TAS」は、営業社員が販売機会を診断し、競合との分析や組織分析することで効果的な営業戦略を見つけ出し、効率的な営業活動を行う方法論だ。

     外資系ITベンチャーでは「日本企業の営業は精神論が多いが、我々の場合は、こういう合理的な方法を使って、それを実行しなければ成績が上がらないと教え込む」(ある外資系ITベンチャー企業の営業部長)のだという。

     さらに、こうした方法論だけでなく、週次、月次で営業の進捗を管理し、営業成績を上げるためには何をするのが最良かを社員に徹底的に考えさせる。「論理的」かつ「効率的」に売り上げにつなげるのが、外資系ITベンチャー企業の営業のやり方だ。
     

    半年以上かけて役員や部門キーマンを訪問、ニーズをくみ取り製品を売り込む

     外資系ITベンチャー企業の顧客は、大手企業をはじめとする中小企業で、商材は企業の業務システムに利用されるソフトウェア。営業社員は、企業の経営者や役員などを半年以上かけて何度も訪問して製品を売り込む。

     同時に、彼らのニーズを正確に把握し、自社の製品を導入するメリットについて理解してもらう努力が必要になる。また、顧客が必要とすれば、技術者や専門家による説明会や技術検証も行う。こうした営業スタイルで年間に数億~数十億円の案件を受注する。

     案件受注では、大手IT企業との競合ももちろんある。しかし、外資系ITベンチャー企業の製品は急成長している間は市場で競争力があるため、大手IT企業に勝利を収めるケースが多い。

    同じ職位でも年収格差が2000万円以上の場合も! 実力重視のシビアな報酬体系

     外資系ITベンチャーの営業マンの給与はどうなっているのだろうか。具体的には、以下の表のような報酬体系を採用している企業が多い。 

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