• 超難関プロジェクトマネージャー試験 「小中学生が合格」はホントなのか?

    情報処理推進機構(IPA)が行っている「プロジェクトマネージャー試験」に、なんと「小中学生が合格した」と話題になっている。この試験は、社会人でも「超難関」とされる試験だ。

    同機構の発表している統計資料によると、2013年度のプロジェクトマネージャー試験に2人の小中学生が挑み、そのうちの1人が合格したことになっている。ちなみに、2012年度は1人が受験し不合格。2009年度~2011年度には、応募者自体がいなかったようだ。

    合格者平均年齢は「36.9歳」

    この事態はネット上でも話題になっており、IT技術者の多いはてなやTwitterでは、

    「小中学生でPMに受かるって何事だよ…」
    「すげーな どんな人なのか気になるw」
    「どうやったらあんな論文を小学生が書けるんだ?」

    と驚きの声が広がっている。

    そもそもプロジェクトマネージャー試験とは、システム開発プロジェクトの責任者としての必要な知識を問うものだ。対象者像は、

    「プロジェクト計画を立案し、必要となる要員や資源を確保し、計画した予算、納期、品質の達成について責任をもってプロジェクトを管理・運営する者」

    となっている。技術者や予算、時間などの限られた資源をコントロールしながら、顧客と折衝し、プロジェクトを成功に導ける人材ということ。労働市場での需要も高い。

    したがって受験者は、リーダーやマネージャーとしてすでに実務経験を積んでいる人が多い。2013年度の合格者平均年齢は36.9歳で、社会人の合格率は12.5%にすぎない。

    実務経験年数でも、応募者が多い順に「24年以上」(2356人)、「10~12年」(2073人)、「12~14年」(1760人)となっている。「24年以上」の応募者の合格者数は118人だ。

    試験は、「午前I」「午前II」「午後I」「午後II」の4つに分かれている。午前の試験は選択式の試験で、難易度はそう高くないという。難関とされるのが午後の2つの試験で、「午後I」は20~50字程度の短文回答式。「午後II」は長文の論述式だ。

    本当に「小中学生」なのか問い合わせると…

    たとえば、2013年度の春期試験では、「システム開発業務における情報セキュリティ確保」について問われている。プロジェクトマネージャーはプロジェクト開始にあたり、情報セキュリティ上のリスクを特定し、分析評価した上で、技術面・運営面の予防策を立案する。

    そのうえでプロジェクトメンバーに周知し、策を順守させることが求められる。「午後II」の試験では、こうした前提のうえで、次のような問いが続く。

    「設問ア あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、情報セキュリティ上のリスクが特定された開発業務および特定されたリスクについて、800字以内で述べよ」

    「設問イ 設問アで述べたリスクに対して、どのような運営面の予防策をどのように立案したか。また、立案した予防策をどのようにメンバに周知したか。重要と考えた点を中心に、800字以上1600字以内で具体的に述べよ」

    実務経験がないと思われる小中学生が、どのようにこうした問いに回答できたのか。

    そもそも、この合格者は本当に小中学生なのか。

    キャリコネ編集部が情報処理推進機構に問い合わせたところ、

    「試験センターに確認しましたが、(小中学生に)該当する人はいませんでした」

    との回答だった。

    統計資料にあるデータは、受験申し込み時に受験者が記入したアンケートの内容に基づいているので、その内容が事実かどうかは確認されない。年齢のデータでは合格者の最年少は18歳となっていて、一般的には小中学生の年齢ではない。最終学歴別のデータでは「小・中学校」と回答している人に合格者はいない。

    記入ミスか、それともいたずら好き受験者のしわざか。どうやら今回は「お騒がせ」だったようだ。

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