書類作成だけで年収1000万!?　女性総合職を生かせない伊藤忠商事

　伊藤忠商事で大手商社では初の女性執行役員が就任する。伊藤忠は法務部長代行の池みつる氏（46）が4月1日付で執行役員法務部長に昇格する人事を発表した。

　池氏は米コーネル大学法科大学院卒業後、米国で弁護士資格を得て、米法律事務所を経て伊藤忠商事に入社。青果大手の米ドール・フード・カンパニーの一部事業買収などの大型M&A（企業の合併・買収）で、社内弁護士として活躍したことが評価されたという。

　大手総合商社では2000年の半ばから女性総合職の採用を増やしてきた。しかし、具体的な活躍の場を与えられるケースはまだ少ないのが実態だという。こうした中、伊藤忠が池氏を執行役員に抜てきしたことは、女性総合職の手本になるとして業界からも注目が集まっている。

　では、伊藤忠には女性総合職が活躍できる環境が本当に整っているのだろうか。今回、伊藤忠に女性総合職として入社した元社員が、同社の女性社員活用の実態について話してくれた。

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使い方がわからない男性社員、総合職なのに“女の子”扱い

　取材に応じてくれたのはSさん（20代後半）。伊藤忠に在籍時は、繊維原料やアパレル事業を手がける繊維カンパニーに所属していた。

　伊藤忠の新卒総合職の採用数は2012年度で113名。そのうち「女性の数は全体の10％未満。例年で10人いるかいないかぐらい」とSさんは言う。大学は早稲田、慶應が多い。東大は例年5人程度が入社する。ただ東大卒で優秀な人は「三菱商事か三井物産に行ってしまう」（Sさん）そうだ。

　「とにかく体育系で男社会」。Sさんは伊藤忠の社風を一言でこう表す。男性社員はアメリカンフットボールやラグビーなど、大学の体育会出身者が多い。そして、上意下達が社内文化だ。

　体育会気質ということもあって、社内の飲み会は頻繁に行われる。ここでは「盛り上げるのに男子が服を脱ぐのはデフォルト」（同）。飲み会は新卒が先輩社員と打ち解ける場、社員同士は一体感を生み出す場と位置付けられている。しかし、「それなのにチームワークや団結力はない」（同）と言う。

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